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第1章:異世界転生
転生者
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もしかして、転生者ってグランザリウスでは普通のことなのか?
「あの、驚かないの? あり得ないとか思わないの?」
「私自身は転生者に会ったことはなかったけど、噂は結構聞いていたからね」
「……あ、そうなんだ」
それなら別に隠すことではないのかと思ったのだが、リリアーナはすぐに真剣な顔で注意を促してきた。
「でも、あまり大っぴらにはしない方がいいわよ」
「やっぱりそうなの?」
「えぇ。転生者って、私たちの知らない知識を持っている人が多くてね。その知識を悪用しようとさらわれることとかも多いのよ」
「やっぱりそうなんだ」
「アマカワの場合も……うん、あの様子を見ていたら絶対に狙われると思うわよ」
リリアーナの視線は俺の荷物があるテーブルの方へ向けられている。
「いや、あれは俺の知識というよりかはスキルのおかげなんだけど」
「スキルがあっても、あんなに色々な物は作れないわよ」
「そうなの? 習得するスキルが選べるんだから、選び方であれくらいは──」
「ちょっと待ちなさい!」
……いきなりなんだろうか。
「……アマカワ、スキルは、選べないわよ?」
「……へっ?」
「スキルは生まれた時に決まっているもの、選べるわけがないじゃないの!」
「でも、俺は確かに選べてるよ? テーブルとかイスは木材加工スキルだし、つるはしは金属加工スキルも使ってるし、狩人スキルと鑑定スキルは万能で──」
「か、鑑定スキルまで持ってるの!?」
「……マジで、おかしいってこと?」
まさか、この世界にはステータスって概念すらないとか言わないよな。
もしかして、俺のスキルってチート能力なのか?
「おかしいわね。どれだけレベルが上がったとしても、新しいスキルを習得するには専用のスキル書が必要になるもの」
「あっ、レベルの概念はあるのか。それじゃあ、ステータスの概念はある?」
「ステータス? それはあるに決まってるじゃないの。……って、そっか。そこからなんだものね」
「すみません」
頭を掻きながら謝る俺に、リリアーナは笑みを浮かべて気にしないでと言ってくれた。
「転生者ってみんなアマカワみたいな感じなのかな」
「どうでしょうか。というか、俺を転生させた女神が駄女神だったので、そのせいもあったかもしれませんね」
「だ、駄女神って……まあいいわ。さっきも言ったけど、ゼルジュラーダまでは私が案内してあげるわ。それと、冒険者ギルドにも話を通してあげる」
「それは助かります! ……あ、でも、良ければ一度試したいことがあるんですけどいいですか?」
そう言って俺は急いで湖の反対側にあるテーブルからつるはしを手にして腕を振る。
「せっかく作ったので、鉱石だけでも採りたいんですけどー!」
「……何よそれ」
今度は苦笑いだ。
「……あっ! そっか、ここはエルフの森でしたもんね」
「いえ、構わないわよ」
「いいんですか?」
「えぇ。エルフの森とは言っても、昔エルフが住んでいたっただけで、今は野生の動物しかいないもの」
「あ、ありがとうございます! それじゃあ……これは、どうしようかな」
俺が処分に困ったものはテーブルやイス、ベッドといった比較的大きい家具である。
壊してしまうのが一番手っ取り早いのだが、手作り家具なので思い入れも強い。
こんな時にアイテムボックス的な、何でも入る鞄だったり空間があったりしないだろうか。
「……あれ? そういえば、オルトロスを倒してレベルってどうなってるんだろう」
リリアーナを待たしてしまっているが、俺は急いでステータスを確認する。
「……おぉっ! レベルが7から10まで上がってるよ!」
「レベル10? アマカワって、レベル10なの?」
「オルトロスを倒して10になったみたいです!」
「……はぁ。もう驚かないわよ」
何に驚かないと言っているのだろうか。
とにもかくにも、俺はスキルポイントを確認する。
「ポイントは18あるから、結構な数のスキルを習得できるな」
「ポイントって、本当に転生者は不思議な能力を持っているのね」
「そうだ。リリアーナ、道具を簡単に持ち運びできるスキルってあったりするかな?」
「それって、空間魔法のことかしら?」
「……空間魔法? たぶんそれかも。大きさに関係なく、無限に道具を入れられるスキル」
「そういうことなら、やっぱり空間魔法ね。……まさか、空間魔法まで持ってるの?」
「いや、持ってない……たぶん」
だが、魔法と言っているくらいだから使えるんだろう。
だけど、それならスキルとは異なってしまうので俺が使えるようになるのはだいぶ先のことになるだろう。
だって……チラって見えたけど、俺の魔力はまだ54しかないわけだし。
「魔法じゃなくて、スキルではないかな?」
「スキルねぇ……ねえ、もしよければなんだけど、アマカワのステータスを見せてくれないかな?」
「ステータス? 構わないぞ」
俺はステータス画面を見せるためにリリアーナの隣に立つ。
「ふえっ!」
「ん? どうした……あっと、ごめん! そうだよな、近いよな」
「あっ! だ、大丈夫よ! 近くても構わない! ……むしろ近い方が~」
「えっ? ごめん、最後の方が聞こえなかったんだけど?」
「いい! 聞こえなくていいから! ほら、見せなさいよ、近くに来なさいよ!」
「……リリアーナがいいなら」
