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第93話:冒険者ギルドの誘致
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俺たちが向かった先は、ガズンさんたちの屋敷だ。
実は先日、冒険者ギルドの誘致について聞いてようとしたのだが、自警団の訓練などが重なり話し合いができなかった。
それからずっとタイミングが合わなかったのだが、ようやく今日、時間を取れるということで話し合いを行うことになったのだ。
「本当によかったよ。冒険者ギルドがなかったことで、ガズンさんたちの迷惑になっていなければいんだけど……」
「ガウー」
「ミー」
思わず呟いてしまった言葉に、レオとルナも申し訳なさそうに鳴いた。
すぐにガズンさんたちの屋敷に到着すると、俺は扉の前に下がっている紐を引き、呼び鈴を鳴らした。
「来たか、リドル殿」
すると、すぐに扉が開かれてガズンさんが出迎えてくれた。
「お待たせしました」
「そんなことはないさ。レオとルナもいらっしゃい」
「ガウガウ!」
「ミーミー!」
レオとルナにも声を掛けてくれたガズンさんが中へ促してくれたので、俺は会釈をしながら入っていく。
パーティ全員で暮らしていることもあり、ガズンさんたちの屋敷は二階建てだ。
俺の屋敷よりも大きくしているので、最初はとても遠慮されてしまったが、暮らす人数が多いのであれば、それなりの広さが必要になる。
というわけで、俺の我がままで受け取ってもらった。
「住み心地はいかがですか?」
「快適過ぎて、申し訳ないくらいだ」
「それならよかったです。でも、申し訳なく思う必要はありませんからね」
満足してくれているようで安心した俺は、リビングで待ってくれていたオルフェンさんとミシャさんとも顔を合わせた。
「おー、リドル! この屋敷、マジで最高だな!」
「本当にありがとう、リドル君!」
「皆さん、満足してくれているようでよかったです」
屋敷を建ててくれたのはコーワンさんやミニゴレたちだから、あとでみんなにも伝えてあげよう。きっと喜んでくれるはずだ。
「それで、いったいどうしたんだ?」
案内してからすぐにお茶を入れてくれたガズンさんがテーブルにグラスを並べながら問い掛けた。
「はい。……冒険者ギルドを誘致する方法を知っていれば、教えていただければと思いまして」
「「「冒険者ギルドを誘致?」」」
俺の質問にガズンさんたちは声を揃えて問い返してきた。
「リディアルには冒険者ギルドがありません。そのせいで皆さんに迷惑を掛けているんじゃないかと思いまして」
「迷惑だと? ……誰か、そんなことを言ったのか?」
「いんや、言ってねぇぞ?」
「私も言ってなーい」
「いえ、誰もそのようなことは言っていないんですけど、皆さんの評価になっていないかなと思いまして」
そこで俺は、自分で考え得る、冒険者ギルドがないことによるガズンさんたちへの影響についてを伝えていく。
特に気になっていた、冒険者としての評価については念入りに。
「冒険者ギルドからの評価かぁ……」
「やっぱり、何かあるんですね?」
そう口にしたガズンさんが黙り込んでしまったので、やはり何かあるのだと思い問い掛けた。
「……いや、評価自体はもちろんあるんだが、俺たちはそのことについて特に気にしていないんだ」
「そうなんですか?」
ガズンさんの言葉を受けて、俺は視線をオルフェンさんとミシャさんへ向ける。
すると二人も笑顔で頷いていた。
「ランクに縛られる冒険者なんて、二流だよ、二流」
「私はオルフェンみたいには思わないけど、確かにランクに縛られたくはないかなー」
「冒険者の人って、そういうものなんですか?」
二人がガズンさんと同じ意見だったこともあり続けて質問をすると、答えてくれたのはミシャさんだ。
「それはないかなー。私たちみたいな冒険者が少数派だと思うわね」
「その通りだな。俺たちはどちらかというと、自由に旅をしたくて冒険者になった者の集まりだからな」
「それに、ランクなんて気づいたら上がっているもんだしなー」
それでAランクまで上がっているのだから、説得力があるな。
「そういうわけで、俺たちのためにと考えているのであれば急ぐ必要はないぞ?」
「……そ、そうですか。よかったー」
ホッと胸を撫で下ろしながらも、だかといって冒険者ギルドを誘致しないでいい、ということにはならない。
「とはいえ、いずれはあった方がいいですよね?」
「そうだな。ルッツ様がリディアル産の野菜だけではなく、森で手に入れた魔獣素材を宣伝すれば、多くの冒険者が集まることだろうし」
「でもよう、ガズン。それって俺たちがいたら問題なくないか?」
「オルフェンの言う通りだよねー」
「……そ、そうなんですか?」
質問に答えてくれたガズンさんに続いて口を開いてくれたオルフェンさん、ミシャさんの言葉を聞いて、俺は驚きの声を漏らした。
実は先日、冒険者ギルドの誘致について聞いてようとしたのだが、自警団の訓練などが重なり話し合いができなかった。
それからずっとタイミングが合わなかったのだが、ようやく今日、時間を取れるということで話し合いを行うことになったのだ。
「本当によかったよ。冒険者ギルドがなかったことで、ガズンさんたちの迷惑になっていなければいんだけど……」
「ガウー」
「ミー」
思わず呟いてしまった言葉に、レオとルナも申し訳なさそうに鳴いた。
すぐにガズンさんたちの屋敷に到着すると、俺は扉の前に下がっている紐を引き、呼び鈴を鳴らした。
「来たか、リドル殿」
すると、すぐに扉が開かれてガズンさんが出迎えてくれた。
「お待たせしました」
「そんなことはないさ。レオとルナもいらっしゃい」
「ガウガウ!」
「ミーミー!」
レオとルナにも声を掛けてくれたガズンさんが中へ促してくれたので、俺は会釈をしながら入っていく。
パーティ全員で暮らしていることもあり、ガズンさんたちの屋敷は二階建てだ。
俺の屋敷よりも大きくしているので、最初はとても遠慮されてしまったが、暮らす人数が多いのであれば、それなりの広さが必要になる。
というわけで、俺の我がままで受け取ってもらった。
「住み心地はいかがですか?」
「快適過ぎて、申し訳ないくらいだ」
「それならよかったです。でも、申し訳なく思う必要はありませんからね」
満足してくれているようで安心した俺は、リビングで待ってくれていたオルフェンさんとミシャさんとも顔を合わせた。
「おー、リドル! この屋敷、マジで最高だな!」
「本当にありがとう、リドル君!」
「皆さん、満足してくれているようでよかったです」
屋敷を建ててくれたのはコーワンさんやミニゴレたちだから、あとでみんなにも伝えてあげよう。きっと喜んでくれるはずだ。
「それで、いったいどうしたんだ?」
案内してからすぐにお茶を入れてくれたガズンさんがテーブルにグラスを並べながら問い掛けた。
「はい。……冒険者ギルドを誘致する方法を知っていれば、教えていただければと思いまして」
「「「冒険者ギルドを誘致?」」」
俺の質問にガズンさんたちは声を揃えて問い返してきた。
「リディアルには冒険者ギルドがありません。そのせいで皆さんに迷惑を掛けているんじゃないかと思いまして」
「迷惑だと? ……誰か、そんなことを言ったのか?」
「いんや、言ってねぇぞ?」
「私も言ってなーい」
「いえ、誰もそのようなことは言っていないんですけど、皆さんの評価になっていないかなと思いまして」
そこで俺は、自分で考え得る、冒険者ギルドがないことによるガズンさんたちへの影響についてを伝えていく。
特に気になっていた、冒険者としての評価については念入りに。
「冒険者ギルドからの評価かぁ……」
「やっぱり、何かあるんですね?」
そう口にしたガズンさんが黙り込んでしまったので、やはり何かあるのだと思い問い掛けた。
「……いや、評価自体はもちろんあるんだが、俺たちはそのことについて特に気にしていないんだ」
「そうなんですか?」
ガズンさんの言葉を受けて、俺は視線をオルフェンさんとミシャさんへ向ける。
すると二人も笑顔で頷いていた。
「ランクに縛られる冒険者なんて、二流だよ、二流」
「私はオルフェンみたいには思わないけど、確かにランクに縛られたくはないかなー」
「冒険者の人って、そういうものなんですか?」
二人がガズンさんと同じ意見だったこともあり続けて質問をすると、答えてくれたのはミシャさんだ。
「それはないかなー。私たちみたいな冒険者が少数派だと思うわね」
「その通りだな。俺たちはどちらかというと、自由に旅をしたくて冒険者になった者の集まりだからな」
「それに、ランクなんて気づいたら上がっているもんだしなー」
それでAランクまで上がっているのだから、説得力があるな。
「そういうわけで、俺たちのためにと考えているのであれば急ぐ必要はないぞ?」
「……そ、そうですか。よかったー」
ホッと胸を撫で下ろしながらも、だかといって冒険者ギルドを誘致しないでいい、ということにはならない。
「とはいえ、いずれはあった方がいいですよね?」
「そうだな。ルッツ様がリディアル産の野菜だけではなく、森で手に入れた魔獣素材を宣伝すれば、多くの冒険者が集まることだろうし」
「でもよう、ガズン。それって俺たちがいたら問題なくないか?」
「オルフェンの言う通りだよねー」
「……そ、そうなんですか?」
質問に答えてくれたガズンさんに続いて口を開いてくれたオルフェンさん、ミシャさんの言葉を聞いて、俺は驚きの声を漏らした。
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