20 / 56
第1章:異世界転生
新しいスキルとつるはし
しおりを挟む
あまりの近さに顔を若干引いてしまったものの、指摘すると悪いのでそのままの体勢で確認をする。
「な、なんか、空間収納ってスキルが、出てきたんです」
「空間収納? ……聞いたことがないわね」
「そうなんですか? でも、この感じだと……」
先ほど話に出ていた空間魔法の一種ではないだろうか。
マンガやラノベとかでも、収納と名の付くものは大抵なんでも入ったわけだし。
「空間収納スキルは……うげー、スキルポイントが足りないなぁ」
「いくつ必要なんだ?」
「……15ポイント。さっき重力制御スキルで12使ったから残りが6ポイントしかないんだよ」
最低でも二回のレベルアップが必要になりそうだ。
「仕方ない、こいつらは諦めるか」
「いいの?」
「あぁ。木材があればいつでもどこでも作れるし、その時に空間収納を習得していたら、そいつを持ち運びしたらいいからな……愛着もあってもったいないけど」
そう、こいつらは俺が木材加工スキルを習得して一番最初に作った作品なのだ。
スキルレベルが1の時だったから未熟も未熟な作品だけど、やっぱり最初の作品には愛着が湧いてしまう。
「……レ、レベル上げに、付き合ってやってもいいぞ?」
「でも、時間が掛かるんじゃないのか? 最低でも二回のレベルアップが必要なんだが」
「10から12なら、それほど時間も掛からないわよ。それに、アマカワをセルジュラーダに連れていくって約束だものね」
リリアーナ、マジで優しいなぁ。
だけど、それなら早速行動に移すべきだな。
約束を守ってくれるのは本当にありがたいけど、それはリリアーナの時間を貰ってるってことでもあるんだし。
「ありがとう。それじゃあ、早速森の中に行ってくるよ!」
「ちょっと、一人で行く気?」
「そうだけど……もしかして、一緒に来てくれるのか?」
「一緒にいるんだもの、そりゃ行くわよ」
そ、そこまでしてもらっていいのだろうか。俺にバチが当たったりしないだろうか。
「……それに、離れたくもないし?」
「えっ、何か言いましたか?」
「な、ななな、なんでもないわよ! ほら、さっさと行きましょう!」
「……? そ、そうだな、ありがとう」
よく分からないが、やっぱりリリアーナも時間がないんだろう。
俺はナイフを持ってすぐに森の中へ入っていった。
レベル上げがメインだけど、つるはしを使ってみたいというのも本音なので、とりあえずは岩場を目指すことにした。
今回はでか兎やでか豚を積極的に狩っていく。
そんなすぐにレベルが上がるわけではないので、見つけ次第片っ端から狩る、狩る、狩る。
途中、リリアーナが声を掛けてきたのだがでか蛇を見つけたこともあり、俺は一目散に駆け出して首を落としてしまった。
「よし! これで蛇革の小物が作れるぞ!」
「……なんだか、おかしなものを見てる気分よ」
そんな呟きが聞こえてきたが、意味が分からずに俺はその場で蛇の皮を剥いでいく。
必要な量だけを鞄に入れて、再び岩場へと向かう。
「──よし、ここですよ、ここ!」
「……なるほど、確かに鉱石が眠っているようね」
「リリアーナも採掘スキルを持っているのか?」
「一応、採取系統のスキルはスキル書を使って習得したわ。こっちの系統は値段も比較的安価だからね」
ふむふむ、系統によっては値段がはね上がる、ということか。
そう考えると、リリアーナが言うようにスキルをポイントで習得できる事実こそが、賢者と言われても不思議ではないかもしれないな。
「さーて、それじゃあ試してみますか!」
俺はナイフを鞘に戻して、肩から下げていたつるはしを両手で構える。
採掘スキルのおかげで、この辺にあるという感覚を信じてピックを岩場へ叩きつけた。
──ドゴンッ!
