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第二章:集落誕生?

シルクとの会話

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 前回とは異なり、お互いに招待を知っていることから全力でボートピアズへと向かう。
 道中で遭遇した魔獣を討伐し、俺の空間庫に入れて進んだものの、変える時には三日掛かったところを、今回は一日で走破した。

「いやー、早かったな!」
「普通の冒険者ではないからな」
URウルトラレアなら、これくらいは当然なのか?」
「やろうと思えばできるが、疲れるから普通は馬車でゆっくり進むわよ」

 今回は向かう先が一日で到着できる場所だから問題ないと口にしたが、次からはもう少しゆっくり進むことも考慮しなければならないな。
 それに、帰りはシェリカさんと一緒の可能性もあるし、そうなると三日以上掛かる可能性もあるわけだし、ちゃんと準備しなければならない。

「とりあえず、冒険者ギルドに行く?」
「うーん……いや、先にシルクさんのところに行こうかな」

 素材の買取りならそこまで時間は掛からないだろうけど、装備を作ってもらうとなれば時間が掛かるだろう。前回がそうだったからな。

「せっかく作ってもらった装備も壊しちゃったし、謝りたいしさ」
「冒険者が装備を壊すのは日常茶飯事よ?」
「そうだけど、めっちゃ興奮して作ってくれた奴だったし」

 ついでにフレイムホースよりもレアな魔獣素材……いや、魔人素材を見せたら、またタダで装備を作ってくれるんじゃないかという打算もある。

「それじゃあ、早速行きましょうか」

 ヴィリエルも楽しみなのか、何となく足取りが軽い気がする。

「ヴィリエルはシルクさんとどういった関係なんだ?」
「以前に、私の武器を作ってもらったのよ」
「えっ! ……URで剣聖の武器を、シルクさんが作ったのか?」

 元鍛冶師とは言っていたけど、それだけの腕前があれば鍛冶師を辞める必要なんてなかったんじゃないのか?

「まあ、シルクさんにも色々とあるのよ」
「……そっか」

 俺にだって隠していることはある。だからこそ、偽装スキルで見た目まで変えているのだから。
 しかし、シルクさんが鍛冶師を辞めた理由を知っているヴィリエルが、どうして俺が考えていることを止めることなく、むしろ後押ししてくれているのだろうか。
 ……もしかしたら、ヴィリエルはシルクさんが鍛冶師として復帰することを望んでいるのかもしれない。

「……これは、頑張って説得しないといけないな」
「ん? 何か言った?」
「いいや、なんでもないよ」

 ボートピアズの街並みを見ながら足を進め、俺たちはシルクさんの素材屋に到着した。

「いらっしゃいなのにゃー!」
「お久しぶりです、シルクさん」
「おっ! スレイじゃないかにゃ! 久しぶりだにゃ!」
「こんにちは、シルクさん」
「そっちは……あー、どうしてヴィリエルとスレイが一緒にいるのにゃ?」

 あ、あれ? 俺と挨拶をした時は楽しそうだったのに、急に表情が沈んだような。

「私、今はスレイと一緒に行動しているの」
「そうなのかにゃ。スレイも面倒な奴に引っかかったもんだにゃ」
「いや、ヴィリエルは良い奴ですよ」
「本当かにゃー?」

 うーん。今の言い方は、ヴィリエルがルリエだということを知らないと思っての発現な気がする。
 俺は横目でヴィリエルを見ると、やや溜息混じりに頷いたのを見て、事実を知っていることを告げた。

「そうそう、シルクさんはヴィリエルに装備を作ったことも聞きましたよ?」
「えっ? そ、そうなのかにゃ?」
「えぇ。それも、剣聖ルリエに対して作ったということも」
「――! ……ルリエ、お前にゃあ」
「あはは。でも、こいつも正体を隠しているんだからお互い様なのよ」
「……そうなのかにゃ?」

 あっ! こいつ、サラリと俺の秘密までばらしやがった。

「……まあ、いっか」

 しかし、この後のことを考えると俺の正体をばらしていた方が話も早いだろうと判断し、偽装スキルを解除することにした。

「お前は! ……誰なのにゃ?」
「そりゃそうですね。俺の本当の名前はスウェインって言います」
「スウェイン? ……聞いたことがないのにゃ」
「それで、俺の職業はNからXRに変わった勇者です」
「…………にゃにゃ?」

 うんうん、ものすごく困惑した表情をしていますね。分かりますよ、俺自身もそうだったし。
 俺は嘘のような本当の話と前置きをして、XRになった時のことから、ルリエとの出会いについて説明していく。
 その中で賢者が魔人化したことも付け加えると、シルクさんは口を開けたまま固まってしまった。

「……もう、どこで驚いたらいいのか、分からないのにゃ」
「でしょうね。俺も訳が分かりませんから」
「でも、信じるのにゃ」
「……えっ? し、信じるんですか? こんな簡単に?」

 ありがたいことだが、シルクさんの言葉は俺からすると予想外だった。
 信じるにしても、考える時間が必要だと思っていたのだ。

「今日はいないのかにゃ?」
「いないって、リリルのことか?」
「違いにゃ。神獣様だにゃ」
「あー、ツヴァイルか。うん、今日は家で留守番をしているよ。って、ツヴァイルがどうしたんだ?」

 確か、獣人は神獣を崇めていると言っていたっけ。
 猫獣人であるシルクさんからすると、神様に似た存在なんだよな。

「神獣様が認めているスウェインのことを、僕が疑うわけがないのにゃ」

 ニコリと笑ってシルクさんがそう口にしてくれた。
 ……ツヴァイル、半端ない信頼感だな。
 しかし、そのおかげでシルクさんからは信じてもらえたので、何も言うことはない。
 そして、ここからが本題になるのだ。
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