ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎

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第200話:トーヤ、昼食を誘われる

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 その日の営業中、鑑定カウンターに瞬光が全員揃って顔を出した。

「ダインさん、皆さん!」

 トーヤが声を掛けたものの、そこをヴァッシュから鋭く睨まれてしまう。

「おっと……そうでした」

 どうして睨まれたのかに気づいたトーヤは、小声で呟くと、いつもの表情で対応を始める。

「失礼いたしました、ダインさん」
「気にするな。それよりも、これの鑑定をお願いできるか?」

 いつも通りに振舞わなければ、何かあったと周りから見られてしまう。
 特に今回はトラジーブがかかわっていることもあり、多くの目や耳がある場所ではおいそれと口に出すことができなかった。

「ねえねえ、トーヤ。お昼休みに少しだけお話しできないかな?」

 鑑定を進めていると、ミリカからそんな提案が口にされた。

「昼食を一緒に、ということでしょうか?」
「そうそう! この前の食事会のお礼もしたいしさ!」

 食事会はトーヤがお世話になったみんなにお礼をするために開催したものだ。
 それに対してのお礼は必要ないと考えたものの、ここでその話をすることに意味を感じ、トーヤは隣で作業をしていたフェリに確認を取ろうとする。

「構わないわよ、トーヤ君」

 トーヤとミリカのやり取りが聞こえていたフェリは、彼が口を開く前に許可を出してくれた。

「良いのですか?」
「もちろん! 他の職員も、お昼ご飯を食べに外に出ているのを見たことがあるでしょう?」

 宿住まいだった時はサンドイッチを作ってもらい、ブロンの家に移ってからも弁当を持ってきているトーヤにとって、外で昼食を食べるという発想が欠けていた。

「……そうでしたか?」
「見てなかったんだ」
「あはは、すみません」

 苦笑しながらトーヤが謝ると、フェリは微笑みながら口を開く。

「まあ、そういうわけだから、トーヤ君もお昼休憩にギルドを出てもいいからね」
「かしこまりました。ありがとうございます、フェリ先輩」

 フェリからも許可が貰えたトーヤは、彼女にお礼を口にすると、すぐにミリカへ向き直る。

「お昼、ご一緒してもいいでしょうか?」
「やったね! それじゃあよろしく!」
「……あの、ミリカさん? 鑑定をお願いしていること、忘れていませんか?」

 ミリカが話は終わりという雰囲気を出したこともあり、リタが確認のため声を掛けた。

「あー……てへ?」
「バカじゃねぇか?」
「ちょっと! バカとは何よ、バカとは!」
「バカにバカって言って何が悪いんだ? バカが」
「こいつ! 一発ぶん殴ってやる!」

 ここでいつものバカ騒ぎが始まると、トーヤとリタは苦笑いを浮かべ、ダインはため息を吐きながら右手で顔を覆う。

「……はあぁぁ。お前たち、いい加減にしろよ?」

 そして、ダインから注意を受けるとお互いにそっぽを向いてしまった。

「すまないな、トーヤ」
「いえ、私は慣れたものなので」

 こうしてトーヤが鑑定を終えた品を買取り代金を手渡すと、ダインたちは笑顔で商業ギルドをあとにした。

「……なんだか、すごかったわね」
「ミリカさんとヴァッシュさんは、いつものことですから」
「……いつもああなんだね」

 隣でやり取りを見ていたフェリが、少しだけ疲れた表情でそう呟いた。

 そして、お昼休み。
 商業ギルドの入り口にはダインとミリカが待ってくれていた。

「お待たせいたしました。ヴァッシュさんとリタさんは?」
「二人はお店に行って、先に席を確保してもらってるよ!」
「秘匿性の高い話をするためのお店、といえば話は早いだろう」

 ダインの話を聞いたトーヤは、ハッとしてから真剣な面持ちに変わる。

「あの、この度は色々と助けていただいていたようで、誠にありがとうございました」
「俺たちはジェンナ様からの依頼を受けただけだ、気にするな」

 トーヤがお礼を口にすると、ダインは微笑みながらそう答えた。

「ダインさんなら、そう答えるだろうなと思っておりました」
「トーヤと私たちって、結構付き合いも長くなったよねー」
「北の山で出会ったのが最初だったか。今思えば、懐かしいものだな」

 お店へ向かいながら、そんな昔話に花を咲かせるトーヤたち。
 その後も雑談を交えながら歩いていき、五分ほど歩いたところで目的のお店に到着した。

「こちらですか?」

 店構えは一見すると単なる民家にも見えるが、入り口の前には立て看板が設置されている。

「……南国料理、テラパゴス?」
「珍しい料理を出してくれるお店なんだよ!」
「目的はそこではないが、どうせなら昼食も楽しんでもらいたいからな」
「それは楽しみですね! ありがとうございます!」

 ダインとミリカにお礼を口にしてから、トーヤはお店の中に入った。
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