「いえあっ!?」
すると、一発で大穴が空いてアースレイロッグがゴロゴロと転がり落ちてきた。
その量は俺の両手では抱えきれないほどの量で、さすがにこれらを置いて去るというのは考えられない。
「……ほ、本格的に、レベル上げが必要になりましたねー」
「……」
「……あれ、リリアーナ?」
「……」
なぜだろう、アースレイロッグを見つめたまま固まってしまい、反応がないんだが。
「……おーい、リリアーナー。……リリアーナ!」
「はっ! ……あ、あぁ、ごめんね、アマカワ」
「いや、いいんだけど、どうしたんだ?」
「……そっか、そうよね。うん、知らなくて当然なのか」
いや、そんな独り言みたく言われても何が何やら分からないんだけど。
「アマカワ、この鉱石がなんだか知ってる?」
「アースレイロッグだろ? 鑑定スキルで名前は分かってるよ」
「そう、やっぱりそうなのね」
「……もしかして、これって!」
俺が全てを告げる前に、リリアーナは頬をひくつかせながらはっきりと教えてくれた。
「アースレイロッグは──超一級品の鉱石なのよ!」
……えっと、俺はそんな高価な鉱石でつるはしのピックと鍋を作っちゃったみたいです。
「な、なんか、空間収納ってスキルが、出てきたんです」
「空間収納? ……聞いたことがないわね」
「そうなんですか? でも、この感じだと……」
先ほど話に出ていた空間魔法の一種ではないだろうか。
マンガやラノベとかでも、収納と名の付くものは大抵なんでも入ったわけだし。
「空間収納スキルは……うげー、スキルポイントが足りないなぁ」
「いくつ必要なんだ?」
「……15ポイント。さっき重力制御スキルで12使ったから残りが6ポイントしかないんだよ」
最低でも二回のレベルアップが必要になりそうだ。
「仕方ない、こいつらは諦めるか」
「いいの?」
「あぁ。木材があればいつでもどこでも作れるし、その時に空間収納を習得していたら、そいつを持ち運びしたらいいからな……愛着もあってもったいないけど」
そう、こいつらは俺が木材加工スキルを習得して一番最初に作った作品なのだ。
スキルレベルが1の時だったから未熟も未熟な作品だけど、やっぱり最初の作品には愛着が湧いてしまう。
「……レ、レベル上げに、付き合ってやってもいいぞ?」
「でも、時間が掛かるんじゃないのか? 最低でも二回のレベルアップが必要なんだが」
「10から12なら、それほど時間も掛からないわよ。それに、アマカワをセルジュラーダに連れていくって約束だものね」
リリアーナ、マジで優しいなぁ。
だけど、それなら早速行動に移すべきだな。
約束を守ってくれるのは本当にありがたいけど、それはリリアーナの時間を貰ってるってことでもあるんだし。
「ありがとう。それじゃあ、早速森の中に行ってくるよ!」
「ちょっと、一人で行く気?」
「そうだけど……もしかして、一緒に来てくれるのか?」
「一緒にいるんだもの、そりゃ行くわよ」
そ、そこまでしてもらっていいのだろうか。俺にバチが当たったりしないだろうか。
「……それに、離れたくもないし?」
「えっ、何か言いましたか?」
「な、ななな、なんでもないわよ! ほら、さっさと行きましょう!」
「……? そ、そうだな、ありがとう」
よく分からないが、やっぱりリリアーナも時間がないんだろう。
俺はナイフを持ってすぐに森の中へ入っていった。
レベル上げがメインだけど、つるはしを使ってみたいというのも本音なので、とりあえずは岩場を目指すことにした。
今回はでか兎やでか豚を積極的に狩っていく。
そんなすぐにレベルが上がるわけではないので、見つけ次第片っ端から狩る、狩る、狩る。
途中、リリアーナが声を掛けてきたのだがでか蛇を見つけたこともあり、俺は一目散に駆け出して首を落としてしまった。
「よし! これで蛇革の小物が作れるぞ!」
「……なんだか、おかしなものを見てる気分よ」
そんな呟きが聞こえてきたが、意味が分からずに俺はその場で蛇の皮を剥いでいく。
必要な量だけを鞄に入れて、再び岩場へと向かう。
「──よし、ここですよ、ここ!」
「……なるほど、確かに鉱石が眠っているようね」
「リリアーナも採掘スキルを持っているのか?」
「一応、採取系統のスキルはスキル書を使って習得したわ。こっちの系統は値段も比較的安価だからね」
ふむふむ、系統によっては値段がはね上がる、ということか。
そう考えると、リリアーナが言うようにスキルをポイントで習得できる事実こそが、賢者と言われても不思議ではないかもしれないな。
「さーて、それじゃあ試してみますか!」
俺はナイフを鞘に戻して、肩から下げていたつるはしを両手で構える。
採掘スキルのおかげで、この辺にあるという感覚を信じてピックを岩場へ叩きつけた。
──ドゴンッ!
