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第92話:屋敷の改築
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――トンテンカン。トンテンカン。
自警団が結成されてから一週間後、俺は早速一つの問題解決に向けて動き出した。
……というか、完全に自分のためでもある。
「これでどうだ、リドル!」
そう声を掛けてくれたのは、コーワンさんだ。
自警団の仕事ではなく、本業である大工の仕事を頼んでいるのだが、今回は屋敷の改修をお願いしている。
……俺の部屋はエルダーに占領されてしまったからな。ゆっくり休むためにも大事なことだ。
「どれどれ……おぉ! さすがです、コーワンさん!」
「がはははは! まあ、これくらいなら俺とミニゴレたちに任せてくれ!」
「「「「ゴッゴゴー!」」」」
新しく作られた部屋の完成を見て、俺は大満足に返事をした。
するとコーワンさんは腕組みをしながら、その足元に立っていたミニゴレたちの働きも褒めてくれた。
「ミニゴレたちは、すっかりコーワンさんの弟子みたいになっているな」
「「「「ゴッゴゴー! ゴゴー!」」」」
「なんだ? なんて言ってんだ?」
「もっといろいろ教えてほしいみたいですね」
どうやらミニゴレたちも、まんざらではないみたいだ。
俺の従魔ではあるが、行動に制限を掛けるつもりもなく、みんなには自由にしてもらっている。
ミニゴレたちにも意思はあるし、性格もそれぞれだ。
テイマーだからって俺がなんでも決めていいわけではないし、ミニゴレたちがやりたいのであれば、俺はやらせてやりたいと思っている。
もちろん、コーワンさんが許してくれればだけど。
「そうか! それなら、俺の技術をとことん教えてやろう!」
「「「「ゴゴ!」」」」
「よーし! いい返事だ!」
ミニゴレたちが大工仕事を覚えたら、色々とできることが増えそうだ。
「それじゃあ俺たちは別の仕事に戻るぞ! 何せ、やることは山ほどあるからな!」
「「「「ゴゴゴゴー!」」」」
「ありがとうございましたー!」
ミニゴレを付き従えたコーワンさんに手を振りながら、俺は改めて新しく出来上がった部屋を見る。
元の寝室は完全にエルダー専用になってしまったので、リビングの横の壁を破壊して、新しい部屋となる建物を造ってもらった。
そこが俺の新しい寝室となる。
「どうだ? レオ、ルナ?」
俺の足元にはレオとルナがいて、興味深げに部屋の中を覗き見ている。
「……ガウガウ!」
「ミーミー!」
最初こそ警戒しながら見ていた二匹も、以前の部屋よりも広く、さらには俺の荷物が運び込まれていると分かったからか、すぐに駆け出し、飛び跳ねている。
「暴れすぎて、物を壊すなよー」
以前にエルダーが大量に壊したせいで、部屋の中のものの大半が新調したものだ。
部屋だけではなく、家具なども新調したのだから、可能な限り大事に使いたい。
領主とはいえ、贅沢三昧できるわけではないし、そもそも俺がそういうのを好まない。
「ガウガウ!」
「ミーミー!」
そんな性格が二匹にも伝わったのか、俺がそう口にした直後に返事をしてくれ、ピタッと動きを止めてくれた。
「気をつけてくれれば、飛び跳ねてもいいからな」
「ガウ!」
「ミー!」
遠慮するあたり本当に可愛いんだから。レオもルナも。
「なんだ! この部屋は!」
「ここは俺の部屋だからな! お前の部屋はあっちだぞ、エルダー!」
そこへエルダーの驚きの声が聞こえてきたので、俺は即座に答えて見せた。
「む! 我の部屋にしてもいいのだぞ? 交換してやろうか?」
「結構だ! ここは俺とレオとルナ、それに従魔たちが休む部屋にするんだからな!」
新しいもの好きなのか、エルダーは物欲しそうに部屋を見回しているが、絶対に譲らない。譲るつもりもない。
「……いいではないか」
「絶対にダメだからな!!」
それからしばらくは同じやり取りをしていたものの、俺が折れることはなく、最終的にはエルダーが渋々折れてくれた。
……いやいや、俺に主導権があるからな! 折れてくれたって自分で思っていることにびっくりだよ!
「俺はこのあと出るけど……絶対に中に入るなよ! 見るだけだからな!」
「分かっておるわ!」
そう返事をしてくれたので、俺はレオとルナと共に屋敷を出た。
……本当に、分かっているんだろうな?
自警団が結成されてから一週間後、俺は早速一つの問題解決に向けて動き出した。
……というか、完全に自分のためでもある。
「これでどうだ、リドル!」
そう声を掛けてくれたのは、コーワンさんだ。
自警団の仕事ではなく、本業である大工の仕事を頼んでいるのだが、今回は屋敷の改修をお願いしている。
……俺の部屋はエルダーに占領されてしまったからな。ゆっくり休むためにも大事なことだ。
「どれどれ……おぉ! さすがです、コーワンさん!」
「がはははは! まあ、これくらいなら俺とミニゴレたちに任せてくれ!」
「「「「ゴッゴゴー!」」」」
新しく作られた部屋の完成を見て、俺は大満足に返事をした。
するとコーワンさんは腕組みをしながら、その足元に立っていたミニゴレたちの働きも褒めてくれた。
「ミニゴレたちは、すっかりコーワンさんの弟子みたいになっているな」
「「「「ゴッゴゴー! ゴゴー!」」」」
「なんだ? なんて言ってんだ?」
「もっといろいろ教えてほしいみたいですね」
どうやらミニゴレたちも、まんざらではないみたいだ。
俺の従魔ではあるが、行動に制限を掛けるつもりもなく、みんなには自由にしてもらっている。
ミニゴレたちにも意思はあるし、性格もそれぞれだ。
テイマーだからって俺がなんでも決めていいわけではないし、ミニゴレたちがやりたいのであれば、俺はやらせてやりたいと思っている。
もちろん、コーワンさんが許してくれればだけど。
「そうか! それなら、俺の技術をとことん教えてやろう!」
「「「「ゴゴ!」」」」
「よーし! いい返事だ!」
ミニゴレたちが大工仕事を覚えたら、色々とできることが増えそうだ。
「それじゃあ俺たちは別の仕事に戻るぞ! 何せ、やることは山ほどあるからな!」
「「「「ゴゴゴゴー!」」」」
「ありがとうございましたー!」
ミニゴレを付き従えたコーワンさんに手を振りながら、俺は改めて新しく出来上がった部屋を見る。
元の寝室は完全にエルダー専用になってしまったので、リビングの横の壁を破壊して、新しい部屋となる建物を造ってもらった。
そこが俺の新しい寝室となる。
「どうだ? レオ、ルナ?」
俺の足元にはレオとルナがいて、興味深げに部屋の中を覗き見ている。
「……ガウガウ!」
「ミーミー!」
最初こそ警戒しながら見ていた二匹も、以前の部屋よりも広く、さらには俺の荷物が運び込まれていると分かったからか、すぐに駆け出し、飛び跳ねている。
「暴れすぎて、物を壊すなよー」
以前にエルダーが大量に壊したせいで、部屋の中のものの大半が新調したものだ。
部屋だけではなく、家具なども新調したのだから、可能な限り大事に使いたい。
領主とはいえ、贅沢三昧できるわけではないし、そもそも俺がそういうのを好まない。
「ガウガウ!」
「ミーミー!」
そんな性格が二匹にも伝わったのか、俺がそう口にした直後に返事をしてくれ、ピタッと動きを止めてくれた。
「気をつけてくれれば、飛び跳ねてもいいからな」
「ガウ!」
「ミー!」
遠慮するあたり本当に可愛いんだから。レオもルナも。
「なんだ! この部屋は!」
「ここは俺の部屋だからな! お前の部屋はあっちだぞ、エルダー!」
そこへエルダーの驚きの声が聞こえてきたので、俺は即座に答えて見せた。
「む! 我の部屋にしてもいいのだぞ? 交換してやろうか?」
「結構だ! ここは俺とレオとルナ、それに従魔たちが休む部屋にするんだからな!」
新しいもの好きなのか、エルダーは物欲しそうに部屋を見回しているが、絶対に譲らない。譲るつもりもない。
「……いいではないか」
「絶対にダメだからな!!」
それからしばらくは同じやり取りをしていたものの、俺が折れることはなく、最終的にはエルダーが渋々折れてくれた。
……いやいや、俺に主導権があるからな! 折れてくれたって自分で思っていることにびっくりだよ!
「俺はこのあと出るけど……絶対に中に入るなよ! 見るだけだからな!」
「分かっておるわ!」
そう返事をしてくれたので、俺はレオとルナと共に屋敷を出た。
……本当に、分かっているんだろうな?
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