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第43話:英雄の卵・ティアナ
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「最後にティアナだね」
「わーい! 何をくれるんですか、せんせー!」
すでに何かをもらえるつもりでいるティアナに苦笑しながら、マギスは彼女の意向を確認することにした。
「その前にね、ティアナ。君はこれからどうしたいのか考えたことはあるかい?」
「これからどうしたいか? うーん……ない!」
「そうか。まあ、普通の子供たちならそれが普通だし、当然だよね」
「……?」
自分が英雄の卵だとは考えていないティアナにとってはそれが普通のことだ。何せ彼女はまだ七歳の女の子なのだから。
「僕の言葉を信じるか信じないかはティアナ次第だけど、君には英雄になれる素質があると思っている」
「……えいゆー?」
マギスは他の生徒たちに聞こえない小さな声でティアナに語り掛ける。
「そうだ。もしもティアナが英雄として生きることを望むなら、僕はその手助けができると思っている。でも、そうじゃないなら、そっちの方で手を貸すこともできるよ」
マギスはティアナが望む方へ導こうと思っている。
しかし、それは全ての可能性をティアナに提示し、そのうえで決めてほしいと考えていた。
「うーん……えいゆーって、楽しい?」
「楽しい人もいれば、そうじゃない人もいるかな」
「僕は楽しめそう?」
「楽しめるだろうけど、同じ英雄に融通の利かない人がいたらどうかな」
実体験をもとにマギスはティアナの質問に答えていく。
「……それなら、えいゆーにはなりたくないなー」
「今は悪い部分を伝えちゃったけど、英雄になったら世間から賞賛されて、名誉を得ることもできる。お金だって贅沢に使うことができるようになるかもしれないよ?」
「僕は楽しく暮らせたらそれでいいんだー。だから、賞賛とか名誉とか、贅沢には興味なーし!」
ティアナはプイッと顔を逸らせてそう口にすると、すぐにマギスへ向き直る
「だからさ、せんせー! 僕が楽しめるように教えてよねー!」
満面の笑みを浮かべながらそう言われたマギスは、苦笑しながらティアナの頭を優しく撫でた。
「分かった。僕もティアナが楽しめるような授業を心がけるよ」
「やったー! あっ! それよりも僕にも何かちょうだいよー! 早く、はーやーくー!」
腕をぶんぶんと上下に振りながら自分に何かが欲しいと催促してくる姿に微笑ましいものを感じ、マギスはティアナのために用意していたものを取り出した。
「ティアナはナイフを主武装として使っているけど、もっといろいろな武器を使えるよね?」
「うん! なんでも使えるよー!」
「だと思った。だから君には、これを渡そうと思う」
マギスがティアナに見せたもの、それは――
「……銀の、玉?」
「名前はインフィニティ・ウェポン。無限に武器の形状を変えることができる珍しいものだよ」
「い、いんふぃ? ……インフィーだね!」
「……まあ、呼び方はティアナが決めたらいいよ」
長い名前が呼びづらかったのか、ティアナは勝手に自分の武器に新しい名前を付けてしまった。
苦笑いを浮かべながらもマギスもそれを許し、目の前でインフィニティ・ウェポン改め、インフィーの使い方をティアナに見せてみた。
「剣」
「おぉーっ!」
「ナイフ」
「おおぉーっ!」
「槍に斧」
「おおおおぉぉーっ!!」
いろいろな武器に変化させてみせると、そのたびにティアナが大きなリアクションを見せてくれる。
見た目は手のひらサイズの銀の玉なのだが、変化を見せると見た目以上の大きさにまでなってしまう。
インフィーを見た者の大半は見た目以上の大きさに変化することに驚くのだが、ティアナは違う反応を見せてくれた。
「格好いいー! これ僕が貰っていいの!」
「ティアナなら上手に使いこなしてくれるはずだからね」
「やったー! せんせー、大好きだー!」
自分に合った武器を手に入れたことへの喜びが爆発し、銀の玉に戻ったインフィーを受け取ると、自分でも様々な形へ変化させていく。
「よーし! 次こそはせんせーに勝ってみせるんだからねー!」
「はは、これは強敵だな」
