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序章
第四話:やっぱり駄女神かいっ!?
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「色々なスキルがありますけど…アキラさんは、どんなスキルが欲しいですか?」
「そうだなぁ…」
いざとなると、なかなか思いつかないもんだな。
「あぁ、こいつは是非とも欲しいんだが…」
「なんですか?」
そう、俺が欲しいものとは…
「人間の身体ッ!」
「ブッブ―!そんなのダメですぅー!!」
ソッコーで、何ならかぶせ気味にダメ出しされた。
「なんでだよ!?」
「だって!アキラさんが人間になっちゃったら、私の管轄じゃなくなっちゃうんですよ?そんなの絶対にダメですッ!!」
なるほど…神さまにも、管轄ってのがあんのか。
「でもなぁ…この身体だと、何かにつけて不便そうなんだよなぁ」
「そんなことないですよ?だって、さっきも器用にタバコを吸ってたじゃないですか」
フィオに言われて、ハタと気づく。
「そう言われてみれば…」
俺は自分の手(犬の手だが)をグッパッと、握ったり開いたりしてみる。
すると…なんということでしょう、まるで人間の手のように、開いたり閉じたりするではありませんか!?(CV:加〇みどり)
「そんな、ビフォーア〇ターみたいな…」
相変わらず、心を読むのな。
「いや、これは便利だな」
「私の身体も、しっかり触ってたじゃないですかぁ」
そういやそうだった。
「これなら、まぁ、いっか?」
「ですですぅ」
後々不便が出てくるかもしれんが、そん時はそん時で考えるか。
「じゃあ、改めて何か欲しいものないですか?あ、スキルですからね?」
そうか、スキルの話をしてたんだっけ?
「うーん、スキルなぁ…」
何処までがスキルってやつの範疇になるんだろう?
ん?
そうだ!
「健康な肉体が欲しいぞ!」
「…ジジむさいですねぇ」
フィオは呆れるが、これは結構な問題なんだよ。
なんせ、前世では病院生活が長かったからな。
健康は大事なんだ。
「そうですよねぇ。アキラさん、闘病生活で苦しんでましたもの…」
ウンウンとしきりにうなずくフィオだが、
「わかりました!任せてくださいッ!!」
と、いきなり立ち上がると、突然呪文のような言葉を唱え始めた。
いっそ音とでも言うべきか?
『キュルキュル』という、かなり耳障りな高速音と共に、フィオの周りで光る魔法陣のようなものが展開されていく。
「おぉ…」
すげぇ…初めて女神っぽいぞ、フィオ。
「ムッ!?」
俺の座っている床?らしき部分から、俺を中心に淡い光の柱が立ち上がる。
「何だ?」
光の柱に包まれた俺の周辺を、黄色味を帯びた光の欠片が乱舞し始めた。
その数は徐々に増えていき、無数の光が俺の周囲を回りだす。
「あぁ、ラ〇ァ…見える、私にも敵が見えるぞッ!」
『大佐、ワリと邪魔です…』
俺のニュータイプごっこにも付き合ってくれるあたり、フィオは優しいよな。
『…そう思うなら、余計なこと言って集中を乱さないでください』
「すまん」
声を発することなく頭に直接語りかけることや、いつになくまじめな口調のフィオの様子から、あまり余裕はないのだと判断し、俺は作業が終わるまで静かにしようと思った。
周囲を回る光の欠片をよく見てみると、どうやら長方形のお札のような形状をしているようだ。
そしてそれらは、複数の札で編隊を組んでいるようにも見える。
「…どういうんだ?」
もはや俺の周辺は光の渦と化しており、フィオの姿も見当たらなくなっていた。
『大丈夫、ここにいますよ』
俺の背後に、いつの間にかフィオがいた。
しかし、その姿はうっすらと透けて燐光を放っている。
「フィオ?」
『アキラさん、来ますッ!』
「何!?」
正面からお札の三機編隊が、こちらに向けて迫ってきた。
「うぉッ!!」
三枚のお札が、俺の胸に吸い込まれる。
「がはッ!」
一瞬呼吸が止まり、身体に激痛が走る。
『ごめんなさい!耐えてください…』
背中から抱きしめてくれる、フィオのぬくもりが心地よかった。
『スキルの初期化や複数付与となると、この方法しかなかったんです』
どうやら、俺のわがままを色々と叶えるためには、少々ガマンが必要らしいな。
― ピロリン ―
― 【身体強化】 を獲得しました ―
― 【頑健】 を獲得しました ―
― 【健啖家】 を獲得しました ―
― 派生スキル【健康体】 を生成しました
これにより、派生スキル【健康体】 を獲得しました ―
これを何度も繰り返せってんだな。
「…上等だ。やってやらぁ!」
新たなスキルを獲得したせいか、痛みがうっすら退いていく。
『さすが、アキラさんです!頑張りましょうね♪』
そう言うと…
フィオはなぜか、
俺を動けないように、
後ろからガッチリと、
羽交い絞めにしてくる。
「をぃ…」
『どうせ痛い思いをするのなら、短い時間で済ませた方がいいですよね?』
は?何言ってんだ、この駄女神は…
『さぁ、準備はできました。やっちゃいますよぉ』
「ち、ちょっと待てフィオ!三枚でまぁまぁ痛かったぞ?」
あと何枚あるんだ、これ?
『大丈夫です。どこかに混ざってる【苦痛耐性】さえ手に入れれば、そんなに痛くなくなりますから』
いや待て、どこかってどこだ?
「最後の一枚だったら、どうすんだ!?」
『それは…運がなかった、ということで…』
ちょっと待て!女神が運とか言うな!
