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第190話:トーヤ、買い出しをする
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しばらくして、約束通りにダインが鑑定カウンターに顔を出してくれた。
「おはようございます、ダインさん! 今日はお一人ですか?」
挨拶をしたトーヤは、ダインが一人だったため質問を口にした。
「おはよう、トーヤ。今日はどうなったかの確認だけだったからな。依頼も俺抜きでできそうなものだったし、先に抜けてきたんだ」
「なんと、そうだったのですね。……あの、ご迷惑ではなかったですか?」
「まさか。むしろ、食事会が確定してほしいと、ミリカなんかは気もそぞろだったよ」
依頼中に気もそぞろになるのはどうかと思ったが、それだけ楽しみにしてくれているのだと知り、トーヤは嬉しくなってしまう。
「それで、どうなんだ?」
「はい! 明日には開催できそうなので、夕方にはブロンさんのなんでも屋に……って、ダインさんたちは場所、分かりますか?」
もしも場所が分からなければ待ち合わせをしなければと思ったトーヤだったが、心配は杞憂だった。
「安心してくれ。俺たちもブロンさんにはお世話になったことがあるし、なんでも屋の場所も知っているさ」
「そうでしたか。それはよかったです」
「そうと分かれば、俺は早速みんなと合流してそのことを伝えるとしよう。ミリカも今日の依頼、気合いを入れてくれるだろうしな」
「わざわざありがとうございました、ダインさん」
トーヤがお礼を口にすると、ダインは笑いながら返してくれる。
「気にするな。それに、楽しみにしているのはミリカだけではない。ヴァッシュもリタも、もちろん俺もだからな。それじゃあ、明日」
「はい、明日」
明日の予定を伝え終えたトーヤは、明日に備えて仕事が手元に残らないよう、いつも以上に気合いを入れて仕事に取り組んでいく。
そして終業を向けると、鑑定業務の合間に書類をまとめていたトーヤは、大急ぎで荷物をまとめる。
「お疲れ様でした! 失礼いたします!」
大きな声で挨拶をしたトーヤは、早足で商業ギルドをあとにした。
目的は、明日に備えた買い出しである。
アイテムボックスには大量の食材があるものの、大勢で食べる分を用意するとなれば足りないかもしれない。
そう思ったトーヤは、商業ギルドで働き貯めていたお金を吐き出す気持ちで、大量に買い込もうと決めていた。
(これくらいでしか、皆さんにお返しができませんからね!)
本当なら既にトーヤは多くのものを返し、与えている。
それでもトーヤは自分はまだまだだと思っており、食事会が少しでもお返しの足しになればと考えていた。
故に、今日の仕事の時と同じようにやる気に満ち溢れており、今の姿をフェリやリリアーナが見ていたら「やり過ぎないように」と注意を受けていたことだろう。
だが、今のトーヤには注意をしてくれる人は誰一人としていない。
「おう! トーヤじゃねぇか! 今日も買っていくか?」
「はい! 今日は大量に食材が必要になりますので、色々と見せてくれませんか?」
「任せろ!」
一つ、また一つとお店をはしごしていき、その全てで多くの食材を見ては、大量に購入していく。
アイテムボックス持ちだとバレないよう、荷物自体は人に見られないところで収納している。
とはいえ、興奮しているトーヤは周りが見えていない。
何かの拍子にバレてしまえば、事件に巻き込まれかねなかった。
「これ、トーヤ」
そこへ聞き慣れた声が耳に届き、トーヤは慌てて振り返る。
「……ブロンさん?」
「全く。こんなことだろうと思ったよ」
「どういうことでしょうか?」
ブロンはトーヤが大量に買い込み、それらをアイテムボックスに入れながら買い物を続けるだろうと予想していた。
だからこそ、こうしてトーヤを探して歩いていたのだ。
「買い物だろう? わしも同行していいかい?」
「もちろんです!」
トーヤとしてはありがたいことだと了承したが、このあと家に帰ってからブロンに軽く説教をされたのは、言うまでもなかった。
「おはようございます、ダインさん! 今日はお一人ですか?」
挨拶をしたトーヤは、ダインが一人だったため質問を口にした。
「おはよう、トーヤ。今日はどうなったかの確認だけだったからな。依頼も俺抜きでできそうなものだったし、先に抜けてきたんだ」
「なんと、そうだったのですね。……あの、ご迷惑ではなかったですか?」
「まさか。むしろ、食事会が確定してほしいと、ミリカなんかは気もそぞろだったよ」
依頼中に気もそぞろになるのはどうかと思ったが、それだけ楽しみにしてくれているのだと知り、トーヤは嬉しくなってしまう。
「それで、どうなんだ?」
「はい! 明日には開催できそうなので、夕方にはブロンさんのなんでも屋に……って、ダインさんたちは場所、分かりますか?」
もしも場所が分からなければ待ち合わせをしなければと思ったトーヤだったが、心配は杞憂だった。
「安心してくれ。俺たちもブロンさんにはお世話になったことがあるし、なんでも屋の場所も知っているさ」
「そうでしたか。それはよかったです」
「そうと分かれば、俺は早速みんなと合流してそのことを伝えるとしよう。ミリカも今日の依頼、気合いを入れてくれるだろうしな」
「わざわざありがとうございました、ダインさん」
トーヤがお礼を口にすると、ダインは笑いながら返してくれる。
「気にするな。それに、楽しみにしているのはミリカだけではない。ヴァッシュもリタも、もちろん俺もだからな。それじゃあ、明日」
「はい、明日」
明日の予定を伝え終えたトーヤは、明日に備えて仕事が手元に残らないよう、いつも以上に気合いを入れて仕事に取り組んでいく。
そして終業を向けると、鑑定業務の合間に書類をまとめていたトーヤは、大急ぎで荷物をまとめる。
「お疲れ様でした! 失礼いたします!」
大きな声で挨拶をしたトーヤは、早足で商業ギルドをあとにした。
目的は、明日に備えた買い出しである。
アイテムボックスには大量の食材があるものの、大勢で食べる分を用意するとなれば足りないかもしれない。
そう思ったトーヤは、商業ギルドで働き貯めていたお金を吐き出す気持ちで、大量に買い込もうと決めていた。
(これくらいでしか、皆さんにお返しができませんからね!)
本当なら既にトーヤは多くのものを返し、与えている。
それでもトーヤは自分はまだまだだと思っており、食事会が少しでもお返しの足しになればと考えていた。
故に、今日の仕事の時と同じようにやる気に満ち溢れており、今の姿をフェリやリリアーナが見ていたら「やり過ぎないように」と注意を受けていたことだろう。
だが、今のトーヤには注意をしてくれる人は誰一人としていない。
「おう! トーヤじゃねぇか! 今日も買っていくか?」
「はい! 今日は大量に食材が必要になりますので、色々と見せてくれませんか?」
「任せろ!」
一つ、また一つとお店をはしごしていき、その全てで多くの食材を見ては、大量に購入していく。
アイテムボックス持ちだとバレないよう、荷物自体は人に見られないところで収納している。
とはいえ、興奮しているトーヤは周りが見えていない。
何かの拍子にバレてしまえば、事件に巻き込まれかねなかった。
「これ、トーヤ」
そこへ聞き慣れた声が耳に届き、トーヤは慌てて振り返る。
「……ブロンさん?」
「全く。こんなことだろうと思ったよ」
「どういうことでしょうか?」
ブロンはトーヤが大量に買い込み、それらをアイテムボックスに入れながら買い物を続けるだろうと予想していた。
だからこそ、こうしてトーヤを探して歩いていたのだ。
「買い物だろう? わしも同行していいかい?」
「もちろんです!」
トーヤとしてはありがたいことだと了承したが、このあと家に帰ってからブロンに軽く説教をされたのは、言うまでもなかった。
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