25 / 56
第1章:異世界転生
森の外の世界
しおりを挟む
――おぉ……おおぉ……おおぉっ!
「凄い、これが――異世界!」
森を向けた先で俺が見たのは、どこまでも続く大草原! そして、遠くの方に見えるは外壁が囲む大きな都市だ!
「あそこに見えるのがゼルジュラーダよ」
「おぉっ! あれがゼルジュラーダか!」
グランザリウスに来て初めての人が暮らす都市だ。
この世界の都市がどのような場所なのか、どういう文明が育っているのか、そして俺の生活拠点になる得るのか……とても、本当にとっても楽しみだ!
「ゼルジュラーダまでは徒歩だと三日といったところだが、大丈夫そうか?」
「三日!? ……まあ、そっか。魔法でひとっ飛びとかは無理だよな」
「そんな魔法がアマカワのいた世界ではあったのか!」
「いや、ないない。ゲームとかそういう世界の話だ」
そうなると俺の体力が持つかどうか。ステータスは魅力が無駄に高くて、他は低いからなぁ。
「そういえば、スキルポイントが5だけ残っていたっけ」
「なんだ、便利なスキルでもあるのか?」
「それを今から探そうと思いまして」
5ポイントで習得できるスキルとなれば重力制御や空間収納と比べて便利なものは少ないだろうが、それでも長距離を移動するのに役立つスキルがあれば……スキルが……って、重力制御スキル?
「……あれ、もしかして、これで移動できるんじゃないか?」
俺は確かめるためにも重力制御スキルについて改めて確認する。
物体の重力を調整することができ、重くすることや軽くすることができる。
「物体の対象に、俺を指定することができれば……お、これはいけたかな?」
「いったい何をしているんだ?」
「ちょっと俺の体重を軽くしてみたんだ」
「体重を軽く? ……あぁ、重力制御スキルか?」
「そうそう。俺って無駄に魅力の数値が高くて、他は低すぎるんだよね。だから、少しでも楽に移動できればと思ったんだけど……ちょっと走ってみてもいいかな」
「み、魅力って……」
「あの、リリアーナ? 走ってみてもいいかな?」
「……あ、あぁ、ごめんね、構わないわよ」
さて、リリアーナのあの反応にも慣れてきたところで、ちょっと試してみますか。
俺の体重はおそらく三分の二にまで落ちている。これで走れば体力の温存につながるはずだ。
「それじゃあ、ちょっといってみますか!」
――ドゴンッ!
「ア、アマカワ!?」
……し、視界いっぱいに、地面が。
「……いってええええっ! は、鼻が、鼻がああああっ!」
「お前、一歩目から躓くとかあり得ないだろう!」
「ぐぬぬ、俺、躓いてたのか?」
「盛大に躓いていたわよ!」
うーん、いきなり体重を軽くしたから、体の使い方が変わっちゃったってことかな。大人になって全力疾走しようとしたら躓くみたいな、そんな感じになったのだろう。
「あ、安心しなさいよ。別に走って三日ってわけじゃないから、体重を軽くして普通のペースで歩けばいいんだから」
「……そっか、そうだよな。ごめん、ちょっと異世界にテンションが高くなってたみたい」
日本では絶対にお目に掛れない大草原に興奮してたみたいだ。
そうだよな、体重が軽くなるだけでも負担は軽くなるんだから、あとはリリアーナのペースに合わせて歩けば問題はないんだ。
「まあ、アマカワくらいの力があれば魔族に対する心配は少ないのかもしれないけど、外には危険がたくさんあるんだから気をつけてね」
「いや、俺に力は全くない。だから、危険が迫ってたら絶対に教えてね」
「一人で魔族を倒しておいて、よく言うわね。でも、もちろんよ。パーティメンバーを危険に晒すわけないじゃないのよ」
「あー、そうだよな、すまん」
「その代わり、私のことも助けてよね」
「も、もちろんだ! 俺にできることがあれば何でも言ってくれ!」
俺がリリアーナの助けになれる機会なんてすぐには訪れないと思うけど、その時には全力で助けようと心に決めた。
「……あぁ、しかし改めて見ても、本当に凄いなぁ。エルフの森って高台にあったんだな」
「そうね。ここは少し特殊な地形でね、元々は平面だったんだけど一〇〇〇年以上前の地殻変動でここだけせり上がっちゃったのよ」
「そ、そんな昔に……でも、森がせり上がる地殻変動ってヤバいな。影響はここだけだったのか?」
「いいえ、ここだけじゃなくて世界中で地殻変動は起きていたわ。その時に目覚めたのが――魔王だって話よ」
魔王と聞いた俺は、駄女神との会話の内容を思い出していた。
『——グランザリウスを魔族の脅威から救ってほしいのです』
駄女神は確かにそう言っていた。
魔族の脅威……それは、魔王を倒せということだろうか。
「魔王って今もいるのか?」
「いるともいないとも言えるわね」
「どういうことだ?」
俺が首を傾げていると、リリアーナがさも当然という風に教えてくれた。
「魔王は地殻変動があった年の戦争で、勇者が封印したと言われているわ。だから生きているとは言われているけど、もう見たことのある人はほとんどいないと思うわ」
いや、ほとんどいないって、一〇〇〇年も経ってたら誰もいないでしょうよ。
「凄い、これが――異世界!」
森を向けた先で俺が見たのは、どこまでも続く大草原! そして、遠くの方に見えるは外壁が囲む大きな都市だ!
