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水辺の子供
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「…ぁ…ぅ」
声が出ない…人間界では声帯を使うらしいが…これはなかなか難しいな…
人間界は精霊界とあまり違いは無いが…
ここが水の精霊達が住む森か…いや箱庭と言った方がいいのか?教会と…湖…果実のなった木、動物。
生きている物を肌で感じるのは『良い』な…
『あるじ~~~!!』
俺の胸元目掛けて飛んでくるのは水の低級精霊、主とは俺の事だろうか。
番人ではあるが…主は水の精霊王様なのでは無いか?
『水の精霊、ここでの仕事を教えてくれるのはお前か?』
『え~?そうよ~』
幼い…俺の半分も無い背丈の青い水の精霊
ふにゃふにゃしてて掴み所が無いのも低級精霊ならではだ、低級精霊はランクが上がると赤子くらいにならなれる為、この水の精霊は低級の中では上位の精霊だ。
『名がないのは不便だな、付けてやるか』
『え~?おなまえ~!』
『そうだお前の名だ。』
キャキャ!とコイツは『喜んで』いるが、俺は名をつけた事が無い。
『…お前はよく笑うな……笑み…エミはどうだ?』
『!!エミ!!えみはねぇエミ!!』
どうやら成功したらしい、『安心』した。
『それでだが、俺は何をすれば良いんだ?』
『あるじはねぇ?あるじのすきなことすればいいのよぉ~!』
『好きな事…?』
『そうよ~!きょうかいに~にんげんくるからぁ~おねがいかなえたり~すきなこと~!』
半分程何言っているのか分からないが、精霊界にいた頃とあまり違いがないと思って良いのだろうか…。
『あるじとねぇエミのおうちこっち~!』
『エミ…!待ってくれ…!』
お家…があったのか…前の精霊が使ってたものだろうか、煙突がある木の家だ。
3人までなら余裕で暮らせる家だ…生活感もあるにはあるが…
『…エミが手入れしてたのか…?』
『えへへっ!!』
『そうか…』
エミは俺が来るまでここを守っていた…これは『偉い事』をしたのだ、こういう時に他の精霊は頭を撫でられていた。
思い切って頭を撫でてみたが、エミは『喜んで』いるから大丈夫そうだ。
『エミは水の精霊だろ?ここには他にどの精霊がいるんだ?』
『エミがみたことあるこはねぇ?おはなと~こおりと~…ひ!』
『火?火の精霊は火の森があるだろう?迷ったのか…?』
『ちがうよぉ~あそびにきたんだって~!』
俺が守り人をするここは水の精霊王様の保護下である水の森で、人間界の西に当たる場所にある。
他に、四大精霊王、火の精霊王様の加護下である火の森が南。
風の精霊王様の加護下の風の森が東、地の精霊王様の加護下の地の森が北にある。
人間達はそんな精霊達に東西南北を任せて暮らしているのだ。
四大精霊王は水火風地しか居ないが、精霊は他にも沢山の種類がいる。
花の精霊や雷の精霊、光の精霊やそれに対する闇の精霊など上げればキリがない。
そして俺にも一応水の属性がある。
『あるじ~…?』
エミの青い髪と青い目が俺の前に現れた。
エミは…水に愛されているな。
『考え事をしていたんだ、教会に案内してくれるか?』
『!うん!!!』
教会は森の初めの方にある。もともと、森の奥に人間は入れない、人間が入れるのは守り人が貼った結界外だ、森の中の精霊は見える、捕まって売り払われるのはなるべく避けたいと考えた末人間には入れないよう結界の外に教会を置くことにしたのだ。
『あるじ~!ここよ~!!』
『あぁありがとうエミ』
撫でろとばかりに差し出された頭を撫でながら教会に入る。
精霊界と連動しているため精霊界の水教会と同じ形内装だ。
これならば俺にもできることがある。
ステンドグラスに映る美しい女性は水の精霊王、ウンディーネ様だ。
母はウンディーネ様を慕っていた。
水の精なのも理由の一つだろうが、母は助けて貰ったのだと言っていたから他の理由もあるのだろう。
『エミ…ピアノがあるぞ…これは…?』
ピアノは精霊界に無かった。
こちらの人間の趣味…?だろうか。
『まえのあるじひいてたのよ~!』
『そうなのか…』
母もよく、ピアノを弾いていた気がする、母はもともと精霊らしくなかったのだ、人間が行う刺繍や楽器に興味関心を寄せていた。
…ポーン
ピアノの鍵盤を軽く押してみると柔らかく音が鳴った。
母が弾いていた曲をいくつか思い出した俺は椅子をひいて腰を下ろし、静かになった教会で思い出せる限り音を奏でた。
水の精は音にも強い。これくらいなら弾けるのだ。
『あるじ~!!すごいねぇ!!まえのあるじもそれひいてたのよぉ~?』
以前の守り人も音楽趣味だったんだろうな、今更音に触れたけど、なかなか『楽しかった』かもしれない。
声が出ない…人間界では声帯を使うらしいが…これはなかなか難しいな…
人間界は精霊界とあまり違いは無いが…
ここが水の精霊達が住む森か…いや箱庭と言った方がいいのか?教会と…湖…果実のなった木、動物。
生きている物を肌で感じるのは『良い』な…
『あるじ~~~!!』
俺の胸元目掛けて飛んでくるのは水の低級精霊、主とは俺の事だろうか。
番人ではあるが…主は水の精霊王様なのでは無いか?
『水の精霊、ここでの仕事を教えてくれるのはお前か?』
『え~?そうよ~』
幼い…俺の半分も無い背丈の青い水の精霊
ふにゃふにゃしてて掴み所が無いのも低級精霊ならではだ、低級精霊はランクが上がると赤子くらいにならなれる為、この水の精霊は低級の中では上位の精霊だ。
『名がないのは不便だな、付けてやるか』
『え~?おなまえ~!』
『そうだお前の名だ。』
キャキャ!とコイツは『喜んで』いるが、俺は名をつけた事が無い。
『…お前はよく笑うな……笑み…エミはどうだ?』
『!!エミ!!えみはねぇエミ!!』
どうやら成功したらしい、『安心』した。
『それでだが、俺は何をすれば良いんだ?』
『あるじはねぇ?あるじのすきなことすればいいのよぉ~!』
『好きな事…?』
『そうよ~!きょうかいに~にんげんくるからぁ~おねがいかなえたり~すきなこと~!』
半分程何言っているのか分からないが、精霊界にいた頃とあまり違いがないと思って良いのだろうか…。
『あるじとねぇエミのおうちこっち~!』
『エミ…!待ってくれ…!』
お家…があったのか…前の精霊が使ってたものだろうか、煙突がある木の家だ。
3人までなら余裕で暮らせる家だ…生活感もあるにはあるが…
『…エミが手入れしてたのか…?』
『えへへっ!!』
『そうか…』
エミは俺が来るまでここを守っていた…これは『偉い事』をしたのだ、こういう時に他の精霊は頭を撫でられていた。
思い切って頭を撫でてみたが、エミは『喜んで』いるから大丈夫そうだ。
『エミは水の精霊だろ?ここには他にどの精霊がいるんだ?』
『エミがみたことあるこはねぇ?おはなと~こおりと~…ひ!』
『火?火の精霊は火の森があるだろう?迷ったのか…?』
『ちがうよぉ~あそびにきたんだって~!』
俺が守り人をするここは水の精霊王様の保護下である水の森で、人間界の西に当たる場所にある。
他に、四大精霊王、火の精霊王様の加護下である火の森が南。
風の精霊王様の加護下の風の森が東、地の精霊王様の加護下の地の森が北にある。
人間達はそんな精霊達に東西南北を任せて暮らしているのだ。
四大精霊王は水火風地しか居ないが、精霊は他にも沢山の種類がいる。
花の精霊や雷の精霊、光の精霊やそれに対する闇の精霊など上げればキリがない。
そして俺にも一応水の属性がある。
『あるじ~…?』
エミの青い髪と青い目が俺の前に現れた。
エミは…水に愛されているな。
『考え事をしていたんだ、教会に案内してくれるか?』
『!うん!!!』
教会は森の初めの方にある。もともと、森の奥に人間は入れない、人間が入れるのは守り人が貼った結界外だ、森の中の精霊は見える、捕まって売り払われるのはなるべく避けたいと考えた末人間には入れないよう結界の外に教会を置くことにしたのだ。
『あるじ~!ここよ~!!』
『あぁありがとうエミ』
撫でろとばかりに差し出された頭を撫でながら教会に入る。
精霊界と連動しているため精霊界の水教会と同じ形内装だ。
これならば俺にもできることがある。
ステンドグラスに映る美しい女性は水の精霊王、ウンディーネ様だ。
母はウンディーネ様を慕っていた。
水の精なのも理由の一つだろうが、母は助けて貰ったのだと言っていたから他の理由もあるのだろう。
『エミ…ピアノがあるぞ…これは…?』
ピアノは精霊界に無かった。
こちらの人間の趣味…?だろうか。
『まえのあるじひいてたのよ~!』
『そうなのか…』
母もよく、ピアノを弾いていた気がする、母はもともと精霊らしくなかったのだ、人間が行う刺繍や楽器に興味関心を寄せていた。
…ポーン
ピアノの鍵盤を軽く押してみると柔らかく音が鳴った。
母が弾いていた曲をいくつか思い出した俺は椅子をひいて腰を下ろし、静かになった教会で思い出せる限り音を奏でた。
水の精は音にも強い。これくらいなら弾けるのだ。
『あるじ~!!すごいねぇ!!まえのあるじもそれひいてたのよぉ~?』
以前の守り人も音楽趣味だったんだろうな、今更音に触れたけど、なかなか『楽しかった』かもしれない。
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