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第170話:トーヤ、魔導具のことを考える
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「今日は本当に助かったよ、トーヤ少年!」
「トーヤさん、ありがとうございました!」
冒険者ギルドでの試し撃ちを終えたトーヤたちは、商業ギルドへ戻るところだった。
その道中でアリアナとレミからお礼を言われ、トーヤは首を横に振る。
「何を仰いますか。私も冒険者ギルドに訓練場があることを知りませんでしたし、お礼ならリリアーナさんに仰ってください」
「もちろん、リリアーナ君にもお礼を伝えるが、ここまで一緒に来てくれたのはトーヤ少年だからな!」
「そうですよ! 正直……私たちだけでは、ギルドマスター様にお目通りできたかどうか」
レミの言葉も当然で、普通であればいきなり組織のトップに会わせてくれと言われても、顔見知りであれ許されることではない。
事前にアポを取り、相手の指定した時間に合わせて向かうのが礼儀だろう。
今回のトーヤは間のやり取りを完全にすっ飛ばしてギグリオに面会をお願いし、彼もそれを受けてくれた。
これも全てトーヤだからというのが大きく、彼がいなければ訓練場を使わせてもらえなかったと、アリアナもレミも強く感じていた。
「そういうことでしたら、ありがたくお礼を受け取らさせていただきます」
「そうだ! トーヤ少年、何か作ってほしい魔導具はないかな?」
「……作ってほしい魔導具、ですか?」
アリアナから突然の提案をされ、トーヤは首を傾げてしまう。
「申し訳ございません。私、魔導具にどのようなものがあるのか分からなくて、特定の何かが欲しいとは言えないのです」
「あー、言い方が悪かったね。こういう魔導具があったら嬉しいな、というものはあるかな?」
アリアナの提案を聞いて、トーヤは既存の魔導具のことを聞かれていると思っていた。
実際には違い、アリアナはトーヤが『あったら嬉しいな』と思えるものはないかを聞いてくれていた。
「あったら嬉しいな? ……ま、まさか、私の要望を聞いて、魔導具を作ってくれるのですか!?」
「その通りだよ、トーヤ少年!」
「できないこともありますが、アリアナさんなら大抵のものであれば叶えてくれると思いますよ」
驚きの声を上げたトーヤを見て、レミもアリアナの腕に太鼓判を押す。
「ハードルを上げてくれるじゃないか、レミちゃん! だけどまあ、その通りだけどね! あはははは!」
「それはとても嬉しい提案です、アリアナさん! では、私が欲しいと思えるものをリストアップしておきます!」
「け、結構ありそうですね」
トーヤの反応を見たレミが苦笑いしながらそう口にする。
実際にトーヤは、日本にいた頃はスフィアイズよりも楽な生活を送っていた。
自動車や電車だけではなく、エレベーターやエスカレーターなどもそれにあたるだろう。
移動手段だけではなく、家具や家電といったものでも文明の利器を感じられるかもしれない。
それを考えると、トーヤの頭の中には『あれば便利』な道具は山ほどあり、もしかするとアリアナは言ってはいけない一言を口にしたのかもしれなかった。
「トーヤ少年のことだ。それらはきっと、民の生活が豊かになるものなんだろう?」
「もちろんです! あぁ、今から楽しみでなりませんね!」
「ほ、本当に大丈夫なんですか、アリアナさん?」
アリアナの頭の中は新しい魔導具を作り出せるかもしれない、という思いでいっぱいになっている。
故に、レミが心配そうに声お掛けていることに気づいておらず、トーヤと一緒になって想像を膨らませていた。
「レミちゃん! まずはこの魔導具を急いで完成させるんだ! そして、トーヤ少年が持ってくるリストをもとに、新しい魔導具を作り出すわよ!」
「ほ、本当に大丈夫なんですか、アリアナさん?」
「もちろんだとも! さあ、急ごう! トーヤ少年もだぞ! あはははは!」
楽しそうに笑いながら歩いていくアリアナの背中を追い掛けるレミ。
そんな二人を見つめながら、トーヤの頭の中は日本で便利だと感じた道具を思い浮かべていた。
「……あぁ、楽しみですねぇ。何を作ってもらいましょうか。炊事洗濯が楽になるものが最初ですかね? それとも移動手段でしょうか?」
