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華やかな衣装を身にまとった令嬢と令息が学園全体をきらびやかに回っている。
そう今日は待ちに待った学園祭だ。
学生が作る屋台等はないけど、食堂が解放してあっていつでも食事をとる事ができるようになってある。

俺はエミリと色々なクラスの出し物を見たあと、明日の大会に向けての打ち合わせをする。器用なエミリは魔法と剣を交えて戦う部門にエントリー済みで俺とギルバートとは違う競技に出る予定。
エミリって実は凄いから多分優勝はエミリだろうな。

「あ…リクリエイツ様、西講堂でキースのクラスが魔法の講談をしてるみたいですよ」
「キースが?じゃあ先に西講堂へ行くか…」

パンフレットを見て場所を確認するエミリと一緒に西講堂へ向かう。
西講堂の扉を開けようとした時、中から講談中とは思えない和やかな声が聞こえてくる。

「キース…?何やってんだ?」
「お!リクリエイツ様とエミリ先輩じゃないっすか~!来てくれたんすね~!」

中に入るとその光景の異常性に早々気が付く、こいつら…商品販売してる。

「いや~!学園祭は売り時っすね!あー!これ俺が開発した魔法型万年筆ネオなんすけど…」
「…間に合ってる…俺にはやらなくても良い」
「ほぉ…!私はちょっと気になりますね…」
「まじすか!エミリ先輩!どぞ!!」

ちゃっかり先輩とか呼ばれてるエミリがキースに引っ張られて人の波に消えて行くのを見守って俺はそっと外へ出た、あれは多分…半分悪夢のようなものだ。

「ふ~…アイツらやばいな…幸運を祈るよエミリ…」

「リクリエイツ?」
「ギルバート!今日1人なのか?」
「あぁ…明日の事もあるし、フランシス様は今ミリー令嬢と一緒だ。」
「あ~…やっぱりなぁ~」
「…リクリエイツはフランシス様が好きなのか?」
「んー?いや全く?前は好きだったけど今は全く」

全くの本心を語って西講堂の近くにあるベンチに2人で腰を下ろす。

「リクリエイツ」
「ん~?…んぐ!?」
「こないだのチョコレートのお返しだ」
「…はは!随分粋なことするね」
「ふはっ!…悪いか?」

口に放り込まれた飴玉を下でコロコロ転がして舐めると甘いオレンジの味がした。

「明日さ~ギルバートは作戦とか決めてるの?」
「いや?こういうのはその場でやるのが1番楽しいだろ」
「そういうもん?」
「そういうものだ。」

「ねぇギルバート、1個お願いしていい?」
「なんだ?」
「俺の名前さ、これからリクリエイツじゃなくてリクって呼んで欲しい…」
「リク…?」
「うん!それで…ありがと!」

俺達はそのまま西講堂からエミリが、大量の紙袋下げて出てくるまで明日の大会について話していた。
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