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第1章:異世界転生
ドラゴンの言葉
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直後、ドラゴンは漆黒の鱗とは対極にあるだろう真っ白な光に包まれると姿を消してしまう。
そして、そこに残されていたのは──銀髪の痩せ細った少女だった。
「……こ、これは、どういうことだ?」
「……ごめん、私にもさっぱり分からないわ」
リリアーナが分からないことを俺が分かるはずもなく、どうしたものかと考えた結果──
「……とりあえず、助けるか」
「ちょっと、アマカワ! さすがに危険だと思うんだけど?」
「うーん、そうかもしれないけど、あの子は俺に助けてって言ってたんだよな。今は気絶していて危険もなさそうだし、俺とリリアーナしか知らないわけだろ? だったら問題ないんじゃないか?」
「……言っておくけど、アマカワは殺されかけたのよ?」
うーん、リリアーナは怒っているっぽい。
まあ、言っていることは間違っていないと思うし、普通ならこの場で殺すかどこかに引き渡して俺たちは手を引くってのが正しい選択なのだろう。
しかし、助けを求められた相手の話も聞かずに放り出すのはどうも気が引ける。
相手が少女だということも理由の一つなんだけどな。
「それじゃあ、リリアーナはあの女の子を殺せっていうのか?」
「うぐっ! ……でも、あの子はドラゴンなのよ?」
「俺はこの世界のドラゴンってのがどんなものか知らないんだが、ドラゴンってのは人にもなれるものなのか?」
「それは……私にも、分からないわ」
「そうか。それなら、何か事情があるかもしれないし、話を聞くくらいはしてあげてもいいんじゃないか?」
そもそもドラゴンって頻繁に出てくるような存在なのだろうか。それとも伝説級の何かなのか?
そこらへんも含めて、俺には情報が少な過ぎるんだ。
「情報はあって困るものでもないし、話くらいは聞いてみようぜ?」
「……はぁ。転生者ってのは、みんなアマカワみたいに優しい性格なのかしらね」
「俺は優しくなんてないぞ。もし敵意を示されたらすぐに殺すかもしれないし」
「……はいはい、冗談で言っているのが顔に出てるわよー」
……あれ、俺ってそんなに分かりやすかったっけか?
「でも、アマカワが言っていることにも一理あるし、誰もいないうちに話くらい聞いてみましょうか」
「おぉ、ありがとう、リリアーナ!」
「べ、別に、お礼を言われることじゃないからね! その、あの子がかわいそうだと思ったからよ!」
何故かそっぽを向かれてしまったが、とりあえずリリアーナを説得することができたのはよかった。
その気になれば俺が止める間も無く殺すこともできただろうしな。
「そんじゃまあ、一度あの子を起こすか」
そう言って俺はクレーターの中を下りると少女を抱き起こす。
「……ぐっ!」
「おい、大丈夫か?」
「……ぁ、あなたは、さっきの?」
「あぁ。すまなかったな、まさか助けを求めていたとは知らなかったんだ」
意識を取り戻した少女だが、やはりダメージが大きいようで話をするのも苦しそうにしている。
だが、ここでなんの情報も得る前に治療を施すのは危険すぎる。この子が危険じゃないという確信が得られるまでは、申し訳ないがこのまま話を進めさせてもらうしかない。
「それで、君は何者なんだ?」
「……私は、レイチェル。皆様に、助けを……借りたくて。でも、突然攻撃を受けて……」
「助けですって? ドラゴンが助けなんて、あなたは私たちの仲間を殺した──」
「いきなり攻撃を受けたのよ! そうじゃなければ私が──ゴホッ! ゴホゴホッ!」
「おい、大丈夫か! ちょっと、リリアーナも興奮させるなよ!」
「でも、実際に死んでしまった冒険者だっているのよ!」
「……私だって、攻撃はしたくなかった。でも、そうしなくちゃ、どうしようもなかったのよ」
これは、どうしたものか。
レイチェルは自己防衛のために反撃をしたが、それが冒険者を殺してしまいリリアーナから反感を買っている。
俺としてはリリアーナの反応は当然だと思っているし、レイチェルの行動が過剰だと言わざるを得ない。
自己防衛だからといって、本当に助けを求めていたのなら殺してしまうのは絶対にやってはいけないことだった。
「……レイチェル。ドラゴンというのはそれだけで強い個体だと聞いている。どうして反撃をしてしまったんだ? それに、ブレスで殺してしまえば反感を買うのは当然じゃないのか?」
「……殺して、ない」
「……なんだと?」
「貴様、この期に及んでそのような嘘を! あの冒険者は確かに灰にされたと──」
「私は、誰も殺してない! 反撃はしたけど、殺してないわ!」
……いったいどういうことだ? 俺は、どちらの意見を信じればいいんだ?
そして、そこに残されていたのは──銀髪の痩せ細った少女だった。
「……こ、これは、どういうことだ?」
「……ごめん、私にもさっぱり分からないわ」
リリアーナが分からないことを俺が分かるはずもなく、どうしたものかと考えた結果──
「……とりあえず、助けるか」
「ちょっと、アマカワ! さすがに危険だと思うんだけど?」
「うーん、そうかもしれないけど、あの子は俺に助けてって言ってたんだよな。今は気絶していて危険もなさそうだし、俺とリリアーナしか知らないわけだろ? だったら問題ないんじゃないか?」
「……言っておくけど、アマカワは殺されかけたのよ?」
うーん、リリアーナは怒っているっぽい。
まあ、言っていることは間違っていないと思うし、普通ならこの場で殺すかどこかに引き渡して俺たちは手を引くってのが正しい選択なのだろう。
しかし、助けを求められた相手の話も聞かずに放り出すのはどうも気が引ける。
相手が少女だということも理由の一つなんだけどな。
「それじゃあ、リリアーナはあの女の子を殺せっていうのか?」
「うぐっ! ……でも、あの子はドラゴンなのよ?」
「俺はこの世界のドラゴンってのがどんなものか知らないんだが、ドラゴンってのは人にもなれるものなのか?」
「それは……私にも、分からないわ」
「そうか。それなら、何か事情があるかもしれないし、話を聞くくらいはしてあげてもいいんじゃないか?」
そもそもドラゴンって頻繁に出てくるような存在なのだろうか。それとも伝説級の何かなのか?
そこらへんも含めて、俺には情報が少な過ぎるんだ。
「情報はあって困るものでもないし、話くらいは聞いてみようぜ?」
「……はぁ。転生者ってのは、みんなアマカワみたいに優しい性格なのかしらね」
「俺は優しくなんてないぞ。もし敵意を示されたらすぐに殺すかもしれないし」
「……はいはい、冗談で言っているのが顔に出てるわよー」
……あれ、俺ってそんなに分かりやすかったっけか?
「でも、アマカワが言っていることにも一理あるし、誰もいないうちに話くらい聞いてみましょうか」
「おぉ、ありがとう、リリアーナ!」
「べ、別に、お礼を言われることじゃないからね! その、あの子がかわいそうだと思ったからよ!」
何故かそっぽを向かれてしまったが、とりあえずリリアーナを説得することができたのはよかった。
その気になれば俺が止める間も無く殺すこともできただろうしな。
「そんじゃまあ、一度あの子を起こすか」
そう言って俺はクレーターの中を下りると少女を抱き起こす。
「……ぐっ!」
「おい、大丈夫か?」
「……ぁ、あなたは、さっきの?」
「あぁ。すまなかったな、まさか助けを求めていたとは知らなかったんだ」
意識を取り戻した少女だが、やはりダメージが大きいようで話をするのも苦しそうにしている。
だが、ここでなんの情報も得る前に治療を施すのは危険すぎる。この子が危険じゃないという確信が得られるまでは、申し訳ないがこのまま話を進めさせてもらうしかない。
「それで、君は何者なんだ?」
「……私は、レイチェル。皆様に、助けを……借りたくて。でも、突然攻撃を受けて……」
「助けですって? ドラゴンが助けなんて、あなたは私たちの仲間を殺した──」
「いきなり攻撃を受けたのよ! そうじゃなければ私が──ゴホッ! ゴホゴホッ!」
「おい、大丈夫か! ちょっと、リリアーナも興奮させるなよ!」
「でも、実際に死んでしまった冒険者だっているのよ!」
「……私だって、攻撃はしたくなかった。でも、そうしなくちゃ、どうしようもなかったのよ」
これは、どうしたものか。
レイチェルは自己防衛のために反撃をしたが、それが冒険者を殺してしまいリリアーナから反感を買っている。
俺としてはリリアーナの反応は当然だと思っているし、レイチェルの行動が過剰だと言わざるを得ない。
自己防衛だからといって、本当に助けを求めていたのなら殺してしまうのは絶対にやってはいけないことだった。
「……レイチェル。ドラゴンというのはそれだけで強い個体だと聞いている。どうして反撃をしてしまったんだ? それに、ブレスで殺してしまえば反感を買うのは当然じゃないのか?」
「……殺して、ない」
「……なんだと?」
「貴様、この期に及んでそのような嘘を! あの冒険者は確かに灰にされたと──」
「私は、誰も殺してない! 反撃はしたけど、殺してないわ!」
……いったいどういうことだ? 俺は、どちらの意見を信じればいいんだ?
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