やる気満々のティアナに笑みを向けながら、マギスはこれからの模擬戦が大変になるなと、内心では苦笑を浮かべていたのだった。
「わーい! 何をくれるんですか、せんせー!」
すでに何かをもらえるつもりでいるティアナに苦笑しながら、マギスは彼女の意向を確認することにした。
「その前にね、ティアナ。君はこれからどうしたいのか考えたことはあるかい?」
「これからどうしたいか? うーん……ない!」
「そうか。まあ、普通の子供たちならそれが普通だし、当然だよね」
「……?」
自分が英雄の卵だとは考えていないティアナにとってはそれが普通のことだ。何せ彼女はまだ七歳の女の子なのだから。
「僕の言葉を信じるか信じないかはティアナ次第だけど、君には英雄になれる素質があると思っている」
「……えいゆー?」
マギスは他の生徒たちに聞こえない小さな声でティアナに語り掛ける。
「そうだ。もしもティアナが英雄として生きることを望むなら、僕はその手助けができると思っている。でも、そうじゃないなら、そっちの方で手を貸すこともできるよ」
マギスはティアナが望む方へ導こうと思っている。
しかし、それは全ての可能性をティアナに提示し、そのうえで決めてほしいと考えていた。
「うーん……えいゆーって、楽しい?」
「楽しい人もいれば、そうじゃない人もいるかな」
「僕は楽しめそう?」
「楽しめるだろうけど、同じ英雄に融通の利かない人がいたらどうかな」
実体験をもとにマギスはティアナの質問に答えていく。
「……それなら、えいゆーにはなりたくないなー」
「今は悪い部分を伝えちゃったけど、英雄になったら世間から賞賛されて、名誉を得ることもできる。お金だって贅沢に使うことができるようになるかもしれないよ?」
「僕は楽しく暮らせたらそれでいいんだー。だから、賞賛とか名誉とか、贅沢には興味なーし!」
ティアナはプイッと顔を逸らせてそう口にすると、すぐにマギスへ向き直る
「だからさ、せんせー! 僕が楽しめるように教えてよねー!」
満面の笑みを浮かべながらそう言われたマギスは、苦笑しながらティアナの頭を優しく撫でた。
「分かった。僕もティアナが楽しめるような授業を心がけるよ」
「やったー! あっ! それよりも僕にも何かちょうだいよー! 早く、はーやーくー!」
腕をぶんぶんと上下に振りながら自分に何かが欲しいと催促してくる姿に微笑ましいものを感じ、マギスはティアナのために用意していたものを取り出した。
「ティアナはナイフを主武装として使っているけど、もっといろいろな武器を使えるよね?」
「うん! なんでも使えるよー!」
「だと思った。だから君には、これを渡そうと思う」
マギスがティアナに見せたもの、それは――
「……銀の、玉?」
「名前はインフィニティ・ウェポン。無限に武器の形状を変えることができる珍しいものだよ」
「い、いんふぃ? ……インフィーだね!」
「……まあ、呼び方はティアナが決めたらいいよ」
長い名前が呼びづらかったのか、ティアナは勝手に自分の武器に新しい名前を付けてしまった。
苦笑いを浮かべながらもマギスもそれを許し、目の前でインフィニティ・ウェポン改め、インフィーの使い方をティアナに見せてみた。
「剣」
「おぉーっ!」
「ナイフ」
「おおぉーっ!」
「槍に斧」
「おおおおぉぉーっ!!」
いろいろな武器に変化させてみせると、そのたびにティアナが大きなリアクションを見せてくれる。
見た目は手のひらサイズの銀の玉なのだが、変化を見せると見た目以上の大きさにまでなってしまう。
インフィーを見た者の大半は見た目以上の大きさに変化することに驚くのだが、ティアナは違う反応を見せてくれた。
「格好いいー! これ僕が貰っていいの!」
「ティアナなら上手に使いこなしてくれるはずだからね」
「やったー! せんせー、大好きだー!」
自分に合った武器を手に入れたことへの喜びが爆発し、銀の玉に戻ったインフィーを受け取ると、自分でも様々な形へ変化させていく。
「よーし! 次こそはせんせーに勝ってみせるんだからねー!」
「はは、これは強敵だな」
やる気満々のティアナに笑みを向けながら、マギスはこれからの模擬戦が大変になるなと、内心では苦笑を浮かべていたのだった。
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