上 下
5 / 14

3

しおりを挟む
「リクリエイツ様、おはようございます」
「…マリー?…おはよぉ…」
「…あの!リクリエイツ様…私こんなに頂けません!!」

朝いつもの時間に俺専属メイドのマリーが起こしてくれる。リクリエイツになって2日目の朝だ。

「…ん~…特別手当なんだからさ、良かったら貰ってよ…聞いたよマリーの弟くんが大変なんでしょ?ごめんね気が付かなくて、光魔法が使えるならいくらでも使うから頼ってよ。」
「リクリエイツ様…!」

マリーの目に涙がうっすら浮かぶ、ほんとに大変なんだろうなぁそこで俺の面倒も見てるわけだから…マリーの弟さんは10歳くらいなんだっけ?

「…そうだ!マリーの弟くんも簡単な仕事で良いから家で働けば良い、そしたら俺も会えるでしょ?そこで治療をしてあげるよ、自分で言うのも変だけど、幸い俺は結構優秀だからね…」
「…そんな…!そこまでしていただくなんて…!!」
「良いんだよマリー、今までのお返しだと思って…ね?」

未だに座っていたベットからストっと立ち上がりマリーの持ってきた水で顔を洗う。
いつもの制服に着替えて、時間があったからそこまで長くないけど髪も結って貰った。

「リクリエイツ様、お食事はどうなさいますか?」
「ん~…軽く貰える?」
「承知しました。」

食堂の席に着いて、寝起きの胃に優しいスープをすすり、パンを食べる。
そういえばこの世界、日本食がない。
流石に音を上げるのが早いけど朝ごはんは米派だった俺的には猛烈に米が食いてぇ…

「こちらバックです。」
「ありがとマリー、執事長には俺から言っておくから、後で弟くんにもよろしくね」
「…はい!ありがとうございます…!」

御者に挨拶をして馬車に乗り込む、ゆらゆら柔らかく揺れて学園に向かう、まじで憂鬱だ、エミリがいるからだいぶ気は楽だけどなんせあの第2王子もいるからなぁ…

「リクリエイツ様~!!」
「…エミリ!」

無事学園に着いた馬車からゆっくり降りると同じタイミングでエミリが学生寮から来た。

「おはよう!朝からエミリにあえて良かったよ」
「こちらこそ!朝からリクリエイツ様の美顔が見れるなど幸福です!!」

そんな満面の笑みで言われると何も言い返せないのがキツイなぁ…本当はツッコミたい…!!

「今日は剣術がメインですね~私剣には自信があるので楽しみです…!」
「エミリは万能だねぇ…俺は非力だからさ…剣だけはいまいちなんだよ…」
「このエミリ!いつでも練習お付き合いしますよ!!」
「そうか?助かるありがと!」

ニコニコと人なっつこい笑顔を見せるエミリはここ1日の付き合いだけど、大型犬タイプなんだろうなぁとは察しがついていた。

「「おはようございます」!!」

2人で教室に入ると各々が朝の挨拶をする、中には俺とエミリの組み合わせにびっくりしている人もいた。

そのままHRと色々して剣術の実技の為制服からいわゆる運動着に着替えて競技場に向かう。

そういえば昨日から第2王子のくそきもい罵りが無くなったな…
前までは会う度色々言われたもんだけど…

「リクリエイツ様…?大丈夫ですか?」
「あ、ごめん考え事してた…俺の番?」
「はい!私がお相手しましょうか?」
「そうだねお願いする!!」

地面から立ち上がり剣を持ち、同じく綺麗に剣を構えるエミリと向き合う。
初め!の合図で勢いよく飛び出し剣を交える、ギン!ガン!と剣と剣の打撃音が響く、俺はだいぶ疲れてきたのにエミリは顔色変えずに剣を振っている。

「…降参~!」

先に白旗を振ったのは俺だ、エミリ強すぎる…。

「…俺もまだまだだなぁ…エミリ強い…」
「私も、もう少し鍛錬しなければ!」

エミリ~!!どこをどう鍛えるんだ~!!

「…負けました」
「…ふはは!私の勝ちだなギルバート」

フランシス様の方の勝敗も着いたみたいだ、おいおいバカ第2王子…ギルバートさん汗ひとつ流してねぇじゃん…手加減って言葉しらねぇなさては…

「あの人は成長しないだろうね…」
「…恐れながら私もそう思います…」

呆れたため息が2つ本人に聞こえない大きさで競技場に響いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

優しい庭師の見る夢は

エウラ
BL
植物好きの青年が不治の病を得て若くして亡くなり、気付けば異世界に転生していた。 かつて管理者が住んでいた森の奥の小さなロッジで15歳くらいの体で目覚めた樹希(いつき)は、前世の知識と森の精霊達の協力で森の木々や花の世話をしながら一人暮らしを満喫していくのだが・・・。 ※主人公総受けではありません。 精霊達は単なる家族・友人・保護者的な位置づけです。お互いがそういう認識です。 基本的にほのぼのした話になると思います。 息抜きです。不定期更新。 ※タグには入れてませんが、女性もいます。 魔法や魔法薬で同性同士でも子供が出来るというふんわり設定。 ※10万字いっても終わらないので、一応、長編に切り替えます。 お付き合い下さいませ。

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。 生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。 それでも唯々諾々と家のために従った。 そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。 父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。 ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。 僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。 不定期更新です。 以前少し投稿したものを設定変更しました。 ジャンルを恋愛からBLに変更しました。 また後で変更とかあるかも。

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです

魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。 ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。 そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。 このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。 前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。 ※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)

【完結】三度目の正直ってあると思う?

エウラ
BL
俺には今の俺になる前の記憶が二つある。 どういう訳かその二つとも18歳で死んでる。そして死に方もほぼ同じ。 もう俺、呪われてんじゃね? ---という、過去世の悲惨な記憶のせいで引きこもりがちな主人公の話。 三度目は長生き出来るのか? 過去の記憶のせいで人生を諦めている主人公が溺愛される話です。 1話1話が長いですが、3話で終わる予定です。 R18には*がつきます。 3話の予定でしたが番外編的な1話を足しました。これで完結です。

マリオネットが、糸を断つ時。

せんぷう
BL
 異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。  オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。  第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。  そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。 『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』  金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。 『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!  許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』  そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。  王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。 『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』 『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』 『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』  しかし、オレは彼に拾われた。  どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。  気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!  しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?  スラム出身、第十一王子の守護魔導師。  これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。 ※BL作品 恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。 .

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

処理中です...