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第一章:役立たずから英雄へ
22.バルザーリ出発
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翌日、朝食を頂いた後にはすぐに出発する運びとなったのだが……。
「コ、コリーヌさんも来てくれるんですか?」
バルザーリを治めているコリーヌさんが離れてもいいのかと気になってしまった。
ライブラッド王国の王様に面会を求めるのだから当然かもしれないが、隣国で戦争が起きるかもしれないとわかっているからこそ、準備を万全に整えておきたいのではないかと思ったのだ。
「私は飾りの領主だからね。実際に仕切っているのは部下だし、軍事に関しても信頼できる者に任せてあるから大丈夫よ」
「お力添え、感謝いたします。コリーヌ様」
ニーナの感謝の言葉に軽い感じで手を振って応えてくれたコリーヌさん。
多くの人に助けられているのだから、援軍要請は必ず取り付けなければならない。
「それで、母上も?」
「もちろんじゃないのよ! 息子がお世話になったライブラッド王国の危機なんだから、立ち上がらないとね!」
「立ち上がるって……え? もしかして、戦うつもりなの?」
「当然じゃない!」
それはさすがに予想外だ。
コリーヌさんやバルザーリ軍に関しては、援軍要請が通れば参加してくれるだろうけど、母上はあくまでも客人である。
僕としても危険な場所には行ってほしくないので、ここで勝利を祈っていてほしかった。
「私の【精霊魔法】を舐めてもらっちゃあ困るわよ? 攻撃も守りも、一点突破や殲滅だってお手のものなんだからね?」
「怖い事を言わないでよね!」
「でも、アルスラーダ帝国からは皇子や皇女が必ず出てくるわよ? それ以外にも強い騎士だっているだろうし、戦力は一人でも多い方がいいのではないかしら?」
その言葉に間違いはない。
僕も皇子や皇女が参戦してくる事は想定している。そして、参加するだろう人選についてもだ。
「第一皇子と第一皇女は万が一がないように残るはず。そうなれば、レンネル、ロベルト、レイリアが出てくるんじゃないかと思っています」
「単純に強力なスキルというだけではなく、その練度も彼らは桁違いよ。同じスキル持ちだとしても、勝てる可能性は低くなる」
「……わかっています」
今回でいればロベルトとアーク様だろうか。
同じ【剣帝の加護】を持っている二人がぶつかれば熾烈な戦いが繰り広げられるだろう。そして、どちらかが死ぬまで戦いは終わらないはず。
年齢だけを見ればアーク様が上だが、実戦経験という部分で見ればロベルトが上回っているに違いない。
「それに、私は客人ではあるけれど、所属は軍属なのよ」
「えっ! そ、そうだったの!?」
「当然じゃない。【精霊魔法】よ? 特級スキルよ? 見回りだって精霊がいれば楽だし、隅々までできるんだからね」
腰に手を当てて胸を張る母上を見て、僕はどういう反応を返せばいいのかわからなくなる。
「これは決定事項なんだから文句を言わない!」
「諦めるんだな、リッツ君。マリーが言ったことを曲げない事くらい、君ならわかるだろう?」
「……わかりました」
「それに、全ては我らが王が援軍要請を受け入れればの話だ。まだ、スタート地点にすら立っていないんだからね」
その言葉は僕だけではなく、ニーナにも向けられたものだった。
その事を理解したのか、ニーナもコリーヌさんを見つめながら大きく頷く。
「早馬はすでに飛ばしている。おそらくは三日ほどで到着するはずだ」
「そうなると、私たちは五日くらいを目途に考えていた方がいいでしょうか?」
「そうですね。ですが、なるべく急いで向かいましょう。すぐにでも宣戦布告が成される可能性もあるのですから」
移動は全員が馬に乗る事になった。
一人で乗れないニーナはキリシェと二人乗りをする事になる。
その分、馬の疲労が気になるところだが、途中の村で変えの馬を用意してくれているとの事だった。
「それでは、出発だ!」
コリーヌさんの号令に合わせて、僕たちは馬を走らせる。
バルザーリからさらに南へと進む。カッサニア公国の王様が住まう中央都市ベルナーラを目指して。
「コ、コリーヌさんも来てくれるんですか?」
バルザーリを治めているコリーヌさんが離れてもいいのかと気になってしまった。
ライブラッド王国の王様に面会を求めるのだから当然かもしれないが、隣国で戦争が起きるかもしれないとわかっているからこそ、準備を万全に整えておきたいのではないかと思ったのだ。
「私は飾りの領主だからね。実際に仕切っているのは部下だし、軍事に関しても信頼できる者に任せてあるから大丈夫よ」
「お力添え、感謝いたします。コリーヌ様」
ニーナの感謝の言葉に軽い感じで手を振って応えてくれたコリーヌさん。
多くの人に助けられているのだから、援軍要請は必ず取り付けなければならない。
「それで、母上も?」
「もちろんじゃないのよ! 息子がお世話になったライブラッド王国の危機なんだから、立ち上がらないとね!」
「立ち上がるって……え? もしかして、戦うつもりなの?」
「当然じゃない!」
それはさすがに予想外だ。
コリーヌさんやバルザーリ軍に関しては、援軍要請が通れば参加してくれるだろうけど、母上はあくまでも客人である。
僕としても危険な場所には行ってほしくないので、ここで勝利を祈っていてほしかった。
「私の【精霊魔法】を舐めてもらっちゃあ困るわよ? 攻撃も守りも、一点突破や殲滅だってお手のものなんだからね?」
「怖い事を言わないでよね!」
「でも、アルスラーダ帝国からは皇子や皇女が必ず出てくるわよ? それ以外にも強い騎士だっているだろうし、戦力は一人でも多い方がいいのではないかしら?」
その言葉に間違いはない。
僕も皇子や皇女が参戦してくる事は想定している。そして、参加するだろう人選についてもだ。
「第一皇子と第一皇女は万が一がないように残るはず。そうなれば、レンネル、ロベルト、レイリアが出てくるんじゃないかと思っています」
「単純に強力なスキルというだけではなく、その練度も彼らは桁違いよ。同じスキル持ちだとしても、勝てる可能性は低くなる」
「……わかっています」
今回でいればロベルトとアーク様だろうか。
同じ【剣帝の加護】を持っている二人がぶつかれば熾烈な戦いが繰り広げられるだろう。そして、どちらかが死ぬまで戦いは終わらないはず。
年齢だけを見ればアーク様が上だが、実戦経験という部分で見ればロベルトが上回っているに違いない。
「それに、私は客人ではあるけれど、所属は軍属なのよ」
「えっ! そ、そうだったの!?」
「当然じゃない。【精霊魔法】よ? 特級スキルよ? 見回りだって精霊がいれば楽だし、隅々までできるんだからね」
腰に手を当てて胸を張る母上を見て、僕はどういう反応を返せばいいのかわからなくなる。
「これは決定事項なんだから文句を言わない!」
「諦めるんだな、リッツ君。マリーが言ったことを曲げない事くらい、君ならわかるだろう?」
「……わかりました」
「それに、全ては我らが王が援軍要請を受け入れればの話だ。まだ、スタート地点にすら立っていないんだからね」
その言葉は僕だけではなく、ニーナにも向けられたものだった。
その事を理解したのか、ニーナもコリーヌさんを見つめながら大きく頷く。
「早馬はすでに飛ばしている。おそらくは三日ほどで到着するはずだ」
「そうなると、私たちは五日くらいを目途に考えていた方がいいでしょうか?」
「そうですね。ですが、なるべく急いで向かいましょう。すぐにでも宣戦布告が成される可能性もあるのですから」
移動は全員が馬に乗る事になった。
一人で乗れないニーナはキリシェと二人乗りをする事になる。
その分、馬の疲労が気になるところだが、途中の村で変えの馬を用意してくれているとの事だった。
「それでは、出発だ!」
コリーヌさんの号令に合わせて、僕たちは馬を走らせる。
バルザーリからさらに南へと進む。カッサニア公国の王様が住まう中央都市ベルナーラを目指して。
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