『ささ、いきましょう!』
視線をフィオから正面に戻すと、お札さんの大群が第七艦隊よろしく待ち構えていた。
「覚えてろよぉ、この駄女神ぃ~」
「そうだなぁ…」
いざとなると、なかなか思いつかないもんだな。
「あぁ、こいつは是非とも欲しいんだが…」
「なんですか?」
そう、俺が欲しいものとは…
「人間の身体ッ!」
「ブッブ―!そんなのダメですぅー!!」
ソッコーで、何ならかぶせ気味にダメ出しされた。
「なんでだよ!?」
「だって!アキラさんが人間になっちゃったら、私の管轄じゃなくなっちゃうんですよ?そんなの絶対にダメですッ!!」
なるほど…神さまにも、管轄ってのがあんのか。
「でもなぁ…この身体だと、何かにつけて不便そうなんだよなぁ」
「そんなことないですよ?だって、さっきも器用にタバコを吸ってたじゃないですか」
フィオに言われて、ハタと気づく。
「そう言われてみれば…」
俺は自分の手(犬の手だが)をグッパッと、握ったり開いたりしてみる。
すると…なんということでしょう、まるで人間の手のように、開いたり閉じたりするではありませんか!?(CV:加〇みどり)
「そんな、ビフォーア〇ターみたいな…」
相変わらず、心を読むのな。
「いや、これは便利だな」
「私の身体も、しっかり触ってたじゃないですかぁ」
そういやそうだった。
「これなら、まぁ、いっか?」
「ですですぅ」
後々不便が出てくるかもしれんが、そん時はそん時で考えるか。
「じゃあ、改めて何か欲しいものないですか?あ、スキルですからね?」
そうか、スキルの話をしてたんだっけ?
「うーん、スキルなぁ…」
何処までがスキルってやつの範疇になるんだろう?
ん?
そうだ!
「健康な肉体が欲しいぞ!」
「…ジジむさいですねぇ」
フィオは呆れるが、これは結構な問題なんだよ。
なんせ、前世では病院生活が長かったからな。
健康は大事なんだ。
「そうですよねぇ。アキラさん、闘病生活で苦しんでましたもの…」
ウンウンとしきりにうなずくフィオだが、
「わかりました!任せてくださいッ!!」
と、いきなり立ち上がると、突然呪文のような言葉を唱え始めた。
いっそ音とでも言うべきか?
『キュルキュル』という、かなり耳障りな高速音と共に、フィオの周りで光る魔法陣のようなものが展開されていく。
「おぉ…」
すげぇ…初めて女神っぽいぞ、フィオ。
「ムッ!?」
俺の座っている床?らしき部分から、俺を中心に淡い光の柱が立ち上がる。
「何だ?」
光の柱に包まれた俺の周辺を、黄色味を帯びた光の欠片が乱舞し始めた。
その数は徐々に増えていき、無数の光が俺の周囲を回りだす。
「あぁ、ラ〇ァ…見える、私にも敵が見えるぞッ!」
『大佐、ワリと邪魔です…』
俺のニュータイプごっこにも付き合ってくれるあたり、フィオは優しいよな。
『…そう思うなら、余計なこと言って集中を乱さないでください』
「すまん」
声を発することなく頭に直接語りかけることや、いつになくまじめな口調のフィオの様子から、あまり余裕はないのだと判断し、俺は作業が終わるまで静かにしようと思った。
周囲を回る光の欠片をよく見てみると、どうやら長方形のお札のような形状をしているようだ。
そしてそれらは、複数の札で編隊を組んでいるようにも見える。
「…どういうんだ?」
もはや俺の周辺は光の渦と化しており、フィオの姿も見当たらなくなっていた。
『大丈夫、ここにいますよ』
俺の背後に、いつの間にかフィオがいた。
しかし、その姿はうっすらと透けて燐光を放っている。
「フィオ?」
『アキラさん、来ますッ!』
「何!?」
正面からお札の三機編隊が、こちらに向けて迫ってきた。
「うぉッ!!」
三枚のお札が、俺の胸に吸い込まれる。
「がはッ!」
一瞬呼吸が止まり、身体に激痛が走る。
『ごめんなさい!耐えてください…』
背中から抱きしめてくれる、フィオのぬくもりが心地よかった。
『スキルの初期化や複数付与となると、この方法しかなかったんです』
どうやら、俺のわがままを色々と叶えるためには、少々ガマンが必要らしいな。
― ピロリン ―
― 【身体強化】 を獲得しました ―
― 【頑健】 を獲得しました ―
― 【健啖家】 を獲得しました ―
― 派生スキル【健康体】 を生成しました
これにより、派生スキル【健康体】 を獲得しました ―
これを何度も繰り返せってんだな。
「…上等だ。やってやらぁ!」
新たなスキルを獲得したせいか、痛みがうっすら退いていく。
『さすが、アキラさんです!頑張りましょうね♪』
そう言うと…
フィオはなぜか、
俺を動けないように、
後ろからガッチリと、
羽交い絞めにしてくる。
「をぃ…」
『どうせ痛い思いをするのなら、短い時間で済ませた方がいいですよね?』
は?何言ってんだ、この駄女神は…
『さぁ、準備はできました。やっちゃいますよぉ』
「ち、ちょっと待てフィオ!三枚でまぁまぁ痛かったぞ?」
あと何枚あるんだ、これ?
『大丈夫です。どこかに混ざってる【苦痛耐性】さえ手に入れれば、そんなに痛くなくなりますから』
いや待て、どこかってどこだ?
「最後の一枚だったら、どうすんだ!?」
『それは…運がなかった、ということで…』
ちょっと待て!女神が運とか言うな!
『ささ、いきましょう!』
視線をフィオから正面に戻すと、お札さんの大群が第七艦隊よろしく待ち構えていた。
「覚えてろよぉ、この駄女神ぃ~」
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