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第63話:新しい屋敷と宿
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――結果として、やる気に満ちたオルフェンさんを筆頭に、俺たちは大量の魔獣を狩ることに成功した。
その全てが中型魔獣だったこともあり、俺の当初の目的である小型魔獣のテイムは達成できなかったが、大量のお肉を確保することができた。
オルフェンさんは直接レイアさんに渡すのだと張り切っており、そちらにはミシャさんが一緒に行っている。
俺とガズンさんはお裾分けとしてナイルさんに持って行ったのだが、ちょうどコーワンさんも顔を出しており、『今日は宴だ!』と声を上げていた。
「さすがにそれはダメですよ、コーワンさん」
しかし俺は即答で断った。
「ど、どうしてだ、リドル!?」
「二日酔いで今日の仕事を放棄したのはどこのどなたでしょうかねぇ~?」
「うぐっ!? ……そ、それは、言わない約束だろうよ」
「そんな約束なんてしたことないですよ!」
というわけで、二日連続の宴はなくなった。というか、するわけがない。
それに伴い俺は一つの問題を解消するべく、翌日から動き出そうと決意し、その日は就寝した。
◇◆◇◆
――そして、翌朝。
「よし、新しい屋敷と宿を建てるぞ!」
「「え?」」
「ガウ?」
「ミー?」
「「ゴゴー?」」
俺が朝食の席でそう口にすると、屋敷に泊まっているガズンさんとオルフェンさん、一緒に食事をしていたレオとルナ、ゴレキチとゴレオがコテンと首を横に倒した。
どうしてそう考えたのかというと、ガズンさんたちがリディアルに残ってくれると分かったからだ。
今は俺やナイルさん、アニータさんの屋敷に泊まってくれているが、ずっとそうしているわけにはいかない。
そうなると、ガズンさんたちの屋敷を建てた方が早いと思ったのと、これからは外から多くの客がリディアルにやってくるかもしれない考えれば、宿もあった方がいいと判断したのだ。
「なんのために屋敷を建てるんだ?」
「そんなことよりもまずは肉の確保だろ! まだまだ必要だろうからな!」
どうやらガズンさんは俺の思考に気づいていないようだ。
オルフェンさんは……頭の中がレイアさんのことで埋め尽くされているみたいなので置いておこう。
「ガズンさんたちがしばらくリディアルに残ってくれることになったので、皆さんの屋敷が必要かなと思ったんですよ」
「俺たちの屋敷だと?」
「そんなもんいらないだろう。むしろ宿があったら、そっちに移るっての」
驚きの声を上げたガズンさんに続いて、思考がこちらに戻ってきたオルフェンさんが朝食を口に運びながらそう口にした。
「それだと長期で残ることになった時が大変じゃないですか? だったら屋敷を与えておいた方がいいかなと思ったんですけど」
「俺たちだけならいいかもしれないが、女性のミシャがいるからな。そこは要相談ということにさせてくれないか?」
「まあ、俺たちはあいつを女として見てないし、あいつも俺たちを男として見てないだろうけどなー」
「だとしても、お互いにきちんとした距離感は持たなければならないからな。親しき中にも礼儀あり、というやつだ」
ガズンさんの言うことが正しいと思った俺は、その場で一つ頷いた。
「分かりました。それじゃあ、ミシャさんにも相談して、屋敷については決めたいと思います。宿はあった方がいいんですよね?」
「そうだな。リディアルは今後、間違いなく発展するはずだ。そう考えると、一つとは言わず、二つや三つあっても足りないのではないか?」
「いや、さすがにそこまで発展しますかね?」
「そりゃお前、するだろうよ」
リディアルが発展するというガズンさんの発言に、半信半疑だった俺だが、どうやらオルフェンさんも同意見のようだ。
「美味い飯があるだけでも最高なのに、そこで大量に採れるミスリルに、それを打てる鍛冶師までいるんだ。間違いなく、冒険者は殺到するだろうな」
「……そうなんですね」
「だからこそ! 俺がレイアさんを守らなきゃならんのだ! ガズン、俺は絶対にリディアルに残るぞ! いや、拠点をここに移してもいいとすら思っているくらいだからな!」
「それもミシャと要相談だ」
オルフェンさん、本当にレイアさんに一目惚れしちゃったんだな。
そこまでやるくらいなら、アタックしたらいいのに。
冒険者って職業は、それだけ大変な仕事なんだな。
……もしもオルフェンさんが本気でアタックしたいとなったら、少しくらいは協力してもいいかもしれないな。
「そうと決まれば、朝食を終えたらアニータさんの屋敷を訪ねてみるか」
「そうですね」
「よっしゃ! 絶対に説得してみせるぜ!」
その説得や屋敷ですか? 拠点を移すことですか? と聞いてみたくなったが、結果はすぐに分かるので食事を堪能することにした。
……うん、自分で作っておいてなんだが、やっぱりリディアルの野菜は美味いな。
その全てが中型魔獣だったこともあり、俺の当初の目的である小型魔獣のテイムは達成できなかったが、大量のお肉を確保することができた。
オルフェンさんは直接レイアさんに渡すのだと張り切っており、そちらにはミシャさんが一緒に行っている。
俺とガズンさんはお裾分けとしてナイルさんに持って行ったのだが、ちょうどコーワンさんも顔を出しており、『今日は宴だ!』と声を上げていた。
「さすがにそれはダメですよ、コーワンさん」
しかし俺は即答で断った。
「ど、どうしてだ、リドル!?」
「二日酔いで今日の仕事を放棄したのはどこのどなたでしょうかねぇ~?」
「うぐっ!? ……そ、それは、言わない約束だろうよ」
「そんな約束なんてしたことないですよ!」
というわけで、二日連続の宴はなくなった。というか、するわけがない。
それに伴い俺は一つの問題を解消するべく、翌日から動き出そうと決意し、その日は就寝した。
◇◆◇◆
――そして、翌朝。
「よし、新しい屋敷と宿を建てるぞ!」
「「え?」」
「ガウ?」
「ミー?」
「「ゴゴー?」」
俺が朝食の席でそう口にすると、屋敷に泊まっているガズンさんとオルフェンさん、一緒に食事をしていたレオとルナ、ゴレキチとゴレオがコテンと首を横に倒した。
どうしてそう考えたのかというと、ガズンさんたちがリディアルに残ってくれると分かったからだ。
今は俺やナイルさん、アニータさんの屋敷に泊まってくれているが、ずっとそうしているわけにはいかない。
そうなると、ガズンさんたちの屋敷を建てた方が早いと思ったのと、これからは外から多くの客がリディアルにやってくるかもしれない考えれば、宿もあった方がいいと判断したのだ。
「なんのために屋敷を建てるんだ?」
「そんなことよりもまずは肉の確保だろ! まだまだ必要だろうからな!」
どうやらガズンさんは俺の思考に気づいていないようだ。
オルフェンさんは……頭の中がレイアさんのことで埋め尽くされているみたいなので置いておこう。
「ガズンさんたちがしばらくリディアルに残ってくれることになったので、皆さんの屋敷が必要かなと思ったんですよ」
「俺たちの屋敷だと?」
「そんなもんいらないだろう。むしろ宿があったら、そっちに移るっての」
驚きの声を上げたガズンさんに続いて、思考がこちらに戻ってきたオルフェンさんが朝食を口に運びながらそう口にした。
「それだと長期で残ることになった時が大変じゃないですか? だったら屋敷を与えておいた方がいいかなと思ったんですけど」
「俺たちだけならいいかもしれないが、女性のミシャがいるからな。そこは要相談ということにさせてくれないか?」
「まあ、俺たちはあいつを女として見てないし、あいつも俺たちを男として見てないだろうけどなー」
「だとしても、お互いにきちんとした距離感は持たなければならないからな。親しき中にも礼儀あり、というやつだ」
ガズンさんの言うことが正しいと思った俺は、その場で一つ頷いた。
「分かりました。それじゃあ、ミシャさんにも相談して、屋敷については決めたいと思います。宿はあった方がいいんですよね?」
「そうだな。リディアルは今後、間違いなく発展するはずだ。そう考えると、一つとは言わず、二つや三つあっても足りないのではないか?」
「いや、さすがにそこまで発展しますかね?」
「そりゃお前、するだろうよ」
リディアルが発展するというガズンさんの発言に、半信半疑だった俺だが、どうやらオルフェンさんも同意見のようだ。
「美味い飯があるだけでも最高なのに、そこで大量に採れるミスリルに、それを打てる鍛冶師までいるんだ。間違いなく、冒険者は殺到するだろうな」
「……そうなんですね」
「だからこそ! 俺がレイアさんを守らなきゃならんのだ! ガズン、俺は絶対にリディアルに残るぞ! いや、拠点をここに移してもいいとすら思っているくらいだからな!」
「それもミシャと要相談だ」
オルフェンさん、本当にレイアさんに一目惚れしちゃったんだな。
そこまでやるくらいなら、アタックしたらいいのに。
冒険者って職業は、それだけ大変な仕事なんだな。
……もしもオルフェンさんが本気でアタックしたいとなったら、少しくらいは協力してもいいかもしれないな。
「そうと決まれば、朝食を終えたらアニータさんの屋敷を訪ねてみるか」
「そうですね」
「よっしゃ! 絶対に説得してみせるぜ!」
その説得や屋敷ですか? 拠点を移すことですか? と聞いてみたくなったが、結果はすぐに分かるので食事を堪能することにした。
……うん、自分で作っておいてなんだが、やっぱりリディアルの野菜は美味いな。
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