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《sideエルドレッド》





ユウマ…ユウマは私に何を隠している?

どこをどう直せば貴方は私の愛を受け止めてくれる…??

教えてください…ユウマ…

光のオーラを纏う…巡り人…

私の天使…ゆうま…

優馬…



…………
……





『聞いてエリー…私明日から第3王子付きになったのよ…』

『何よそれ!よりによってセフが…なんかに…』

『…う…うぅ…』

『あぁ可哀想なセフ…!』





全く…全部僕には聞こえてるのに…


忌み子。

それが僕の隠語であり通り名。

全くもって不名誉で…第3王子である僕には不敬過ぎる発言。


「…それすらも許されるのが…ね。」

父上…現王が唯一心から愛した男…呪われ公爵の子供であり、その血を多く受け継いだ闇の子。

見た目こそそっくりでも現王の力のみを受け継いだ兄様とは違う、呪われた血を多く受け継いだ末息子。

以上がエルドレッド・ロマームを語る上での全てだった。







「巡り人…ですか?」

「あぁ、そうだ。文献に載っているだろう?異世界より来たりし漆黒の天子。」

「…本当に…その様な人々は居るのですね…」
「私も同意だよ。」



僕が10になる時に現れた巡り人。

まさに僕とは正反対の恵まれた…神の力をも持つ神使。

「エルドレッドと歳の近い子も居るらしい、しっかり挨拶するんだぞ。」

「はい、兄様。」


2人の兄は嫌いじゃない、むしろ好きだ。

メイド達と違って僕にあからさまな嫌悪や悪意を見せない。

……それどころか…言葉で…態度で僕を愛してくれている。



でも…それすらも僕にとっては重荷になった。


……いっその事盛大に嫌われたかったと思う日も少なくなかった位。





「__エルドレッド・ロマームです。」


グダグダ考えていても巡り人が謁見をする日はやって来る。

目の前に堂々と立つ大きい男は、文献で見た巡り人そのものだった。

「__俺はたすく、こっちが姉のなぎさで、弟のゆうま。」

王である父に…ましてや父の出すオーラに屈しず、真っ直ぐ僕らを見て、砕けた態度で挨拶をして見せた。

そしてその男の隣に立つ女は、肖像画で見た過去の巡り人と同じくらい…いやそれ以上に美しく、それでいて気高い心を持っていた。

…男の弟…はどこに居るんだ…?僕の位置からでは見えない。

「…ヒ…フッ…ア……ハッ…」

……??

この小さい男が…弟…なのか…?
体調が悪いのならば言えば良かったのに…巡り人なのだから幾らでも融通はきく。

…いや…違う…怯えているんだ…王のオーラに…。

…大丈夫なのか…?

「……ぁ…あぅ……」



…!光のオーラ…??!



巡り人には…光のオーラを纏える者が居たのか…!?

…凄い…巡り人は…凄い…僕と違って…土台が違う…


「___ユウマよ、君にはエルドレッドも通う貴族学校へ編入して貰いたい。」


……やはり、そうなるのですね。

僕は巡り人と王族の橋渡しに任命された訳ですか。

ならば…近く浅く…程よく接していかなければ。









「エルドレッド!何してんだ?」


「エルドレッド!そんな所に居ないで俺と来いよ!」


「エルドレッドさ~…その本面白い?」


…あーもう…騒がしい…僕の周りをチョロチョロと…!!


僕は兄様とは違う…血も…能力も…才能も…権力も…!!


何故!何故何故何故!!どうして貴方は僕の隣を歩く!どうしてそんな笑顔を見せる!!

どうして…どうして…僕は今、胸が熱い…?






『何馬鹿みてぇな事いってんだよ、誰も第1王子と第2王子の話して無いだろ。いーか?よーっく聞けよ?俺はお前のまま…エルドレッドのままのエルドレッドが好きだぜ!』



……兄様よりも…僕を?



………第3王子じゃなく…エルドレッドを…?



「あーほら泣くなよ…!気持ちは分かるぜ?ほら、あれだろ?…嫉妬、俺もよくなんでも上手くこなせる兄ちゃんが羨ましくてさ……」


僕は…兄様に嫉妬をしていたのか…?


「兄ちゃんは人気者でさ…?いっつも比べられて…正直弟の気分は良くないよな~」


……


「そんな時は姉ちゃんとか…父ちゃんとか………兄ちゃんも、俺を褒めてくれて…撫でてくれて…」


……兄様…父様…


「…エルドレッドも…そうなんだろ?」

「……そ…うかも…知れません…。」


『…泣きたくなったら俺ん所来いよ!兄ちゃんが可愛い可愛いエルドレッドをよしよししてやる!』

「…ぅわ…!」


朝侍女に…整えられた髪をぐしゃぐしゃにさてれも…やめてくださいなんて言えなくて。



ただ必死に、溢れる涙と喉から込み上げてくる嗚咽と抑えるために…




僕は幼い天使にしがみついた。










……
………
…………




あの日から…僕の闇は暴走しなくなって、淡い恋心を貴方に抱きました。


…今も昔も…ずっと…ずぅーっと…


…僕は優馬という天使が大好きです。


だから…貴方を闇から解放する役目を、どうか僕にください。


昔貴方がしてくれた様に。
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