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第二章:自由と束縛と
第81話:冒険者アリシア 6
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「皆さん、お疲れ様でした。申し遅れましたが、私は冒険者ギルドのアドバイザーをしております、リティと申します」
全員にバッジがいきわたると、受付嬢のリティが自己紹介を口にした。
「それではまず、冒険者ギルドの簡単な説明をしていきたいと思います」
リティによれば、冒険者にはランクが存在しており、下からアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ミスリル、最後にオリハルコン。
冒険者の証明でありランクを表しているバッジは、それぞれの素材を使って作られている。
「私たちは新人だからアイアンってことね」
「その通りです。ランクアップは依頼を一定数こなしていただいたり、ランク以上の魔獣を討伐してきたり、上げ方は様々です。ですが、それができるのはシルバーまでで、ゴールド以上にランクアップする際は試験や面接が必要になってきます」
「試験はわかるが、面接ってなんだ?」
「その方の人となりをギルドマスターが確認するんです。……こう言ってはなんですが、冒険者というのは誰でもなれるようなものでして、腕っぷしだけでランクを上げたけど性格が最悪、なんて人もいるみたいなんです」
途中から小声になったのは、ギルド内にいる冒険者にも説明と似たような人物がいるからだろうか。
アリシアは苦笑しながらも、ランクに関しては特に上げたいという思いはなかったので聞き流すことにした。
「それで、依頼はどのようにして受けるんですか?」
「あちらの依頼板に貼られた依頼書をこちらに持ってきてくれれば対応いたしますよ」
「え? でもここは、登録カウンターですよね?」
アリシアは確か登録カウンターに足を運んだはずだと思い返したが、リティは苦笑いしながら事情を説明してくれた。
「そうなんですが、私の本職はアドバイザーなんです。なので、アイアンの方にはどのような依頼が合っているのかなど、多少はアドバイスできるので」
リティが胸を張ってそう口にするので、アリシアはとりあえず自分たちに合った依頼を紹介してもらうことにした。
「一応、全員が前衛として戦えるんだけど、どんな依頼を薦めてくれるの?」
「書類には全員が剣を扱うと書かれていましたね。それなら……少々お待ちください」
そう口にしたリティが一度カウンターから離れると、依頼板から一枚の依頼書を手に戻ってきた。
「私のお薦めとしましては、こちらになります」
「これは……ビッグラットの討伐ですか?」
「はい。ここ最近で数を増やしているようで、作物を荒らしていると周囲の村から多数依頼が届いているんです。物理攻撃に耐性がある魔獣ではありませんし、アイアンランクの冒険者でも十分に倒せる魔獣です」
実際のところ、アリシアたちはシルバー以上の実力を有している。
それは以前に倒したことのあるトロールファイターがシルバー相当の実力を有している魔獣だったからだ。
しかし、そんなことをリティが知るはずもなく、またアリシアたちも冒険者ギルドが定めている基準を知るはずがなかった。
「せっかくだし、これを受けようかしら?」
「私は構いませんよ!」
「俺もいいぜ」
「ありがとうございます! ではこちらを。依頼を出した村の場所が記された地図になります」
「地図までいただいてもいいんですか?」
「はい! 迅速に解決していただくための措置ですから」
「それじゃあ、ありがたくいただきます」
アリシアが地図を受け取ると、最後にリティが依頼書を差し出してきた。
「依頼が完了しましたら、この依頼書に依頼主からサインをいただいてきてください。それを持ってきていただいて、初めて依頼達成となります」
「わかったわ」
「それと、これはあまりないんですが、もしも依頼を達成後に依頼主がサインを渋るようであれば、その旨をギルドに伝えてください」
「もしそうなったら、どのようにして依頼達成を証明するんですか?」
「報酬のお渡しまで時間をいただくことになってしまいますが、ギルドが依頼した冒険者の方に依頼が達成されているかの確認をしてもらいます。その結果をもって、達成の可否をこちらで判断いたします。どうしても依頼達成をごまかそうとする方もいらっしゃるので、その点はご容赦いただければと」
どこにでも自分本位にしか考えない人間はいるものだと思い、アリシアはリティの説明を聞いて小さく頷いた。
「それじゃあ、いってくるわね」
「いってらっしゃいませ。アリシアさん、ゼーアさん、ケイナさん」
リティに見送られながら、アリシアたちは冒険者ギルドをあとにした。
全員にバッジがいきわたると、受付嬢のリティが自己紹介を口にした。
「それではまず、冒険者ギルドの簡単な説明をしていきたいと思います」
リティによれば、冒険者にはランクが存在しており、下からアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ミスリル、最後にオリハルコン。
冒険者の証明でありランクを表しているバッジは、それぞれの素材を使って作られている。
「私たちは新人だからアイアンってことね」
「その通りです。ランクアップは依頼を一定数こなしていただいたり、ランク以上の魔獣を討伐してきたり、上げ方は様々です。ですが、それができるのはシルバーまでで、ゴールド以上にランクアップする際は試験や面接が必要になってきます」
「試験はわかるが、面接ってなんだ?」
「その方の人となりをギルドマスターが確認するんです。……こう言ってはなんですが、冒険者というのは誰でもなれるようなものでして、腕っぷしだけでランクを上げたけど性格が最悪、なんて人もいるみたいなんです」
途中から小声になったのは、ギルド内にいる冒険者にも説明と似たような人物がいるからだろうか。
アリシアは苦笑しながらも、ランクに関しては特に上げたいという思いはなかったので聞き流すことにした。
「それで、依頼はどのようにして受けるんですか?」
「あちらの依頼板に貼られた依頼書をこちらに持ってきてくれれば対応いたしますよ」
「え? でもここは、登録カウンターですよね?」
アリシアは確か登録カウンターに足を運んだはずだと思い返したが、リティは苦笑いしながら事情を説明してくれた。
「そうなんですが、私の本職はアドバイザーなんです。なので、アイアンの方にはどのような依頼が合っているのかなど、多少はアドバイスできるので」
リティが胸を張ってそう口にするので、アリシアはとりあえず自分たちに合った依頼を紹介してもらうことにした。
「一応、全員が前衛として戦えるんだけど、どんな依頼を薦めてくれるの?」
「書類には全員が剣を扱うと書かれていましたね。それなら……少々お待ちください」
そう口にしたリティが一度カウンターから離れると、依頼板から一枚の依頼書を手に戻ってきた。
「私のお薦めとしましては、こちらになります」
「これは……ビッグラットの討伐ですか?」
「はい。ここ最近で数を増やしているようで、作物を荒らしていると周囲の村から多数依頼が届いているんです。物理攻撃に耐性がある魔獣ではありませんし、アイアンランクの冒険者でも十分に倒せる魔獣です」
実際のところ、アリシアたちはシルバー以上の実力を有している。
それは以前に倒したことのあるトロールファイターがシルバー相当の実力を有している魔獣だったからだ。
しかし、そんなことをリティが知るはずもなく、またアリシアたちも冒険者ギルドが定めている基準を知るはずがなかった。
「せっかくだし、これを受けようかしら?」
「私は構いませんよ!」
「俺もいいぜ」
「ありがとうございます! ではこちらを。依頼を出した村の場所が記された地図になります」
「地図までいただいてもいいんですか?」
「はい! 迅速に解決していただくための措置ですから」
「それじゃあ、ありがたくいただきます」
アリシアが地図を受け取ると、最後にリティが依頼書を差し出してきた。
「依頼が完了しましたら、この依頼書に依頼主からサインをいただいてきてください。それを持ってきていただいて、初めて依頼達成となります」
「わかったわ」
「それと、これはあまりないんですが、もしも依頼を達成後に依頼主がサインを渋るようであれば、その旨をギルドに伝えてください」
「もしそうなったら、どのようにして依頼達成を証明するんですか?」
「報酬のお渡しまで時間をいただくことになってしまいますが、ギルドが依頼した冒険者の方に依頼が達成されているかの確認をしてもらいます。その結果をもって、達成の可否をこちらで判断いたします。どうしても依頼達成をごまかそうとする方もいらっしゃるので、その点はご容赦いただければと」
どこにでも自分本位にしか考えない人間はいるものだと思い、アリシアはリティの説明を聞いて小さく頷いた。
「それじゃあ、いってくるわね」
「いってらっしゃいませ。アリシアさん、ゼーアさん、ケイナさん」
リティに見送られながら、アリシアたちは冒険者ギルドをあとにした。
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