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第50話:VS色欲のレイディ①
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「マギスよ、我がレイディの相手をする。お主は魔獣を頼めるか?」
エミリーはレイディを睨みつけながらそう口にしており、マギスのことを一切見ていない。
このままエミリーに任せていいものかとマギスは逡巡し、すぐに答えは出た。
「……いいや、エミリー。君が魔獣の相手をするんだ」
「な、何を言っているのだ、マギス! レイディの相手は我が――」
「今のエミリーじゃあ、危ないんじゃないかな?」
冷静さを欠いているエミリーとは違い、マギスは二人の戦力差を分析していた。
全盛期の力があれば、部下だったレイディを倒すことは容易だっただろう。
しかし、今は全盛期からは程遠い実力になっており、今この時だけを見ればレイディの方が実力は上だった。
「そんなことは分かっておる、しかし我が決着を――んぐっ!?」
「はい、おしまい」
それでも諦めきれないと声を張り上げたエミリーの口を、マギスは無理やりその手で塞いでしまう。
「僕はエミリーに傷ついてほしくないんだ。それに言っただろう? 僕が誘ったんだから、僕にも責任はあるってね」
「んぐぐ……ぷはっ! お主、何をするんじゃ!」
「あ、ああああ、あなた! なんて羨ましい……ではなく、エミリスタ様になんてことをしているのですか! 殺す、殺してやりますわああああっ!!」
「ほら、レイディの怒りは僕に向いたよ。だから、彼女の相手は僕がする。エミリーは魔獣の相手だ、いいね?」
「そんなめちゃくちゃな! おい、マギス!」
マギスを止めようと手を伸ばしたエミリーだったが、その手が彼の服を掴む前に離れてしまう。
エミリーの前に立ち剣を構えたマギスは、一瞬のうちに駆け出した。
――ガキンッ!
甲高い音が前方、レイディがいる場所から響き渡る。
「にんげええええんっ! エミリスタ様と触れ合えるチャンスを奪うとは、万死に値しますわああああっ!」
「戦うことが触れ合うことだって? 彼女を傷つけるつもりなら、容赦はしないよ!」
鋭く振り抜かれるマギスの剣がレイディの急所を狙う。
しかし、鋭く伸びた鋭利な爪が彼のの攻撃を防ぎ、さらに反撃へとつなげていく。
マギスとレイディが一進一退の攻防を続ける中、エミリーは二人の戦闘から視線を外すしかなかった。
『グルアアアアッ!』
「ちっ! 邪魔をするでない、ザコどもが!」
――ゴウッ!
集まってきた魔獣がエミリーへと襲い掛かり、そいつらを魔法で薙ぎ払う。
彼女を中心にして円状に漆黒の炎が広がり、触れた魔獣が一瞬にして消し炭になってしまう。
広い範囲の魔獣が絶命したものの、全てを倒しきるには至っていない。
「……マギスの言う通りじゃな。全盛期の我であれば、一帯の魔獣全てを一瞬で消し炭にできたものを」
悔しそうに歯噛みしながらも、今の魔法でエミリーも冷静さを取り戻すことができた。
「……いいだろう、マギスよ。そなたにレイディの運命、託したぞ」
エミリーは横目でマギスとレイディを一瞥したあと、全ての神経を魔獣の掃討に向けたのだった。
エミリーはレイディを睨みつけながらそう口にしており、マギスのことを一切見ていない。
このままエミリーに任せていいものかとマギスは逡巡し、すぐに答えは出た。
「……いいや、エミリー。君が魔獣の相手をするんだ」
「な、何を言っているのだ、マギス! レイディの相手は我が――」
「今のエミリーじゃあ、危ないんじゃないかな?」
冷静さを欠いているエミリーとは違い、マギスは二人の戦力差を分析していた。
全盛期の力があれば、部下だったレイディを倒すことは容易だっただろう。
しかし、今は全盛期からは程遠い実力になっており、今この時だけを見ればレイディの方が実力は上だった。
「そんなことは分かっておる、しかし我が決着を――んぐっ!?」
「はい、おしまい」
それでも諦めきれないと声を張り上げたエミリーの口を、マギスは無理やりその手で塞いでしまう。
「僕はエミリーに傷ついてほしくないんだ。それに言っただろう? 僕が誘ったんだから、僕にも責任はあるってね」
「んぐぐ……ぷはっ! お主、何をするんじゃ!」
「あ、ああああ、あなた! なんて羨ましい……ではなく、エミリスタ様になんてことをしているのですか! 殺す、殺してやりますわああああっ!!」
「ほら、レイディの怒りは僕に向いたよ。だから、彼女の相手は僕がする。エミリーは魔獣の相手だ、いいね?」
「そんなめちゃくちゃな! おい、マギス!」
マギスを止めようと手を伸ばしたエミリーだったが、その手が彼の服を掴む前に離れてしまう。
エミリーの前に立ち剣を構えたマギスは、一瞬のうちに駆け出した。
――ガキンッ!
甲高い音が前方、レイディがいる場所から響き渡る。
「にんげええええんっ! エミリスタ様と触れ合えるチャンスを奪うとは、万死に値しますわああああっ!」
「戦うことが触れ合うことだって? 彼女を傷つけるつもりなら、容赦はしないよ!」
鋭く振り抜かれるマギスの剣がレイディの急所を狙う。
しかし、鋭く伸びた鋭利な爪が彼のの攻撃を防ぎ、さらに反撃へとつなげていく。
マギスとレイディが一進一退の攻防を続ける中、エミリーは二人の戦闘から視線を外すしかなかった。
『グルアアアアッ!』
「ちっ! 邪魔をするでない、ザコどもが!」
――ゴウッ!
集まってきた魔獣がエミリーへと襲い掛かり、そいつらを魔法で薙ぎ払う。
彼女を中心にして円状に漆黒の炎が広がり、触れた魔獣が一瞬にして消し炭になってしまう。
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「……マギスの言う通りじゃな。全盛期の我であれば、一帯の魔獣全てを一瞬で消し炭にできたものを」
悔しそうに歯噛みしながらも、今の魔法でエミリーも冷静さを取り戻すことができた。
「……いいだろう、マギスよ。そなたにレイディの運命、託したぞ」
エミリーは横目でマギスとレイディを一瞥したあと、全ての神経を魔獣の掃討に向けたのだった。
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