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第21話:尾行者
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「実は俺、宿に向かう途中でつけられていました」
それから俺は、市場で行動をしていたことから、市場を出て戻る途中につけられていたことを報告した。
「ふむ、何かつけられるような相手に心当たりはあるのですか?」
「いや、まったくありません。というか、ラグザリアに来たのも初めてですし、なんなら村を出たのも初めてだったんですから」
村の外の人間につけられるいわれはないと主張すると、バズズさんが腕組みしながら思案する。
「ふむ……となると、考えられる可能性は二つですかな」
「何か心当たりがあるのですか、バズズ?」
「一つはアリウス殿が狙われたことを踏まえると、冒険者ギルドで何か恨みを買ったか否かですな」
俺はバズズさんの言葉を受けて、一人だけ恨まれているかもしれない人物を思い浮かべた。
「……模擬戦の時、最初にぶっ飛ばしたあの冒険者か?」
「あの弱かった人ですね!」
「リディア、言葉を選ばないと」
「もしくは、そのあとのやり取りで恨みを買ったかですな。どこの馬の骨とも知れない少年が、いきなりギルドマスターに呼び出されたのですから、ラグザリアを拠点にしている古参の冒険者は妬むかもしれません」
続けて口にされたバズズさんの話を聞き、どうしたものかと考えてしまう。
「そうなると、ギルマスに相談するのが一番ですかね?」
相手が冒険者であれば、そこのトップであるギルマスに相談するのが一番だと思い聞いてみた。
「そうであればだがな。あくまでも私の推測であり、確証はない。それに、もう一つの可能性も残っておる」
「父上。そのもう一つの可能性というのは?」
「それは、我々が狙われている可能性だ」
バズズさんの言葉を聞いた俺は、ハッとしてしまう。
「……まさか、追手が追いついたってことですか?」
「いいや、違うだろうな。それだとあまりにも早すぎる」
「それでは、いったいなんなのでしょうか?」
自分たちが狙われているかもしれないと聞いたレミティアが、不安そうな声を漏らす。
「私たちの身なりを見て、金を持っていると思われたのかもしれません」
「……ん? だとしたら、どうして俺が狙われたんです?」
レミティアたちは確かにそうだろう。護衛が付くくらいの人物だし、田舎者の俺ですらそう思ってしまう。
だが、俺は違う。
別に豪奢な鎧を身に纏っているわけでもない、ただの田舎少年なのだ。
「おそらくですが、アリウス殿を人質にして、金目のものを要求しようとしたのではないでしょうか」
「それはなんとまぁ、命知らずな……」
「アリウスの実力を知っていれば、そんなことはしないはずですよね?」
「ってことは、冒険者の線はなくなるか?」
とはいえ、分からないことが多すぎる。
俺は俺で警戒するとして、レミティアたちにも警戒してもらわなければならないな。
「レミティアは絶対に単独行動をしちゃダメだな」
「それを言うなら、アリウスもですよ!」
「いや、俺は自衛できるし、もし捕まったとしても見捨ててくれて構わない――」
「絶対に見捨てませんからね!」
……いや、一番大事なのはレミティアの身だからな?
「そこはまあ、バズズさんとリディアが止めてくれるんだろう?」
「止めようものなら、私が命令してでも助け出しますからね!」
「こうなったレミティア様は、もう止まりませんよ、アリウス殿」
「それをリディアが言ったらダメでしょうよ」
護衛が主を守らないって宣言しちゃってるよ。
ここはバズズさんだけが頼りかもな。
「ところで、アリウス殿。市場での用事は終わったのですかな?」
すると突然、バズズさんが話題を変えてきた。
「……? まあ、そうですね」
「であれば、明日以降は私たちと行動を共にしても問題はないということで?」
「あっ! ……あー、まあ……えっと……は、はい」
バズズさんがいきなり話題を変えてきたら、要注意だな。
俺が言い淀んでいる間に、レミティアがめっちゃ見てきてるんだもんよ!
この状況で問題あります! とは言えないって!
「それじゃあ明日からは、みんなで行動しましょうね! 埋め合わせ、してくれるのでしょう?」
「……そう言われたら、断われないって」
まあ、みんなといるだけで埋め合わせになるなら、俺としても損はないよな。
しかし、もしも本当にレミティアたちが狙われているのであれば、気をつけなきゃないけない。
俺がつけられるくらいだから、レミティアが直接狙われる可能性だってあるんだからな。
それから俺は、市場で行動をしていたことから、市場を出て戻る途中につけられていたことを報告した。
「ふむ、何かつけられるような相手に心当たりはあるのですか?」
「いや、まったくありません。というか、ラグザリアに来たのも初めてですし、なんなら村を出たのも初めてだったんですから」
村の外の人間につけられるいわれはないと主張すると、バズズさんが腕組みしながら思案する。
「ふむ……となると、考えられる可能性は二つですかな」
「何か心当たりがあるのですか、バズズ?」
「一つはアリウス殿が狙われたことを踏まえると、冒険者ギルドで何か恨みを買ったか否かですな」
俺はバズズさんの言葉を受けて、一人だけ恨まれているかもしれない人物を思い浮かべた。
「……模擬戦の時、最初にぶっ飛ばしたあの冒険者か?」
「あの弱かった人ですね!」
「リディア、言葉を選ばないと」
「もしくは、そのあとのやり取りで恨みを買ったかですな。どこの馬の骨とも知れない少年が、いきなりギルドマスターに呼び出されたのですから、ラグザリアを拠点にしている古参の冒険者は妬むかもしれません」
続けて口にされたバズズさんの話を聞き、どうしたものかと考えてしまう。
「そうなると、ギルマスに相談するのが一番ですかね?」
相手が冒険者であれば、そこのトップであるギルマスに相談するのが一番だと思い聞いてみた。
「そうであればだがな。あくまでも私の推測であり、確証はない。それに、もう一つの可能性も残っておる」
「父上。そのもう一つの可能性というのは?」
「それは、我々が狙われている可能性だ」
バズズさんの言葉を聞いた俺は、ハッとしてしまう。
「……まさか、追手が追いついたってことですか?」
「いいや、違うだろうな。それだとあまりにも早すぎる」
「それでは、いったいなんなのでしょうか?」
自分たちが狙われているかもしれないと聞いたレミティアが、不安そうな声を漏らす。
「私たちの身なりを見て、金を持っていると思われたのかもしれません」
「……ん? だとしたら、どうして俺が狙われたんです?」
レミティアたちは確かにそうだろう。護衛が付くくらいの人物だし、田舎者の俺ですらそう思ってしまう。
だが、俺は違う。
別に豪奢な鎧を身に纏っているわけでもない、ただの田舎少年なのだ。
「おそらくですが、アリウス殿を人質にして、金目のものを要求しようとしたのではないでしょうか」
「それはなんとまぁ、命知らずな……」
「アリウスの実力を知っていれば、そんなことはしないはずですよね?」
「ってことは、冒険者の線はなくなるか?」
とはいえ、分からないことが多すぎる。
俺は俺で警戒するとして、レミティアたちにも警戒してもらわなければならないな。
「レミティアは絶対に単独行動をしちゃダメだな」
「それを言うなら、アリウスもですよ!」
「いや、俺は自衛できるし、もし捕まったとしても見捨ててくれて構わない――」
「絶対に見捨てませんからね!」
……いや、一番大事なのはレミティアの身だからな?
「そこはまあ、バズズさんとリディアが止めてくれるんだろう?」
「止めようものなら、私が命令してでも助け出しますからね!」
「こうなったレミティア様は、もう止まりませんよ、アリウス殿」
「それをリディアが言ったらダメでしょうよ」
護衛が主を守らないって宣言しちゃってるよ。
ここはバズズさんだけが頼りかもな。
「ところで、アリウス殿。市場での用事は終わったのですかな?」
すると突然、バズズさんが話題を変えてきた。
「……? まあ、そうですね」
「であれば、明日以降は私たちと行動を共にしても問題はないということで?」
「あっ! ……あー、まあ……えっと……は、はい」
バズズさんがいきなり話題を変えてきたら、要注意だな。
俺が言い淀んでいる間に、レミティアがめっちゃ見てきてるんだもんよ!
この状況で問題あります! とは言えないって!
「それじゃあ明日からは、みんなで行動しましょうね! 埋め合わせ、してくれるのでしょう?」
「……そう言われたら、断われないって」
まあ、みんなといるだけで埋め合わせになるなら、俺としても損はないよな。
しかし、もしも本当にレミティアたちが狙われているのであれば、気をつけなきゃないけない。
俺がつけられるくらいだから、レミティアが直接狙われる可能性だってあるんだからな。
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