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第二章:集落誕生?
子供たちへの説明
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応接室を出た俺たちは、その足で中庭へと向かう。
そこではヴィリエルが子供たちと遊んで……遊んで?
「どうだー! 凄いでしょー!」
「あはは! あははー!」
「ヴィリエルおねえちゃん、すごーい!」
「たかい、たかーい!」
ヴィリエルは子供たちを高く放り投げたり、腕を掴んでグルグル回ったり、体当たりされたりと、他の人にはできないような遊び方をしている。
さすがはURの剣聖様だが、子供たちが真似てしまったらどうするんだろうか。
「おい、ヴィリエル。その遊び方はマズいんじゃないか?」
「え? でも、私はいつもこうやって遊んでるわよ?」
……毎回こうなんかい。
「まあ、安全にやってもらえればいいんじゃないかしら?」
「シェリカさんまで。子供たちが真似をしたらどうするんですか?」
「真似ねぇ……できると思う?」
その質問に、ヴィリエルをしばらく見つめながら考える。
「……無理だな」
「でしょ? あんな高く放り投げたり、高速でグルグル回ったり、子供だからって五人も六人も一度に受け止められるものかしら?」
URの能力があってこその遊び方ってことか。
「……いやいや、だからって良くはないでしょうに! 子供はできるできないが分からないでしょうよ!」
「あはは! まあ、なんとかなるわよ! それに、その辺りはレオン君がいるからね!」
レオン君っていうと……あぁ、あの年長さんか。
よく見ると、しっかりと順番待ちだったり、人数を制限してヴィリエルさんに突っ込ませているみたいだ。
「うーん、それならいい、のか?」
諸手を上げて納得とは言い難いが、神父様もニコニコと笑っているだけだし、いいのだろう。
「っと、話はそこじゃなかったな」
「そうね。ヴィリエル様、みんな、集合してー!」
シェリカさんが手を振りながら声を掛けると、みんなが返事をして駆け足で寄ってきた。
どんな話をしてくれるのか、子供たちの目がキラキラしているように見えるのは気のせいだろうか。
これからする話はまじめな話なので、楽しい話ではないのだよ。
「これからお話をしまーす!」
「……えっ?」
「今日の話は、住む場所についてでーす!」
「…………えっ?」
えっと、シェリカさん? 俺たちは今から、移住について難しい話をするんですよね?
「みんなが暮らしているこの都市の名前を知っていますかー?」
「はいはーい! ボートピアズでーす!」
「大正解! それでね、みんなはここでの生活してみて、楽しいですかー?」
そこで子供たちはみんなで話し合いを始めた。
……なるほど、面白く話を作り変えて、子供たちに考えさせるってことか。
「わたしはもっとあそびたいなー! おはながみたい!」
「はしりまわってあそびたい!」
「おれはもっとおなかいっぱいたべたい!」
ふむふむ、お花畑に、公園に、ご飯は問題ないだろう。
「……自由」
「えっ?」
「あ……いえ、気にしないでください」
驚きの発言をしたのは、レオン君だった。
でも、今の言葉は彼の本音なんだろうな。
……自由、か。
「……それじゃあ、みんなが言ったお花畑や、公園や、ご飯もたくさん食べられる場所があるとしたら、行っていたいかな?」
「「「「「「「「いきたーい!」」」」」」」」
「……そんな場所が、あるの?」
ほとんどの子供たちが元気よく答えたのだが、レオン君だけは疑問に感じている。
もしかすると、レオン君は職業ランクの確認を終えており、それがNだったのかもしれない。
「でもね……そこに行くとしたら、もうここには戻ってこれないかもしれない。どうする?」
だが、戻ってこれないという事実を伝えないわけにはいかない。
そして、思った通り子供たちは不安そうな表情を浮かべてしまった。
戻ってこられないと聞いて、泣きそうになっている子までいる。
ここに保護されるまでの間の生活を思い出したのかもしれない。……酷い、生活だったのかな。
「……わ、わたしは、それでもいきたいです!」
「おれも!」
「あたちもー!」
「……みんな」
だが、子供たちは一人、また一人と行きたいのだと口にし始めた。
深くは考えられないだろう、目の前のことにすがりついているだけだろう。
しかし、それでもいいのだと、俺は思う。
子供たちが将来的に移住が良かったと思えるようにするのが、俺の役目でもあるんだしな。
……ん? 俺のスローライフ、遠のいてない? もしかして、老後になるとか、言わないよな?