「あそこに見えるのがゼルジュラーダよ」
「おぉっ! あれがゼルジュラーダか!」
グランザリウスに来て初めての人が暮らす都市だ。
この世界の都市がどのような場所なのか、どういう文明が育っているのか、そして俺の生活拠点になる得るのか……とても、本当にとっても楽しみだ!
「ゼルジュラーダまでは徒歩だと三日といったところだが、大丈夫そうか?」
「三日!? ……まあ、そっか。魔法でひとっ飛びとかは無理だよな」
「そんな魔法がアマカワのいた世界ではあったのか!」
「いや、ないない。ゲームとかそういう世界の話だ」
そうなると俺の体力が持つかどうか。ステータスは魅力が無駄に高くて、他は低いからなぁ。
「そういえば、スキルポイントが5だけ残っていたっけ」
「なんだ、便利なスキルでもあるのか?」
「それを今から探そうと思いまして」
5ポイントで習得できるスキルとなれば重力制御や空間収納と比べて便利なものは少ないだろうが、それでも長距離を移動するのに役立つスキルがあれば……スキルが……って、重力制御スキル?
「……あれ、もしかして、これで移動できるんじゃないか?」
俺は確かめるためにも重力制御スキルについて改めて確認する。
物体の重力を調整することができ、重くすることや軽くすることができる。
「物体の対象に、俺を指定することができれば……お、これはいけたかな?」
「いったい何をしているんだ?」
「ちょっと俺の体重を軽くしてみたんだ」
「体重を軽く? ……あぁ、重力制御スキルか?」
「そうそう。俺って無駄に魅力の数値が高くて、他は低すぎるんだよね。だから、少しでも楽に移動できればと思ったんだけど……ちょっと走ってみてもいいかな」
「み、魅力って……」
「あの、リリアーナ? 走ってみてもいいかな?」
「……あ、あぁ、ごめんね、構わないわよ」
さて、リリアーナのあの反応にも慣れてきたところで、ちょっと試してみますか。
俺の体重はおそらく三分の二にまで落ちている。これで走れば体力の温存につながるはずだ。
「それじゃあ、ちょっといってみますか!」
――ドゴンッ!
