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第46話:優秀な新人冒険者

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「皆さん、Bランクの依頼で忙しいんじゃないんですか?」
「そうだぜ! 俺たちは俺たちはやるから大丈夫だって!」
「僕たち、皆さんのご迷惑になるのだけは嫌なんですよ!」

 三人がそれぞれの意見を口にすると、ディーたちは笑顔で反論する。

「いやいや、迷惑だなんて思ってないからな?」
「むしろ、デビルベアを相手に三人で足止めできたんでしょう?」
「将来有望! 優秀な新人冒険者!」
「そんな三人を育てることも、私たち先輩冒険者の役目なのよ」

 ディーたちにそう言われると、太一たちは何も反論ができなくなった。

「それに、きちんとサポートするって言ったのに構ってやれなかったからな、本当に申し訳なかった!」
「なんでクレアさんもディーさんもいきなり謝るんですか!」
「俺たち、別に悪いだなんて思ってないから!」
「もう謝らないでください~!」

 このままではこちらが申し訳なくなってしまうと思った太一たちは、なんとかディーに頭をあげてもらおうと言葉を尽くす。
 すると、ディーはとても申し訳なさそうな表情でゆっくりと顔を上げた。

「……い、いいのか?」
「「「いいですよ!」」」
「……ったく、お前たちは本当に欲がないんだなぁ」

 誰もが申し訳なく思っており、それが謝罪の嵐に繋がっていた。
 クレアとディーたちが太一たちに向けての謝罪だったので、三人が許したこともあり謝罪合戦は終わりを告げた。

「それで、話を戻すんですが、指導の件は本当にいいんですか?」
「あぁ、もちろんだ! っていうか、そのために依頼を一気に片付けていたところもあるからな!」
「それじゃあ謝る必要なかったじゃないっすか!」
「そうですよ!」

 ディーの言葉に勇人と公太が声をあげるが、それでももっとかかわるべきだったとディーは口にする。

「そのせいでお前たちが危険な目に遭ったんだ、そりゃ反省するだろうよ」
「何度も言っていますが、それは俺たちの判断で――」
「それはもういい。指導できなかった、教えてやれなかった先輩が悪いって言ってんだよ」
「タイチ君たちが気にすることじゃないの、いいわね?」
「「「……はい」」」

 タニアも口を挟んできたため、これ以上否定するとリッツやミリーまで出てくると思い、太一たちは素直に頷くことにした。
 特にミリーが出てくると、先日の薬草採集の件まで出てくるんじゃないかと考えると、ここで折れていた方が話がごちゃっとせずに済むとも考えていた。

「それじゃあ、俺たちはどういう指導を受けられるんでしょうか?」
「あっ! それは俺も気になったわ」
「僕も!」
「それを決めるため、ここからは俺たちも同席させてもらうぜ」

 ここからはと聞いた太一は、ゆっくりと視線をクレアへ向けた。

「……もしかして、事情聴取ってまだ続きます?」
「当然よ。ここからは三人しか知らない部分、どうやってデビルベアの足止めをしたかの確認になります」

 それから太一たちはそれぞれがどのように行動したのかをクレアとディーたちに伝えた。
 太一が指示を出したこと、公太が正面からデビルベアの足止めをしつつ勇人がかく乱、そして太一が罠を貼った場所まで誘導する。
 最終的には罠はやぶられてしまい万事休すとなったが、ギリギリのところでカイナが駆けつけて事なきを得た、という感じだ。

「……コウタ君、真正面からデビルベアとやり合ったの!?」
「クレアさんに装備を選んで置いてもらってよかったです。……でも、もうボロボロになっちゃいましたけど」

 苦笑いしながら壁に立て掛けていた大盾を手に取ると、表面にはへこんでいる部分が多くあり、爪痕もしっかりと刻まれている。そのまま使うには無理だと言わざるを得ないほどに損耗が激しかった。

「ユウトはよく逃げ切れたねー」
「快速スキルがあるんで、ギリギリだったよ。でも、俺もナイフが折れちゃって……し、新品だったのに~!」

 そう口にした勇人は、涙ながらに折れたナイフを鞘から抜いてテーブルに置いた。

「タイチはあの短時間で罠を作ったのか、すげぇなぁ」
「転移した時はきちんと見れませんでしたけど、カイナさんに連れて行ってもらった時にゆっくりと森の中を見れていたので、ギリギリ作れました」
「それにしてもすごいわよ」
「ミリーさんにも感謝しているんですよ? 薬草採集講座がきちんとできていたから、帰りも周りを見る余裕があったんですからね」

 ディーが感心した声をあげるも、太一はカイナとミリーのおかげだと強く主張した。

「……そう言ってもらえると、少しだけ気が楽になるわ」
「本音ですからね?」
「うふふ、ありがとう」

 ようやくミリーの笑顔が見れたとあり、太一も少しだけホッと胸を撫で下ろした。

「よーし! んじゃあ、その話を聞いたうえで指導方針を説明していくか!」

 するとディーが指導方針を決めたのか、大きな声でそう口にした。
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