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第二章:新たなる力、メガネ付き
第11話:新たな出会い 4
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「――Sランク冒険者?」
その日の夕食の席でガゼルの事を話題に挙げると、珍しくイーライが食いついてきた。
「うん。リンスさんからの勧めだったんだけど、私たちの事は冒険者ギルドの一部の人にも伝わっているみたいで、信頼できる人をって事でお願いしてくれたの」
「そうなのか。……なあ、アスカ。次にその人へ依頼をお願いする時、俺も一緒に連れて行ってくれないか?」
「私は構わないけど、夏希ちゃんは?」
明日香は夏希の恋路を応援するつもりでいるが、イーライが興味を示した理由も知っている。
もしイーライを連れて行けば、夏希とガゼルの時間がなくなってしまうかもしれないと思い聞いてみたのだ。
「私も構いませんよ」
「助かる」
「ねえ、イーライ。もしかして、模擬戦をしてもらうつもりなの?」
「……どうして分かったんだ?」
以前に話をした内容を明日香は覚えていた。
Eランクに昇格したとはいえ、それはイーライの実力とランクが見合っていなかっただけで、実力が付いたからというわけではない。
その事をイーライも理解しているからこそ、Eランクになってからも積極的に依頼を受けて魔獣狩りを続けているのだ。
「イーライが強くなりたいって思っているのを知っているからね」
「……ちなみに、二人から見たその……名前はなんだ?」
「ガゼルさん」
「そのガゼルという人物の実力はどの程度なんだ?」
「実力って言われてもなぁ……」
そう口にした明日香は夏希と顔を見合わせると、しばらくして――
「「うーん、分からない」」
「……あー、うん、すまん」
そもそも、ガゼルは二人の目の前で剣を抜いた事がない。
魔獣も二人から離れたところで倒しており、その場で解体までして戻ってきている。
一緒にいる時はほとんど世間話をしていただけで、印象を語るとするならば気の良いおじさんくらいに明日香は思っていた。
「ほほほ。まあ、そこはイーライが直接自分の目で確かめる事ですな」
「そうですね」
ジジの一言に納得したのか、イーライはそれ以上ガゼルについて問い掛ける事はしなかった。
しかし、イーライはジャズズ以上の実力者と知り合いになれるチャンスとあって、内心ではとても楽しみにしていたのだった。
◆◇◆◇
明日香が店頭に出る日は夏希だけで冒険者ギルドに通う日も多くなっていた。
それはもちろん、ガゼルが依頼を受けてくれるからだ。
二人で採取に出る日にもイーライがついていこうとした事もあったが、それはさすがにと明日香が止めていた。
二人の時間を大切にさせて欲しいと頼んでもイーライからすると疑問しか浮かばなかったが、明日香がダメだと言うなら仕方がないと諦めていた。
そんな日々が続いた次の休日、ようやく明日香と夏希が揃って採取に出る日がやって来た。
イーライは楽しみで仕方がないのか、道具屋を出る前から、そして冒険者ギルドに到着してからもずっとソワソワしている。
こんなイーライを見るのが初めてだった明日香は驚き以上に面白いものを見たと笑っていた。
「イーライ、面白い!」
「う、うるさいな!」
「言い返す言葉にもキレがないね!」
「うぐっ! ……はぁ。もういいよ、それで」
言葉では勝てないと悟ったイーライはため息をついたが、そのせいもあってリラックスできたのかソワソワする事はなくなった。
隣ではまだ明日香がクスクス笑っていたが、窓口から戻ってくる夏希と一緒にガゼルの姿を見つけると、そちらに向けて軽く手を振った。
「お待たせしました!」
「待ってないよ。むしろ、この時間で面白いものが見られたからグッジョブ!」
「そうなんですか? ならよかったです!」
女性陣が笑いながら会話をしている横で、男性陣はお互いに挨拶を交わしていた。
「Eランク冒険者のイーライ・ヤングストンです」
「家名持ちか、珍しいな。俺はガゼル、一応Sランク冒険者だ」
「今日はよろしくお願いします」
「ナツキのお嬢さんから話は聞いている。俺で力になれるなら、協力するぜ」
ガシッと握手をすると、イーライはそれだけで自分が高揚した事に気がついた。
(……この人は、強い! 俺なんかよりも、ジャズズよりも!)
イーライは気づいていなかった。この時の自分がいつの間にか笑みを浮かべていた事に。
そしてガゼルは似たような反応を示してきた若い冒険者を何人も見てきている。
彼の頭の中には、どのようにしごき、助言を与えようかという考えが頭の中を埋め尽くしていたのだった。
その日の夕食の席でガゼルの事を話題に挙げると、珍しくイーライが食いついてきた。
「うん。リンスさんからの勧めだったんだけど、私たちの事は冒険者ギルドの一部の人にも伝わっているみたいで、信頼できる人をって事でお願いしてくれたの」
「そうなのか。……なあ、アスカ。次にその人へ依頼をお願いする時、俺も一緒に連れて行ってくれないか?」
「私は構わないけど、夏希ちゃんは?」
明日香は夏希の恋路を応援するつもりでいるが、イーライが興味を示した理由も知っている。
もしイーライを連れて行けば、夏希とガゼルの時間がなくなってしまうかもしれないと思い聞いてみたのだ。
「私も構いませんよ」
「助かる」
「ねえ、イーライ。もしかして、模擬戦をしてもらうつもりなの?」
「……どうして分かったんだ?」
以前に話をした内容を明日香は覚えていた。
Eランクに昇格したとはいえ、それはイーライの実力とランクが見合っていなかっただけで、実力が付いたからというわけではない。
その事をイーライも理解しているからこそ、Eランクになってからも積極的に依頼を受けて魔獣狩りを続けているのだ。
「イーライが強くなりたいって思っているのを知っているからね」
「……ちなみに、二人から見たその……名前はなんだ?」
「ガゼルさん」
「そのガゼルという人物の実力はどの程度なんだ?」
「実力って言われてもなぁ……」
そう口にした明日香は夏希と顔を見合わせると、しばらくして――
「「うーん、分からない」」
「……あー、うん、すまん」
そもそも、ガゼルは二人の目の前で剣を抜いた事がない。
魔獣も二人から離れたところで倒しており、その場で解体までして戻ってきている。
一緒にいる時はほとんど世間話をしていただけで、印象を語るとするならば気の良いおじさんくらいに明日香は思っていた。
「ほほほ。まあ、そこはイーライが直接自分の目で確かめる事ですな」
「そうですね」
ジジの一言に納得したのか、イーライはそれ以上ガゼルについて問い掛ける事はしなかった。
しかし、イーライはジャズズ以上の実力者と知り合いになれるチャンスとあって、内心ではとても楽しみにしていたのだった。
◆◇◆◇
明日香が店頭に出る日は夏希だけで冒険者ギルドに通う日も多くなっていた。
それはもちろん、ガゼルが依頼を受けてくれるからだ。
二人で採取に出る日にもイーライがついていこうとした事もあったが、それはさすがにと明日香が止めていた。
二人の時間を大切にさせて欲しいと頼んでもイーライからすると疑問しか浮かばなかったが、明日香がダメだと言うなら仕方がないと諦めていた。
そんな日々が続いた次の休日、ようやく明日香と夏希が揃って採取に出る日がやって来た。
イーライは楽しみで仕方がないのか、道具屋を出る前から、そして冒険者ギルドに到着してからもずっとソワソワしている。
こんなイーライを見るのが初めてだった明日香は驚き以上に面白いものを見たと笑っていた。
「イーライ、面白い!」
「う、うるさいな!」
「言い返す言葉にもキレがないね!」
「うぐっ! ……はぁ。もういいよ、それで」
言葉では勝てないと悟ったイーライはため息をついたが、そのせいもあってリラックスできたのかソワソワする事はなくなった。
隣ではまだ明日香がクスクス笑っていたが、窓口から戻ってくる夏希と一緒にガゼルの姿を見つけると、そちらに向けて軽く手を振った。
「お待たせしました!」
「待ってないよ。むしろ、この時間で面白いものが見られたからグッジョブ!」
「そうなんですか? ならよかったです!」
女性陣が笑いながら会話をしている横で、男性陣はお互いに挨拶を交わしていた。
「Eランク冒険者のイーライ・ヤングストンです」
「家名持ちか、珍しいな。俺はガゼル、一応Sランク冒険者だ」
「今日はよろしくお願いします」
「ナツキのお嬢さんから話は聞いている。俺で力になれるなら、協力するぜ」
ガシッと握手をすると、イーライはそれだけで自分が高揚した事に気がついた。
(……この人は、強い! 俺なんかよりも、ジャズズよりも!)
イーライは気づいていなかった。この時の自分がいつの間にか笑みを浮かべていた事に。
そしてガゼルは似たような反応を示してきた若い冒険者を何人も見てきている。
彼の頭の中には、どのようにしごき、助言を与えようかという考えが頭の中を埋め尽くしていたのだった。
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