ぶつぶつと呟きながら後ろを歩いているトーヤを見て、レミは少しだけ不安を募らせるのだった。
「トーヤさん、ありがとうございました!」
冒険者ギルドでの試し撃ちを終えたトーヤたちは、商業ギルドへ戻るところだった。
その道中でアリアナとレミからお礼を言われ、トーヤは首を横に振る。
「何を仰いますか。私も冒険者ギルドに訓練場があることを知りませんでしたし、お礼ならリリアーナさんに仰ってください」
「もちろん、リリアーナ君にもお礼を伝えるが、ここまで一緒に来てくれたのはトーヤ少年だからな!」
「そうですよ! 正直……私たちだけでは、ギルドマスター様にお目通りできたかどうか」
レミの言葉も当然で、普通であればいきなり組織のトップに会わせてくれと言われても、顔見知りであれ許されることではない。
事前にアポを取り、相手の指定した時間に合わせて向かうのが礼儀だろう。
今回のトーヤは間のやり取りを完全にすっ飛ばしてギグリオに面会をお願いし、彼もそれを受けてくれた。
これも全てトーヤだからというのが大きく、彼がいなければ訓練場を使わせてもらえなかったと、アリアナもレミも強く感じていた。
「そういうことでしたら、ありがたくお礼を受け取らさせていただきます」
「そうだ! トーヤ少年、何か作ってほしい魔導具はないかな?」
「……作ってほしい魔導具、ですか?」
アリアナから突然の提案をされ、トーヤは首を傾げてしまう。
「申し訳ございません。私、魔導具にどのようなものがあるのか分からなくて、特定の何かが欲しいとは言えないのです」
「あー、言い方が悪かったね。こういう魔導具があったら嬉しいな、というものはあるかな?」
アリアナの提案を聞いて、トーヤは既存の魔導具のことを聞かれていると思っていた。
実際には違い、アリアナはトーヤが『あったら嬉しいな』と思えるものはないかを聞いてくれていた。
「あったら嬉しいな? ……ま、まさか、私の要望を聞いて、魔導具を作ってくれるのですか!?」
「その通りだよ、トーヤ少年!」
「できないこともありますが、アリアナさんなら大抵のものであれば叶えてくれると思いますよ」
驚きの声を上げたトーヤを見て、レミもアリアナの腕に太鼓判を押す。
「ハードルを上げてくれるじゃないか、レミちゃん! だけどまあ、その通りだけどね! あはははは!」
「それはとても嬉しい提案です、アリアナさん! では、私が欲しいと思えるものをリストアップしておきます!」
「け、結構ありそうですね」
トーヤの反応を見たレミが苦笑いしながらそう口にする。
実際にトーヤは、日本にいた頃はスフィアイズよりも楽な生活を送っていた。
自動車や電車だけではなく、エレベーターやエスカレーターなどもそれにあたるだろう。
移動手段だけではなく、家具や家電といったものでも文明の利器を感じられるかもしれない。
それを考えると、トーヤの頭の中には『あれば便利』な道具は山ほどあり、もしかするとアリアナは言ってはいけない一言を口にしたのかもしれなかった。
「トーヤ少年のことだ。それらはきっと、民の生活が豊かになるものなんだろう?」
「もちろんです! あぁ、今から楽しみでなりませんね!」
「ほ、本当に大丈夫なんですか、アリアナさん?」
アリアナの頭の中は新しい魔導具を作り出せるかもしれない、という思いでいっぱいになっている。
故に、レミが心配そうに声お掛けていることに気づいておらず、トーヤと一緒になって想像を膨らませていた。
「レミちゃん! まずはこの魔導具を急いで完成させるんだ! そして、トーヤ少年が持ってくるリストをもとに、新しい魔導具を作り出すわよ!」
「ほ、本当に大丈夫なんですか、アリアナさん?」
「もちろんだとも! さあ、急ごう! トーヤ少年もだぞ! あはははは!」
楽しそうに笑いながら歩いていくアリアナの背中を追い掛けるレミ。
そんな二人を見つめながら、トーヤの頭の中は日本で便利だと感じた道具を思い浮かべていた。
「……あぁ、楽しみですねぇ。何を作ってもらいましょうか。炊事洗濯が楽になるものが最初ですかね? それとも移動手段でしょうか?」
ぶつぶつと呟きながら後ろを歩いているトーヤを見て、レミは少しだけ不安を募らせるのだった。
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