「いえあっ!?」
すると、一発で大穴が空いてアースレイロッグがゴロゴロと転がり落ちてきた。
その量は俺の両手では抱えきれないほどの量で、さすがにこれらを置いて去るというのは考えられない。
「……ほ、本格的に、レベル上げが必要になりましたねー」
「……」
「……あれ、リリアーナ?」
「……」
なぜだろう、アースレイロッグを見つめたまま固まってしまい、反応がないんだが。
「……おーい、リリアーナー。……リリアーナ!」
「はっ! ……あ、あぁ、ごめんね、アマカワ」
「いや、いいんだけど、どうしたんだ?」
「……そっか、そうよね。うん、知らなくて当然なのか」
いや、そんな独り言みたく言われても何が何やら分からないんだけど。
「アマカワ、この鉱石がなんだか知ってる?」
「アースレイロッグだろ? 鑑定スキルで名前は分かってるよ」
「そう、やっぱりそうなのね」
「……もしかして、これって!」
俺が全てを告げる前に、リリアーナは頬をひくつかせながらはっきりと教えてくれた。
「アースレイロッグは──超一級品の鉱石なのよ!」
……えっと、俺はそんな高価な鉱石でつるはしのピックと鍋を作っちゃったみたいです。
1
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説


転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!
織侍紗(@'ω'@)ん?
ファンタジー
ルーチェ村に住む少年アインス。幼い頃両親を亡くしたアインスは幼馴染の少女プラムやその家族たちと仲良く過ごしていた。そして今年で十二歳になるアインスはプラムと共に近くの町にある学園へと通うことになる。
そこではまず初めにこの世界に生きる全ての存在が持つ職位というものを調べるのだが、そこでアインスはこの世界に存在するはずのない無職であるということがわかる。またプラムは賢者だということがわかったため、王都の学園へと離れ離れになってしまう。
その夜、アインスは自身に前世があることを思い出す。アインスは前世で嫌な上司に手柄を奪われ、リストラされたあげく無職となって死んだところを、女神のノリと嫌がらせで無職にさせられた転生者だった。
そして妖精と呼ばれる存在より、自身のことを聞かされる。それは、無職と言うのはこの世界に存在しない職位の為、この世界がアインスに気づくことが出来ない。だから、転生者に対しての調整機構が働かない、という状況だった。
アインスは聞き流す程度でしか話を聞いていなかったが、その力は軽く天災級の魔法を繰り出し、時の流れが遅くなってしまうくらいの亜光速で動き回り、貴重な魔導具を呼吸をするように簡単に創り出すことが出来るほどであった。ただ、争いやその力の希少性が公になることを極端に嫌ったアインスは、そのチート過ぎる能力を全力にバレない方向に使うのである。
これはそんな彼が前世の知識と無職の圧倒的な力を使いながら、仲間たちとスローライフを楽しむ物語である。
以前、掲載していた作品をリメイクしての再掲載です。ちょっと書きたくなったのでちまちま書いていきます。

【完結】四ばあちゃん、二度目の人生
大江山 悠真
ファンタジー
63歳、高校時代の仲間4人のおばあちゃんが異世界転生。せっかくの二度目悔いなく生きたいとシズ・セリ・ヤエ・マリ奮戦中。現在はセリを中心に展開中。シズ・セリ・ヤエと登場し、最後のマリのお話です。シズ・セリ・ヤエの子供たちも登場するかもしれません。初めての作品でなかなか思うように登場人物が動いてくれませんが完結まで進めていこうと思っています。


神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる