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第24話:二日酔いと家屋改善

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 美味しい高級肉を堪能した宴を終えた翌日、俺たちは変わらず家屋の改善のために動き出していた。
 とはいえ、すぐに動けたのは俺や従魔たちだけで、大人たちは軒並み二日酔いでぶっ倒れている。
 特にコーワンさんはレオやルナが逃げ出してしまうくらいの酒臭さを振り前いていたので、結構な量を飲んでいると思う。
 一応、家屋改善の中心人物なのだが……まあ、今日に限っては大目に見よう。俺の屋敷を建ててくれた立役者なんだしね。
 ある意味で言えば、昨日の宴は俺ではなく、コーワンさんに英気を養ってもらうためだと思えばいいのだから。

「というわけで、今日は朝からずっと、資材の切り出し、運搬作業となります! みんな、よろしくな!」

 俺の号令のもと、従魔たちが一斉に動き出す。
 木材はそこまでの量を必要としていないので、ゴンコの縄張りにある大木を三本ほど許可を得て伐採し、ゴレキチに運搬を任せてある。
 残ったレオ、ルナ、ミニゴレ、ゴレオ、ゴレミで石材の切り出しと運搬を一気に行う。
 可能であれば今日で必要分の石材を、村の入口に運んでおきたい。
 そうすれば明日から村人たちの家屋を造り始めることも可能だろう。
 今日は……まあ、無理だろうな、うん。
 そんなことを考えながら作業を見守り、時折休憩を挟みながら、無理のない範囲を見極めていく。
 不思議なもので、レオをテイムした初めの頃から比べて、テイムした従魔たちの疲労度なんかが、なんとなくだけど分かるようになってきている。
 俺が無理なく活動させたいと思っていたからなのか、それともテイマーというものがそういうものなのか、それは正直分からないけど、俺にとっては最高の能力だ。
 何せ、俺自身が働けないから疲れない。疲れないから、みんなを休ませるタイミングが分からなかったからな。

「よーし! お昼にするぞー!」
「ガウガウ!」
「ミーミー!」

 俺がそう口にすると、すぐにレオとルナがすっ飛んできた。
 そうだよな、今回はお前たちが疲れていたもんな。

「今日はルミナさんに弁当を作ってきてもらっているんだ。昨日のお肉、美味しかっただろう?」
「ガウー!」
「ミー!」

 昨日の宴で使用した高級肉だが、結構な量が焼かれ、みんなの胃袋に消えていったと思っていたのだが、それでもまだ残っていた。
 その高級肉を使っての弁当なのだ、マズいわけがない。

「それじゃあ――いただきます!」
「ガウガウー!」
「ミーミー!」
「「「「ゴゴゴゴー!」」」」

 みんなで弁当を食べ始め、あまりの美味しさに無言で完食してしまう。
 ……あれ? 美味しすぎて、一気に食べてしまった。これでは休憩の意味がないのでは?

「ん? でも、みんなの疲労が消えたな」

 食事を終えたあと、一番疲労度が溜まっていたレオとルナがものすごく元気になっているのが伝わってきた。
 二匹だけではなく、ミニゴレたちの疲労度も感じなくなっている。
 ……食事をしたからか? でも、それだけで疲労って回復するものなんだろうか?

「……みんな、もう大丈夫なのか?」
「ガウガウ!」
「ミーミー!」
「「「「ゴッゴゴー!」」」」

 元気いっぱいらしい。それも、仕事をやりたがっているようにも感じられる。
 本当はもっと休んでもらいたかったが、やる気になっているみんなを引き留めるのも申し訳ない。
 ……仕方がない、今は働いてもらって、早めに切り上げるとするかな。

「みんな、また頼むぞ!」

 こうして休憩を終えた従魔たちは再び元気よく働いてくれ、日が地平線に隠れる前に村へと戻っていった。

「……やっぱり、今日は無理だったかぁ~」

 村に戻ってみると、よろよろしたままのコーワンさんが、入口で石材にもたれかかっていた。
 ……いや、なんでこんなところにいるのよ。家で休んでおきなさいよ。

「何をしているんですか、コーワンさん?」
「……いや、リドルにだけ働かせるのは悪いと思って、仕事をしようと……うぷっ!?」
「夕方になってもお酒が抜けてないんですか? もう今日はいいですから、明日は万全の状態でお願いしますね?」
「……マジで、すまねぇ」

 そう言って、コーワンさんは自分の屋敷に戻っていった。
 マジで何がしたかったんだろうか。

「コーワンなりに、リドル君に悪いと思っていたのだよ。許してやってくれ」

 そこへナイルさんもやってきて、苦笑しながら理由を教えてくれた。

「別に気にしてないですよ。俺の屋敷のために頑張ってくれたわけですしね」
「まだ家具などがないから住むことはできないが、明日には作らせ始めるよ」
「それなら最低限の家具だけでいいですよ。最優先するべきは、村の家屋改善ですからね」

 俺の生活環境はいったん横に置いてくれてても構わない。
 ナイルさんたちが迷惑をこうむっているのであれば話は別だけど……だ、大丈夫だよな?

「そうかい? それなら、もうしばらく私の屋敷に泊まってくれ。ティナもリドル君がいてくれて、毎日が楽しそうだからね」
「そうですか? そう言ってもらえると、助かります」

 よかった、迷惑を掛けているわけじゃなかったようだ。

「みんなも頑張ってくれたので、今日は早めに切り上げてきました」
「そうか。それなら屋敷に帰ろうか。ルミナとティナも待っているよ」
「はい!」

 待ってくれている人がいるというだけで、なんだか心が躍ってしまう。
 そんな環境を与えてくれたナイルさんたちに感謝しながら、明日からもまた頑張るとしよう。

 ◆◇◆◇

 それから数日を掛けて、俺たちは村の家屋を全て石造りの頑丈で、隙間のない屋敷に建て替えた。
 二日酔いから復活したコーワンさんも大いに活躍し、ミニゴレたちと連携を取って働いてくれた。

 食糧改善に、家屋改善。
 この二つが成し遂げられた村は、間違いなく俺が訪れた時よりも活気に溢れ、みんなの笑顔が増えたように感じられた。
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