そこではヴィリエルが子供たちと遊んで……遊んで?
「どうだー! 凄いでしょー!」
「あはは! あははー!」
「ヴィリエルおねえちゃん、すごーい!」
「たかい、たかーい!」
ヴィリエルは子供たちを高く放り投げたり、腕を掴んでグルグル回ったり、体当たりされたりと、他の人にはできないような遊び方をしている。
さすがはURの剣聖様だが、子供たちが真似てしまったらどうするんだろうか。
「おい、ヴィリエル。その遊び方はマズいんじゃないか?」
「え? でも、私はいつもこうやって遊んでるわよ?」
……毎回こうなんかい。
「まあ、安全にやってもらえればいいんじゃないかしら?」
「シェリカさんまで。子供たちが真似をしたらどうするんですか?」
「真似ねぇ……できると思う?」
その質問に、ヴィリエルをしばらく見つめながら考える。
「……無理だな」
「でしょ? あんな高く放り投げたり、高速でグルグル回ったり、子供だからって五人も六人も一度に受け止められるものかしら?」
URの能力があってこその遊び方ってことか。
「……いやいや、だからって良くはないでしょうに! 子供はできるできないが分からないでしょうよ!」
「あはは! まあ、なんとかなるわよ! それに、その辺りはレオン君がいるからね!」
レオン君っていうと……あぁ、あの年長さんか。
よく見ると、しっかりと順番待ちだったり、人数を制限してヴィリエルさんに突っ込ませているみたいだ。
「うーん、それならいい、のか?」
諸手を上げて納得とは言い難いが、神父様もニコニコと笑っているだけだし、いいのだろう。
「っと、話はそこじゃなかったな」
「そうね。ヴィリエル様、みんな、集合してー!」
シェリカさんが手を振りながら声を掛けると、みんなが返事をして駆け足で寄ってきた。
どんな話をしてくれるのか、子供たちの目がキラキラしているように見えるのは気のせいだろうか。
これからする話はまじめな話なので、楽しい話ではないのだよ。
「これからお話をしまーす!」
「……えっ?」
「今日の話は、住む場所についてでーす!」
「…………えっ?」
えっと、シェリカさん? 俺たちは今から、移住について難しい話をするんですよね?
「みんなが暮らしているこの都市の名前を知っていますかー?」
「はいはーい! ボートピアズでーす!」
「大正解! それでね、みんなはここでの生活してみて、楽しいですかー?」
そこで子供たちはみんなで話し合いを始めた。
……なるほど、面白く話を作り変えて、子供たちに考えさせるってことか。
「わたしはもっとあそびたいなー! おはながみたい!」
「はしりまわってあそびたい!」
「おれはもっとおなかいっぱいたべたい!」
ふむふむ、お花畑に、公園に、ご飯は問題ないだろう。
「……自由」
「えっ?」
「あ……いえ、気にしないでください」
驚きの発言をしたのは、レオン君だった。
でも、今の言葉は彼の本音なんだろうな。
……自由、か。
「……それじゃあ、みんなが言ったお花畑や、公園や、ご飯もたくさん食べられる場所があるとしたら、行っていたいかな?」
「「「「「「「「いきたーい!」」」」」」」」
「……そんな場所が、あるの?」
ほとんどの子供たちが元気よく答えたのだが、レオン君だけは疑問に感じている。
もしかすると、レオン君は職業ランクの確認を終えており、それがNだったのかもしれない。
「でもね……そこに行くとしたら、もうここには戻ってこれないかもしれない。どうする?」
だが、戻ってこれないという事実を伝えないわけにはいかない。
そして、思った通り子供たちは不安そうな表情を浮かべてしまった。
戻ってこられないと聞いて、泣きそうになっている子までいる。
ここに保護されるまでの間の生活を思い出したのかもしれない。……酷い、生活だったのかな。
「……わ、わたしは、それでもいきたいです!」
「おれも!」
「あたちもー!」
「……みんな」
だが、子供たちは一人、また一人と行きたいのだと口にし始めた。
深くは考えられないだろう、目の前のことにすがりついているだけだろう。
しかし、それでもいいのだと、俺は思う。
子供たちが将来的に移住が良かったと思えるようにするのが、俺の役目でもあるんだしな。
……ん? 俺のスローライフ、遠のいてない? もしかして、老後になるとか、言わないよな?
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