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第103話:外壁、外壁、外壁!

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 外壁用の石材を確保し終えた俺たちは、リディアルへ戻ることにした。
 帰りはみんなが一緒なので、安心して帰ることができる。
 ……いや、ギーベだけで不安だったわけじゃないよ? この辺りには魔獣の気配もなかったわけだし。
 ただ、気持ちの部分でどうしても……ね?
 そんなことを考えていると、あっという間にリディアルの門を潜る。

「あれ? もう作業をしてくれていたのか!」

 リディアルの中では既に、男性陣が何度も行ったり来たりを繰り返しており、外壁を広げる作業を開始してくれていた。

「おかえり、リドル君」

 俺が驚きの顔で眺めていると、帰ってきたことに気づいたナイルさんが声を掛けてくれた。

「ただいま戻りました。もしかして、コーワンさんが?」
「あぁ。リドル君が魔の森へ行ったあと、すぐに声を掛けてくれてね。残っていた石材を使って早速、外壁を造り始めてくれたんだ」

 きっとそこではミニゴレたちも活躍してくれているだろう。
 ……みんな、俺の提案を受け入れてくれて、すぐに行動してくれて、本当に嬉しいし、ありがたい。

「俺もすぐにそちらに向かいます! 木材もですけど、石材も確保してきたんです!」
「なんと、そうだったのかい? それならコーワンのところまで案内しよう」

 みんなのやる気に触発されて、俺もまだまだ休んでいられないと思い声を上げた。
 ナイルさんもすぐに案内を買って出てくれ、俺はそのままコーワンさんたちが作業をしているところへと向かうことにする。

「レオたちは休んでいてくれ。本当にお疲れ様」

 ここでレオたちはいったん、お役御免だ。
 ずっと働かせるわけにもいかないし、休んでもらうことにした。

「行きましょう、ナイルさん!」

 こうして俺は、ナイルさんと一緒に歩き出した。

「リドル君が戻ってきたぞ、コーワン」

 作業はリディアルの西側の外壁、その外側で行われていた。
 西側がグースの花畑に繋がらる方角なので、当然と言えば当然だ。

「戻ってきたか、リドル!」
「「「「ゴゴー!」」」」

 コーワンさんに続いて、ミニゴレたちも右手を上げながら合図をしてくれた。

「お疲れ様です、コーワンさん。ミニゴレたちもお疲れ様」

 俺はコーワンさんとミニゴレたちを労いながら、言葉を続ける。

「魔の森で木材と石材を確保してきました。外壁を広げるには全然足りないと思っていたので」
「マジか! そりゃあお前、助かるぜ! そろそろ石材がなくなりそうで、調達を頼もうと思っていたからな!」

 俺の言葉にコーワンさんが嬉しそうに笑ってくれた。

「ひとまず休んでから、また作業を再開しますか?」
「いんや、俺たちは先に休ませてもらっていたからな。今作業している奴らと交代して、これから再開する予定だ」
「それなら俺も手伝います! ……まあ、石材を取り出すくらいしかできませんけど」
「それが一番ありがたいんだぜ!」

 俺が苦笑しながら答えると、コーワンさんは豪快に笑いながら俺の肩を何度も叩いた。
 ちょっとだけ痛かったが、コーワンさんが喜んでくれているのを見ると、痛みも吹き飛んでしまうな。

「そんじゃあ……あっちに出してくれるか?」

 コーワンさんが石材を出すところに選んだ場所は、今の外壁から少し離れた場所だった。

「いいですけど、そんな何もない場所でいいんですか?」
「大丈夫だ。どうせ規格外の量を取ってきたんだろう?」
「それは……まあ、そうかもしれませんね」

 レオたちが頑張ってくれたおかげで、結構な量の石材を確保することができていたので、素直に頷いた。

「だろ? それだけあれば、石材を出してもらう場所までなら、今日中に外壁を造ることができるはずだ」
「……え? あの場所まで、外壁を造っちゃうんですか? 今日中に?」

 まさかの答えに俺は聞き返してしまった。

「何せミニゴレたちがいるからな! こいつら、マジですごいぞ? 前回の時よりも動きがめっちゃいいんだよ!」
「え? そうなのか、ミニゴレ?」

 コーワンさんの言葉を受けて、俺は代表してミニゴレに聞いてみた。

「ゴゴ! ゴッゴゴゴー!」
「力が漲ってきているって? ……なんでだろう?」

 ギーベも石材の切り出しをできるようになっていたし、従魔たちに何か起きているのだろうか?

「……おーい、リドルー。石材を出してくれねぇかー?」
「え? あ、そうですね。すぐに出します」

 気になることはあるが、今は外壁を造ってもらうことが最優先だ。
 俺は言われた場所に石材を取り出していき、案の定コーワンさんに驚かれてしまう。
 そこからは作業を見守ることしかできなかったが、頑張っているミニゴレたちを見ることができて本当によかった。
 コーワンさんが言ったように、てきぱきと動いてくれているし、一度に大量の石材を運ぶことができるようになっている。
 ……あとで、エルダーに聞いてみるかな。なんだかんだ、博識だし。
 それから数時間後、外壁は一〇メートルほど先まで延び、本日の作業は終了したのだった。
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