54 / 64
第54話:VS色欲のレイディ⑤
しおりを挟む
「やめよ、レイディ! このまま魔力を凝縮してしまえば、その身を亡ぼすことになるぞ!」
レイディの行動を見たエミリーが声を荒らげた。
「ご安心ください、エミリスタ様。私は絶対にあなた様を、助けて差し上げます!」
「それは間違いだ! 我は自らの意思でマギスと共にいる! 助けるも何も、助けてもらう必要が皆無なのだ!」
「そんなことはありません! 私の知るエミリスタ様は高貴なお方であり、常に上に立ち私たちを従えるお方です! それが人間と共に歩むだなんて……信じられるわけがありません!」
エミリーの言葉であっても従おうとはしないレイディ。
激しい言葉を交わしている間もレイディの魔力は凝縮されており、それに合わせて別のところから苦悶の声が聞こえてきた。
『『『……ゴゴ……ゴゴガガアアアアァァアアァァッ!!』』』
ケルベロスはレイディの魔力によって操られている。
そのレイディの魔力が凝縮されたことで、ケルベロスにも影響を及ぼしていた。
「どうするのだ、マギスよ! このままではレイディが!」
「分かってるよ、エミリー。それに、ケルベロスにもまだ死んでほしくないからね」
エミリーの焦りを含んだ声にマギスが答えると、彼は腰に提げていた剣をアイテムボックスに戻した。
「な、何をしているのだ、マギスよ!?」
「大丈夫だよ、エミリー。これは仮の剣だったからね。本気で相手をするなら、仮の剣だと砕けてしまうから交換しないと」
「……はっ! そうだ、マギスよ。お主、我との戦いでは別の剣を!」
一騎打ちをした時のことを思い出したエミリーが驚きの顔を浮かべると、マギスはニコリと微笑みながらアイテムボックスから右手を引き抜いた。
「妖精王の剣、エターニア」
妖精界にしか存在しない鉱石で作られたエターニアは、ラクス・マギラエンという英雄の代名詞にもなった剣でもある。
魔法との相性が他の鉱石と比べても群を抜いて高く、魔法剣士であるマギスにとっては最高の剣といえる存在だ。
「エターニアの存在が世界に広がり過ぎて、僕よりも有名になっていたからね。さすがに腰に提げては歩けないよ」
「……だが待て、マギスよ。お主、ヒースとの戦いの時は当然、エターニアを抜いたのであろうな?」
「いいや、抜いていないよ。あの時は必要なかったからね」
笑みを浮かべたままだが、エターニアの存在感があまりにも強烈でマギスの存在が薄く見えてしまうほどだ。
「……な、なんなの、その剣は? 異常すぎる……異常すぎるわ!?」
「まあ、周囲の魔力をエターニアが勝手に吸収してため込んでくれるからね、見える者にとっては、この剣が優秀だと分かってしまうか」
「優秀? 違うわ、私は異常だと言っているのよ!」
焦りにも似た声をあげたレイディは、凝縮した魔力をそのままケルベロスへ注ぎ込んでいく。
『『『ガルガアアアアァァアアァァッ!? ガグガガ、ギャガアアアアアアアアァァァァッ!!』』』
力の温存が無意味だと悟ったレイディは、一気に蹴りをつけようと動き出す。
直後にはケルベロスが激痛を伴う悲鳴をあげた。
「させないよ」
だが、マギスはレイディの行動を見て地面を踏みしめ、一気に加速した。
レイディの行動を見たエミリーが声を荒らげた。
「ご安心ください、エミリスタ様。私は絶対にあなた様を、助けて差し上げます!」
「それは間違いだ! 我は自らの意思でマギスと共にいる! 助けるも何も、助けてもらう必要が皆無なのだ!」
「そんなことはありません! 私の知るエミリスタ様は高貴なお方であり、常に上に立ち私たちを従えるお方です! それが人間と共に歩むだなんて……信じられるわけがありません!」
エミリーの言葉であっても従おうとはしないレイディ。
激しい言葉を交わしている間もレイディの魔力は凝縮されており、それに合わせて別のところから苦悶の声が聞こえてきた。
『『『……ゴゴ……ゴゴガガアアアアァァアアァァッ!!』』』
ケルベロスはレイディの魔力によって操られている。
そのレイディの魔力が凝縮されたことで、ケルベロスにも影響を及ぼしていた。
「どうするのだ、マギスよ! このままではレイディが!」
「分かってるよ、エミリー。それに、ケルベロスにもまだ死んでほしくないからね」
エミリーの焦りを含んだ声にマギスが答えると、彼は腰に提げていた剣をアイテムボックスに戻した。
「な、何をしているのだ、マギスよ!?」
「大丈夫だよ、エミリー。これは仮の剣だったからね。本気で相手をするなら、仮の剣だと砕けてしまうから交換しないと」
「……はっ! そうだ、マギスよ。お主、我との戦いでは別の剣を!」
一騎打ちをした時のことを思い出したエミリーが驚きの顔を浮かべると、マギスはニコリと微笑みながらアイテムボックスから右手を引き抜いた。
「妖精王の剣、エターニア」
妖精界にしか存在しない鉱石で作られたエターニアは、ラクス・マギラエンという英雄の代名詞にもなった剣でもある。
魔法との相性が他の鉱石と比べても群を抜いて高く、魔法剣士であるマギスにとっては最高の剣といえる存在だ。
「エターニアの存在が世界に広がり過ぎて、僕よりも有名になっていたからね。さすがに腰に提げては歩けないよ」
「……だが待て、マギスよ。お主、ヒースとの戦いの時は当然、エターニアを抜いたのであろうな?」
「いいや、抜いていないよ。あの時は必要なかったからね」
笑みを浮かべたままだが、エターニアの存在感があまりにも強烈でマギスの存在が薄く見えてしまうほどだ。
「……な、なんなの、その剣は? 異常すぎる……異常すぎるわ!?」
「まあ、周囲の魔力をエターニアが勝手に吸収してため込んでくれるからね、見える者にとっては、この剣が優秀だと分かってしまうか」
「優秀? 違うわ、私は異常だと言っているのよ!」
焦りにも似た声をあげたレイディは、凝縮した魔力をそのままケルベロスへ注ぎ込んでいく。
『『『ガルガアアアアァァアアァァッ!? ガグガガ、ギャガアアアアアアアアァァァァッ!!』』』
力の温存が無意味だと悟ったレイディは、一気に蹴りをつけようと動き出す。
直後にはケルベロスが激痛を伴う悲鳴をあげた。
「させないよ」
だが、マギスはレイディの行動を見て地面を踏みしめ、一気に加速した。
0
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
二度目の転生は傍若無人に~元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します~
K1-M
ファンタジー
元日本人の俺は転生勇者として異世界で魔王との戦闘の果てに仲間の裏切りにより命を落とす。
次に目を覚ますと再び赤ちゃんになり二度目の転生をしていた。
生まれた先は下級貴族の五男坊。周りは貴族至上主義、人間族至上主義のクズばかり。
…決めた。最悪、この国をぶっ壊す覚悟で元勇者の力を使おう…と。
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる