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第二章:集落誕生?
シルクさんからの呼び出しですよ
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目を覚ました俺は、ベッドの中ですやすやと眠っているリムルの寝顔を見ながらホッと息を吐き出す。
そのまま部屋を出て店主に挨拶をすると、何故か呼び止められてしまった。
「お客さんよ! あんたに伝言を預かってるぞ!」
「伝言ですか? 誰から?」
「猫獣人の旦那だ。知り合いなんだろう?」
猫獣人の知り合いなんて、一人しかいない。
「……どうやって宿屋を見つけたんだ?」
疑問は残るものの、俺はその伝言を聞くことにした。
「昼前に店に寄って欲しい、だってよ。それじゃあ、確かに伝えたからな!」
何やらニヤニヤしたまま伝えられたのだが……マジで夜は何もなかったからな!
「……ったく、あの店主は。しかし、何の用だろう」
新しい剣はまだ出来上がらないだろうし、換金した金額も受け取っている。
まさか、移住の候補者全員に声を掛け終わったとかではないだろう。
目に見えるところにいるのはR以上の人族だが、Nもそれなりに人数はいるはず。
シルクさんの素材屋を利用している人だけとはいえ、それでも一日で伝え終わるとは思えない。
「まあ、言ってみたら分かるか」
ということで、俺はこれからの予定を頭の中で組み立てる。
ルリエが起きてからにはなるが、もし起きてこないようなら、叩き起こしてでも連れて行こう。
俺一人で行ってもいいが、後から何か言われるのは嫌だからな。
シルクさんの用事が長くなるようなら、その後にまた予定を決めるが、早く終わるなら教会に顔を出してもいいかもしれない。
……もしくは、二部屋確保できる宿屋を探すかな。
「移動は面倒だが、同じ部屋だと体が痛い」
硬い床の上で寝るのは、もう嫌だ。
これならば外で野宿した方がいい気がするぞ。
というわけで、俺は一度部屋に戻った。
「あれ? 起きてたんだ」
「おはよう、ヘタレさん」
ぐはあっ!?
……で、出会い頭に、胸を抉るようなその言葉は、酷くないでしょうか。
「……冗談よ。ベッド、ありがとね」
すでに着替えも済ませており、俺は先ほどの言葉から何とか立ち直ると、シルクさんからの伝言をルリエにも伝える。
「だったら、すぐに行きましょうか」
「でも、昼前だぞ? まだ時間はあるけど?」
「昼前だったら、いつでもいいってことよ」
「……そうなのか?」
「シルクさんの言うことだから、間違いないわ」
まあ、付き合いで言えばルリエの方が長いわけだし、そういうことなんだろう。
俺も急いで準備を終わらせると、そのまま宿屋を後にした。
素材屋に到着すると、ドアには閉店の看板が立て掛けられている。
出直した方がいいか、そんなことを考えていたのだが、ルリエは気にすることなくドアを叩き始めた。
「おいおい!」
「シルクさーん! 来たわよー!」
誰がどう見ても閉店だろうに。
だが、すぐにドアが開かれてシルクさんが顔を出した。
「早かったのにゃ」
「昼前でしょ?」
「確かに、間違ってはいないのにゃ。それじゃあ、入るにゃ」
お、おぉぉ、本当に問題なかったみたいだ。
シルクさんについて中に入ると、そこには一人の男性が壁際に佇んでいる。
俺よりもやや低い身長なのだが、深いフードを被っており、パッと見ではとても怪しい雰囲気を漂わせていた。
「彼が、僕とNの人たちを繋いでいるのにゃ」
「……やあ! 君が勇者なんだね? 疑わしいけど、シー君が言うならそうなんだろうね!」
「「……えっ?」」
お、俺の第一印象はどこへやら、男性……少年と言った方がいいのかもしれない。
少年の人好きのする表情がフードの奥から姿を現し、弾んだ声で話し掛けてきた。
「えっと、まあ、そうだな」
「それで、そっちの女の子が剣聖かー。うんうん、良い雰囲気を持ってるねー」
「わ、私のことも喋ったの?」
「にゃ? どうせ知られるからいいかなって思ったのにゃ」
「あはは! やっぱりすぐには信用できないよねー。でもさ、信用はこれから築いていけばいいのさ、そうだろ?」
戸惑っている俺たちの目の前に移動した少年は、下から覗き込むようにしてニコリと笑う。
……あれ? 今、近づかれたことに気づかなかったぞ?
「あれ? もしかして、僕のことを子供だって思ってる?」
「……ち、違うのか?」
「彼はエルフなのにゃ」
「エルフ!?」
「ど、どうしたんだ、ルリエ?」
「あれ? 君はエルフのことを知らないんだねー」
ルリエの驚きを補足するかのように、少年が笑みを崩すことなくそう告げる。
「僕は数少ないエルフ族の生き残りで、リーレインって言うんだ。子供みたいな見た目だけど、年齢は300歳を超えてるんだよー」
……うん。エルフ族云々は分からないが、ものすごい年上だということは理解しました。
そのまま部屋を出て店主に挨拶をすると、何故か呼び止められてしまった。
「お客さんよ! あんたに伝言を預かってるぞ!」
「伝言ですか? 誰から?」
「猫獣人の旦那だ。知り合いなんだろう?」
猫獣人の知り合いなんて、一人しかいない。
「……どうやって宿屋を見つけたんだ?」
疑問は残るものの、俺はその伝言を聞くことにした。
「昼前に店に寄って欲しい、だってよ。それじゃあ、確かに伝えたからな!」
何やらニヤニヤしたまま伝えられたのだが……マジで夜は何もなかったからな!
「……ったく、あの店主は。しかし、何の用だろう」
新しい剣はまだ出来上がらないだろうし、換金した金額も受け取っている。
まさか、移住の候補者全員に声を掛け終わったとかではないだろう。
目に見えるところにいるのはR以上の人族だが、Nもそれなりに人数はいるはず。
シルクさんの素材屋を利用している人だけとはいえ、それでも一日で伝え終わるとは思えない。
「まあ、言ってみたら分かるか」
ということで、俺はこれからの予定を頭の中で組み立てる。
ルリエが起きてからにはなるが、もし起きてこないようなら、叩き起こしてでも連れて行こう。
俺一人で行ってもいいが、後から何か言われるのは嫌だからな。
シルクさんの用事が長くなるようなら、その後にまた予定を決めるが、早く終わるなら教会に顔を出してもいいかもしれない。
……もしくは、二部屋確保できる宿屋を探すかな。
「移動は面倒だが、同じ部屋だと体が痛い」
硬い床の上で寝るのは、もう嫌だ。
これならば外で野宿した方がいい気がするぞ。
というわけで、俺は一度部屋に戻った。
「あれ? 起きてたんだ」
「おはよう、ヘタレさん」
ぐはあっ!?
……で、出会い頭に、胸を抉るようなその言葉は、酷くないでしょうか。
「……冗談よ。ベッド、ありがとね」
すでに着替えも済ませており、俺は先ほどの言葉から何とか立ち直ると、シルクさんからの伝言をルリエにも伝える。
「だったら、すぐに行きましょうか」
「でも、昼前だぞ? まだ時間はあるけど?」
「昼前だったら、いつでもいいってことよ」
「……そうなのか?」
「シルクさんの言うことだから、間違いないわ」
まあ、付き合いで言えばルリエの方が長いわけだし、そういうことなんだろう。
俺も急いで準備を終わらせると、そのまま宿屋を後にした。
素材屋に到着すると、ドアには閉店の看板が立て掛けられている。
出直した方がいいか、そんなことを考えていたのだが、ルリエは気にすることなくドアを叩き始めた。
「おいおい!」
「シルクさーん! 来たわよー!」
誰がどう見ても閉店だろうに。
だが、すぐにドアが開かれてシルクさんが顔を出した。
「早かったのにゃ」
「昼前でしょ?」
「確かに、間違ってはいないのにゃ。それじゃあ、入るにゃ」
お、おぉぉ、本当に問題なかったみたいだ。
シルクさんについて中に入ると、そこには一人の男性が壁際に佇んでいる。
俺よりもやや低い身長なのだが、深いフードを被っており、パッと見ではとても怪しい雰囲気を漂わせていた。
「彼が、僕とNの人たちを繋いでいるのにゃ」
「……やあ! 君が勇者なんだね? 疑わしいけど、シー君が言うならそうなんだろうね!」
「「……えっ?」」
お、俺の第一印象はどこへやら、男性……少年と言った方がいいのかもしれない。
少年の人好きのする表情がフードの奥から姿を現し、弾んだ声で話し掛けてきた。
「えっと、まあ、そうだな」
「それで、そっちの女の子が剣聖かー。うんうん、良い雰囲気を持ってるねー」
「わ、私のことも喋ったの?」
「にゃ? どうせ知られるからいいかなって思ったのにゃ」
「あはは! やっぱりすぐには信用できないよねー。でもさ、信用はこれから築いていけばいいのさ、そうだろ?」
戸惑っている俺たちの目の前に移動した少年は、下から覗き込むようにしてニコリと笑う。
……あれ? 今、近づかれたことに気づかなかったぞ?
「あれ? もしかして、僕のことを子供だって思ってる?」
「……ち、違うのか?」
「彼はエルフなのにゃ」
「エルフ!?」
「ど、どうしたんだ、ルリエ?」
「あれ? 君はエルフのことを知らないんだねー」
ルリエの驚きを補足するかのように、少年が笑みを崩すことなくそう告げる。
「僕は数少ないエルフ族の生き残りで、リーレインって言うんだ。子供みたいな見た目だけど、年齢は300歳を超えてるんだよー」
……うん。エルフ族云々は分からないが、ものすごい年上だということは理解しました。
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