異世界ダンジョン経営 ノーマルガチャだけで人気ダンジョン作れるか!?

渡琉兎

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様々な動き

サウザンドドラゴンの魔石

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 そして、夜になり換金所を閉めると廻とアルバス、さらに何故かジギルが換金機材の前に集まっていた。

「なんでお前がいるんだ?」
「だって、一緒に手に入れたパーティメンバーなんだもん、気になるじゃないのよ!」
「まあまあ、いいじゃないですか」
「メグルちゃんの言う通りよ! さあさあ、早く換金しちゃいなさいよ!」

 目を輝かせているジギルに嘆息しながら、アルバスはサウザンドドラゴンの魔石を換金機材に入れた。
 しばらくして『ジャラジャラ』という音が聞こえ、そして静かになるとアルバスはゆっくりと開けていく。
 三人が中を覗き込むと、メグルだけが首を傾げていた。

「うーん、もっとたくさん出てくると思ったのに、白い硬貨が一〇枚だけですね。……あれ? 白い硬貨って始めて見ましたけど、何か違うんですか?」

 白い硬貨の意味を理解していない廻は二人の方に視線を向けた。
 すると、二人の表情は見たことがないくらいに引きつっており廻の疑問はさらに深まっていく。

「……マジかよ、白金貨が一〇枚ってことは」
「……一枚で10000000ゴルだから」
「一枚で10000000ゴルって……え……ええええぇぇっ! じゅ、一〇枚で一億ゴルってことですか!?」

 桁違いの金額に何故だか廻が頭を抱えてしまった。
 アルバスは白金貨を手に取りどうしたものかと考える。

「とりあえず、ジーエフでは使い道がねえからなぁ」
「……まさか、出て行くとか言いませんよね!?」
「言わねえよ。俺はもう冒険者じゃねえからな。だが、せっかくの資金だし使い道は考えとかないといけねえか」

 頭を掻きながら天井を見つめるアルバスは、横目でチラリと廻を見る。
 出て行かないという言葉にホッと胸をなでおろしている様子に苦笑を浮かべ、そして廻の目の前に全ての白金貨を置いた。

「……えっと、アルバスさん?」
「こいつはジーエフ発展のために小娘が使え」
「…………はあっ!? ダ、ダメですよ! これはアルバスさんがジギルさんとランドンを討伐したから手に入れられたお金なんですから、渡すならジギルさんにですよ!」
「あー、私はパスだわ」
「なんでですか! 現役の冒険者なんだから、お金は大事ですよね!」
「お金に困っているわけじゃないし、何より一人の冒険者が使い切れる金額じゃないもの」
「そういうわけだ。無駄に残しておくよりは、俺の雇用主である小娘が有意義に使って都市を発展させろ。そうしたら、俺ももっと楽ができるだろうからな」
「で、でも、こんな大金……」

 二人の言葉を受けても廻は受け取るのに及び腰だ。
 ならばとアルバスはさらなる言葉を付け加えた。

「モンスターのレベル上げ」
「えっ?」
「この金を使ってガチャを引けるだけ引け。そして、ライとストナのレベルを上げれるだけ上げるんだ」
「そ、それでも余りますって!」
「そしたら足りない酒場なり足りない店を任せる人材を雇うために使え。それとも何か? お前はまだ俺たちをダンジョンに行かせるつもりか?」
「うぐっ! ……そ、そんなことはしませんよ!」
「だったらなおさらだ。今のお前に必要なのはレベル上げと雇用。それを成すのに必要なのは金だろうが」
「……仰る通りです」

 ついに廻が折れた。
 恐る恐る白金貨に手を伸ばして掴み取ると、ジーっと見つめてグッと握りしめた。

「絶対に無駄にはしません」
「当り前だ」
「ということで、これからガチャを引くのでアルバスさんも付き合ってください!」
「なんでそうなるんだよ!」
「お金を提供したんですから、その使い道もしっかりと見届ける義務があると思います!」
「使い道なんてお前の好きな通りに使えよ!」
「スポンサーにはちゃんと知る権利があります!」
「なんだそりゃ!」

 こうと決めた廻は頑固である。アルバスがどれだけ文句を垂れようと折れることはない。

「なんでもいいですから、さあさあ、行きますよ!」
「いってらっしゃーい」
「てめえ、ジギル! 逃げるのかよ!」
「私は経営者の部屋マスタールームに入れないんだもーん。それじゃあ先に出るから戸締りをお願いね、廻ちゃん」
「お任せあれ!」

 そう言ってさっさと出て行ったジギルを見送り、廻はアルバスに笑顔で振り返る。

「さあ、行きましょう! レベルを上げるだけ上げて、その後は配置を再度変更しますからね!」
「てめえ、そこまで付き合わせるつもりかよ!」
「ちゃんと食事も出しますから、それじゃあ行きますよー!」
「……ったく、もう好きにしろ」

 最終的にはアルバスが嘆息しながら諦め、二人は経営者の部屋へと移動した。
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