いったいどうしたのだろうか。
まあ、見てもらえるなら助言も貰えるだろうし助かるんだけどな。
「あの、驚かないの? あり得ないとか思わないの?」
「私自身は転生者に会ったことはなかったけど、噂は結構聞いていたからね」
「……あ、そうなんだ」
それなら別に隠すことではないのかと思ったのだが、リリアーナはすぐに真剣な顔で注意を促してきた。
「でも、あまり大っぴらにはしない方がいいわよ」
「やっぱりそうなの?」
「えぇ。転生者って、私たちの知らない知識を持っている人が多くてね。その知識を悪用しようとさらわれることとかも多いのよ」
「やっぱりそうなんだ」
「アマカワの場合も……うん、あの様子を見ていたら絶対に狙われると思うわよ」
リリアーナの視線は俺の荷物があるテーブルの方へ向けられている。
「いや、あれは俺の知識というよりかはスキルのおかげなんだけど」
「スキルがあっても、あんなに色々な物は作れないわよ」
「そうなの? 習得するスキルが選べるんだから、選び方であれくらいは──」
「ちょっと待ちなさい!」
……いきなりなんだろうか。
「……アマカワ、スキルは、選べないわよ?」
「……へっ?」
「スキルは生まれた時に決まっているもの、選べるわけがないじゃないの!」
「でも、俺は確かに選べてるよ? テーブルとかイスは木材加工スキルだし、つるはしは金属加工スキルも使ってるし、狩人スキルと鑑定スキルは万能で──」
「か、鑑定スキルまで持ってるの!?」
「……マジで、おかしいってこと?」
まさか、この世界にはステータスって概念すらないとか言わないよな。
もしかして、俺のスキルってチート能力なのか?
「おかしいわね。どれだけレベルが上がったとしても、新しいスキルを習得するには専用のスキル書が必要になるもの」
「あっ、レベルの概念はあるのか。それじゃあ、ステータスの概念はある?」
「ステータス? それはあるに決まってるじゃないの。……って、そっか。そこからなんだものね」
「すみません」
頭を掻きながら謝る俺に、リリアーナは笑みを浮かべて気にしないでと言ってくれた。
「転生者ってみんなアマカワみたいな感じなのかな」
「どうでしょうか。というか、俺を転生させた女神が駄女神だったので、そのせいもあったかもしれませんね」
「だ、駄女神って……まあいいわ。さっきも言ったけど、ゼルジュラーダまでは私が案内してあげるわ。それと、冒険者ギルドにも話を通してあげる」
「それは助かります! ……あ、でも、良ければ一度試したいことがあるんですけどいいですか?」
そう言って俺は急いで湖の反対側にあるテーブルからつるはしを手にして腕を振る。
「せっかく作ったので、鉱石だけでも採りたいんですけどー!」
「……何よそれ」
今度は苦笑いだ。
「……あっ! そっか、ここはエルフの森でしたもんね」
「いえ、構わないわよ」
「いいんですか?」
「えぇ。エルフの森とは言っても、昔エルフが住んでいたっただけで、今は野生の動物しかいないもの」
「あ、ありがとうございます! それじゃあ……これは、どうしようかな」
俺が処分に困ったものはテーブルやイス、ベッドといった比較的大きい家具である。
壊してしまうのが一番手っ取り早いのだが、手作り家具なので思い入れも強い。
こんな時にアイテムボックス的な、何でも入る鞄だったり空間があったりしないだろうか。
「……あれ? そういえば、オルトロスを倒してレベルってどうなってるんだろう」
リリアーナを待たしてしまっているが、俺は急いでステータスを確認する。
「……おぉっ! レベルが7から10まで上がってるよ!」
「レベル10? アマカワって、レベル10なの?」
「オルトロスを倒して10になったみたいです!」
「……はぁ。もう驚かないわよ」
何に驚かないと言っているのだろうか。
とにもかくにも、俺はスキルポイントを確認する。
「ポイントは18あるから、結構な数のスキルを習得できるな」
「ポイントって、本当に転生者は不思議な能力を持っているのね」
「そうだ。リリアーナ、道具を簡単に持ち運びできるスキルってあったりするかな?」
「それって、空間魔法のことかしら?」
「……空間魔法? たぶんそれかも。大きさに関係なく、無限に道具を入れられるスキル」
「そういうことなら、やっぱり空間魔法ね。……まさか、空間魔法まで持ってるの?」
「いや、持ってない……たぶん」
だが、魔法と言っているくらいだから使えるんだろう。
だけど、それならスキルとは異なってしまうので俺が使えるようになるのはだいぶ先のことになるだろう。
だって……チラって見えたけど、俺の魔力はまだ54しかないわけだし。
「魔法じゃなくて、スキルではないかな?」
「スキルねぇ……ねえ、もしよければなんだけど、アマカワのステータスを見せてくれないかな?」
「ステータス? 構わないぞ」
俺はステータス画面を見せるためにリリアーナの隣に立つ。
「ふえっ!」
「ん? どうした……あっと、ごめん! そうだよな、近いよな」
「あっ! だ、大丈夫よ! 近くても構わない! ……むしろ近い方が~」
「えっ? ごめん、最後の方が聞こえなかったんだけど?」
「いい! 聞こえなくていいから! ほら、見せなさいよ、近くに来なさいよ!」
「……リリアーナがいいなら」
いったいどうしたのだろうか。
まあ、見てもらえるなら助言も貰えるだろうし助かるんだけどな。
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