「ア、アマカワ!?」
……し、視界いっぱいに、地面が。
「……いってええええっ! は、鼻が、鼻がああああっ!」
「お前、一歩目から躓くとかあり得ないだろう!」
「ぐぬぬ、俺、躓いてたのか?」
「盛大に躓いていたわよ!」
うーん、いきなり体重を軽くしたから、体の使い方が変わっちゃったってことかな。大人になって全力疾走しようとしたら躓くみたいな、そんな感じになったのだろう。
「あ、安心しなさいよ。別に走って三日ってわけじゃないから、体重を軽くして普通のペースで歩けばいいんだから」
「……そっか、そうだよな。ごめん、ちょっと異世界にテンションが高くなってたみたい」
日本では絶対にお目に掛れない大草原に興奮してたみたいだ。
そうだよな、体重が軽くなるだけでも負担は軽くなるんだから、あとはリリアーナのペースに合わせて歩けば問題はないんだ。
「まあ、アマカワくらいの力があれば魔族に対する心配は少ないのかもしれないけど、外には危険がたくさんあるんだから気をつけてね」
「いや、俺に力は全くない。だから、危険が迫ってたら絶対に教えてね」
「一人で魔族を倒しておいて、よく言うわね。でも、もちろんよ。パーティメンバーを危険に晒すわけないじゃないのよ」
「あー、そうだよな、すまん」
「その代わり、私のことも助けてよね」
「も、もちろんだ! 俺にできることがあれば何でも言ってくれ!」
俺がリリアーナの助けになれる機会なんてすぐには訪れないと思うけど、その時には全力で助けようと心に決めた。
「……あぁ、しかし改めて見ても、本当に凄いなぁ。エルフの森って高台にあったんだな」
「そうね。ここは少し特殊な地形でね、元々は平面だったんだけど一〇〇〇年以上前の地殻変動でここだけせり上がっちゃったのよ」
「そ、そんな昔に……でも、森がせり上がる地殻変動ってヤバいな。影響はここだけだったのか?」
「いいえ、ここだけじゃなくて世界中で地殻変動は起きていたわ。その時に目覚めたのが――魔王だって話よ」
魔王と聞いた俺は、駄女神との会話の内容を思い出していた。
『——グランザリウスを魔族の脅威から救ってほしいのです』
駄女神は確かにそう言っていた。
魔族の脅威……それは、魔王を倒せということだろうか。
「魔王って今もいるのか?」
「いるともいないとも言えるわね」
「どういうことだ?」
俺が首を傾げていると、リリアーナがさも当然という風に教えてくれた。
「魔王は地殻変動があった年の戦争で、勇者が封印したと言われているわ。だから生きているとは言われているけど、もう見たことのある人はほとんどいないと思うわ」
いや、ほとんどいないって、一〇〇〇年も経ってたら誰もいないでしょうよ。
1
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説


転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!
織侍紗(@'ω'@)ん?
ファンタジー
ルーチェ村に住む少年アインス。幼い頃両親を亡くしたアインスは幼馴染の少女プラムやその家族たちと仲良く過ごしていた。そして今年で十二歳になるアインスはプラムと共に近くの町にある学園へと通うことになる。
そこではまず初めにこの世界に生きる全ての存在が持つ職位というものを調べるのだが、そこでアインスはこの世界に存在するはずのない無職であるということがわかる。またプラムは賢者だということがわかったため、王都の学園へと離れ離れになってしまう。
その夜、アインスは自身に前世があることを思い出す。アインスは前世で嫌な上司に手柄を奪われ、リストラされたあげく無職となって死んだところを、女神のノリと嫌がらせで無職にさせられた転生者だった。
そして妖精と呼ばれる存在より、自身のことを聞かされる。それは、無職と言うのはこの世界に存在しない職位の為、この世界がアインスに気づくことが出来ない。だから、転生者に対しての調整機構が働かない、という状況だった。
アインスは聞き流す程度でしか話を聞いていなかったが、その力は軽く天災級の魔法を繰り出し、時の流れが遅くなってしまうくらいの亜光速で動き回り、貴重な魔導具を呼吸をするように簡単に創り出すことが出来るほどであった。ただ、争いやその力の希少性が公になることを極端に嫌ったアインスは、そのチート過ぎる能力を全力にバレない方向に使うのである。
これはそんな彼が前世の知識と無職の圧倒的な力を使いながら、仲間たちとスローライフを楽しむ物語である。
以前、掲載していた作品をリメイクしての再掲載です。ちょっと書きたくなったのでちまちま書いていきます。

【完結】四ばあちゃん、二度目の人生
大江山 悠真
ファンタジー
63歳、高校時代の仲間4人のおばあちゃんが異世界転生。せっかくの二度目悔いなく生きたいとシズ・セリ・ヤエ・マリ奮戦中。現在はセリを中心に展開中。シズ・セリ・ヤエと登場し、最後のマリのお話です。シズ・セリ・ヤエの子供たちも登場するかもしれません。初めての作品でなかなか思うように登場人物が動いてくれませんが完結まで進めていこうと思っています。


神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる