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第一章:天上のラストルーム
第13話:一階層再び
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ログインしたアルストは、ログアウトをしたアリーナの武具店の前に立っていた。
「ログインをすると、ログアウトをした場所に召喚されるのか」
そう考えると、アリーナが話していたPKが現実味を帯びてくる。ログインする場所が決まっていればそこで待ち伏せしてしま追いかけ回せばいいわけだ。
ただアーカイブ内では攻撃ができない仕様である。追いかけ回すだけではダメでも、ログアウトをした場所が分からなくても、バベルの前で待ち伏せしてしまえばそこでPKができる。
だいぶしつこいと言っていたので、バレないようにしなければいけないと心に決めた。
晩ご飯も食べて長時間のプレイが可能になったアルストは、もう一度バベルへ向かうことにした。
一階層のボスモンスターはまさかのレアボスモンスターになっていたので、今のアルストで殺されることなく倒せるのか検証ができていない。
初心者救済処置が後一回残っていることもあり、アルストはもう一度だけ一階層のボスフロアへと足を運んだ。
見た目には何も変わっていないボスフロアへと続く大きな扉。
再びレアボスモンスターが出てきたら、今度こそDPを食らうだろうと思いながらも、アルストは扉を開いた。
「……フロアの風景も違うんだな」
武神ゴルイドと戦った時は王城の一室みたいな風景に切り替わったのだが、今回は古い遺跡の風景そのままとなっている。
フロアの中心には人形のボスモンスターが仁王立ちしており、プレイヤーがボスフロアに足を踏み入れるのを今か今かと待っているように見えた。
「よし、行くか」
変わらない風景にがっかりしていた自分に改めて気合を入れ直し、アルストはボスフロアへと足を踏み入れた。
仁王立ちしていたボスモンスターの目が見開き、アルストを睨みつける。
その直後から頭上に名前とHPが表示された。
「名前は――武器商アスラ……武器商?」
謎の名前に困惑を見せつつ、アルストはアルスター3を抜いて駆け出した。
とにかく攻撃しなければ何も始まらない。レベルアップとステイタス割り振りの効果なのか、アルストは自身が思っていた以上の速度で間合いを詰めてアルスター3を振り抜いた。
『グルオオオオオオオオォォッ!』
アスラは苦痛に悲鳴を上げてアルストを見下ろすと、手を重ね合わせて同時に振り下ろす。
後方へ飛び退き開始すると、先ほどまでアルストが立っていた地面に豪腕が振り下ろされて地面に穴が作られた。
直撃するとアルストのHPが一気に無くなるかもしれないと思いながらも、ゴルイドと比べて動きは緩慢であり対峙した時に感じるプレッシャーが大きく違う。
レアボスモンスターと通常のボスモンスターの違いがこれ程まであるのかと内心で驚いていた。
「だけど、名前が武器商だからなぁ」
一回目の邂逅では肉弾戦のみなのだが、HPが減ってくると名前に見合った攻撃を仕掛けてくる可能性は高いだろうと予想立てしたアルストは、現時点で多くのダメージを与えるために再び間合いを詰めてスキルを発動する。
「パワーボム!」
大上段からの一撃はアスラの脳天に直撃すると、爆発の追加ダメージもありみるみるうちにHPが減少していく。ただ――
「……えっ、嘘、マジで?」
アルストを驚かせたのは、パワーボムの一撃でアスラのHPが四分の一まで減少してしまったから。
アリーナからはレベル6時点で問題なく倒せると太鼓判を押されていたのだが、レベル9になっただけでこうもあっさりダメージを与えられるものなのか。もしくはヒューマンブレイダーの効果なのかと驚愕する。
予想外のダメージ量が影響したのか、突如としてアスラが武器商の名前に見合った獲物を両手に握りしめている姿が視界に飛び込んできた。
「げっ! いつの間に!」
右手に大剣、左手に大槍を持ったアスラは体を捻ると、長大なリーチを持つ両武器による渾身の横薙ぎが放たれた。だが――
「これも、ゆっくり過ぎないか?」
あまりにも緩慢過ぎる動きにアルストは呆れ声を漏らしながら低い体勢を取り横薙ぎを回避、立ち上がりながら斬り上げを放ち追撃。
アスラが武器を引き戻すスピードも遅く、二撃目が来る前にアルストは五回の攻撃を重ねていく。
すでに虫の息になっているアスラの攻撃は苛烈になっていくのだが、それも容易く回避して、アルスター3で受け流し、そのまま斬撃を浴びせていく。
ボスモンスターがこれほど弱くていいのかと思いながらも、一階層ということとレベル9という数字とアリーナから購入した装備、そしてヒューマンブレイダーがこの状況を生み出しているのだと考えれば納得してしまう。
パワーボムを放ってから数分後――武器商アスラはアルストによって倒された。
『おめでとうございます。アルスト様のレベルが10に上がりました』
『おめでとうございます。剣術士のレベルが10に上がりました。新しいスキルを習得しました。ステイタスをご確認ください』
レベルアップの電子音に続いて、アスラ討伐によるアイテム獲得の報告が流れてきた。
『ボスモンスター:武器商アスラ討伐により、ドロップアイテムを獲得しました。MVP賞を獲得しました。ラストアタック賞を獲得しました。アイテムボックスをご確認下さい』
指示通りにステイタスを見てみると、ヒューマンブレイダーと同じようにスキル欄にNewの表示が一つ確認できる。
「スキル名は……耐久力上昇1?」
その効果を見てみると、スキルを使用してから一定時間耐久力を上昇させるものだと分かった。
スキル名の横にある数字はスキルのレベルらしく、レベルが上がれば効果時間が長くなる。
「ふーん……ボス戦には必要なスキルだな」
次にアイテムボックスを開くと、Newの表示が二つ確認できた。
素材アイテムの【ミスリル】が二つと、槍術師専用装備の【フレイム・ドン・スピア】である。
【ミスリル】は何かに使えるだろうと思いながら、フレイム・ドン・スピアはどうしようかと考えてしまう。
槍術師になる予定はなく、さらに槍術師から派生する発展職や複合職にも興味がないので使い道がないのだ。
「……レア度、5もあるんだ」
捨てるのももったいないのでとりあえずアイテムボックスの肥やしとし、またアリーナと顔を合わせる時にでも相談しようと考えたアルストだった。
「ログインをすると、ログアウトをした場所に召喚されるのか」
そう考えると、アリーナが話していたPKが現実味を帯びてくる。ログインする場所が決まっていればそこで待ち伏せしてしま追いかけ回せばいいわけだ。
ただアーカイブ内では攻撃ができない仕様である。追いかけ回すだけではダメでも、ログアウトをした場所が分からなくても、バベルの前で待ち伏せしてしまえばそこでPKができる。
だいぶしつこいと言っていたので、バレないようにしなければいけないと心に決めた。
晩ご飯も食べて長時間のプレイが可能になったアルストは、もう一度バベルへ向かうことにした。
一階層のボスモンスターはまさかのレアボスモンスターになっていたので、今のアルストで殺されることなく倒せるのか検証ができていない。
初心者救済処置が後一回残っていることもあり、アルストはもう一度だけ一階層のボスフロアへと足を運んだ。
見た目には何も変わっていないボスフロアへと続く大きな扉。
再びレアボスモンスターが出てきたら、今度こそDPを食らうだろうと思いながらも、アルストは扉を開いた。
「……フロアの風景も違うんだな」
武神ゴルイドと戦った時は王城の一室みたいな風景に切り替わったのだが、今回は古い遺跡の風景そのままとなっている。
フロアの中心には人形のボスモンスターが仁王立ちしており、プレイヤーがボスフロアに足を踏み入れるのを今か今かと待っているように見えた。
「よし、行くか」
変わらない風景にがっかりしていた自分に改めて気合を入れ直し、アルストはボスフロアへと足を踏み入れた。
仁王立ちしていたボスモンスターの目が見開き、アルストを睨みつける。
その直後から頭上に名前とHPが表示された。
「名前は――武器商アスラ……武器商?」
謎の名前に困惑を見せつつ、アルストはアルスター3を抜いて駆け出した。
とにかく攻撃しなければ何も始まらない。レベルアップとステイタス割り振りの効果なのか、アルストは自身が思っていた以上の速度で間合いを詰めてアルスター3を振り抜いた。
『グルオオオオオオオオォォッ!』
アスラは苦痛に悲鳴を上げてアルストを見下ろすと、手を重ね合わせて同時に振り下ろす。
後方へ飛び退き開始すると、先ほどまでアルストが立っていた地面に豪腕が振り下ろされて地面に穴が作られた。
直撃するとアルストのHPが一気に無くなるかもしれないと思いながらも、ゴルイドと比べて動きは緩慢であり対峙した時に感じるプレッシャーが大きく違う。
レアボスモンスターと通常のボスモンスターの違いがこれ程まであるのかと内心で驚いていた。
「だけど、名前が武器商だからなぁ」
一回目の邂逅では肉弾戦のみなのだが、HPが減ってくると名前に見合った攻撃を仕掛けてくる可能性は高いだろうと予想立てしたアルストは、現時点で多くのダメージを与えるために再び間合いを詰めてスキルを発動する。
「パワーボム!」
大上段からの一撃はアスラの脳天に直撃すると、爆発の追加ダメージもありみるみるうちにHPが減少していく。ただ――
「……えっ、嘘、マジで?」
アルストを驚かせたのは、パワーボムの一撃でアスラのHPが四分の一まで減少してしまったから。
アリーナからはレベル6時点で問題なく倒せると太鼓判を押されていたのだが、レベル9になっただけでこうもあっさりダメージを与えられるものなのか。もしくはヒューマンブレイダーの効果なのかと驚愕する。
予想外のダメージ量が影響したのか、突如としてアスラが武器商の名前に見合った獲物を両手に握りしめている姿が視界に飛び込んできた。
「げっ! いつの間に!」
右手に大剣、左手に大槍を持ったアスラは体を捻ると、長大なリーチを持つ両武器による渾身の横薙ぎが放たれた。だが――
「これも、ゆっくり過ぎないか?」
あまりにも緩慢過ぎる動きにアルストは呆れ声を漏らしながら低い体勢を取り横薙ぎを回避、立ち上がりながら斬り上げを放ち追撃。
アスラが武器を引き戻すスピードも遅く、二撃目が来る前にアルストは五回の攻撃を重ねていく。
すでに虫の息になっているアスラの攻撃は苛烈になっていくのだが、それも容易く回避して、アルスター3で受け流し、そのまま斬撃を浴びせていく。
ボスモンスターがこれほど弱くていいのかと思いながらも、一階層ということとレベル9という数字とアリーナから購入した装備、そしてヒューマンブレイダーがこの状況を生み出しているのだと考えれば納得してしまう。
パワーボムを放ってから数分後――武器商アスラはアルストによって倒された。
『おめでとうございます。アルスト様のレベルが10に上がりました』
『おめでとうございます。剣術士のレベルが10に上がりました。新しいスキルを習得しました。ステイタスをご確認ください』
レベルアップの電子音に続いて、アスラ討伐によるアイテム獲得の報告が流れてきた。
『ボスモンスター:武器商アスラ討伐により、ドロップアイテムを獲得しました。MVP賞を獲得しました。ラストアタック賞を獲得しました。アイテムボックスをご確認下さい』
指示通りにステイタスを見てみると、ヒューマンブレイダーと同じようにスキル欄にNewの表示が一つ確認できる。
「スキル名は……耐久力上昇1?」
その効果を見てみると、スキルを使用してから一定時間耐久力を上昇させるものだと分かった。
スキル名の横にある数字はスキルのレベルらしく、レベルが上がれば効果時間が長くなる。
「ふーん……ボス戦には必要なスキルだな」
次にアイテムボックスを開くと、Newの表示が二つ確認できた。
素材アイテムの【ミスリル】が二つと、槍術師専用装備の【フレイム・ドン・スピア】である。
【ミスリル】は何かに使えるだろうと思いながら、フレイム・ドン・スピアはどうしようかと考えてしまう。
槍術師になる予定はなく、さらに槍術師から派生する発展職や複合職にも興味がないので使い道がないのだ。
「……レア度、5もあるんだ」
捨てるのももったいないのでとりあえずアイテムボックスの肥やしとし、またアリーナと顔を合わせる時にでも相談しようと考えたアルストだった。
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