上 下
17 / 23

15

しおりを挟む
ロラーナからスペジまでは俺の足で片道2週間。
それが3人だとどうなるかは分からないけど、ルーカス一行がロラーナを出てから早2ヶ月。
そろそろ内部侵攻も進んできた頃だろうか、結果的にどういう作戦で、どう攻略していくかは俺は聞いてなかったけど、今になって後悔しても遅い…

聞いときゃルーカスがいつ帰ってくるかもあらかた分かるだろ?

「はぁぁ…」

もう認めるよ…俺、ルーカスが好きだ。
男とか女とか人間とか獣人とか関係なくルーカスが好き。
でもなんて言うか…恋をすると乙女思考つーの?なんか女々しくなるからちょっと嫌だ…。

ルーカスの奴も全然帰る気配はねぇしさ?

「…秒で帰るって言ったのによぉ…?」

って、乙女な俺がまた出てきた…きもいきもい…男子高生の乙女姿とか誰も見たくねぇだろ…。

「はぁヤダヤダ…外行こ…」

気晴らしは大事だ、ルーカスに会う前も依頼をこなすので忙しかったからなかなか街をゆっくり見て回ることはしなかった。
前来たパン屋の当たりをぐるっと回ってみる、屋台も充実してて改めて異世界って感じ。

「おっちゃん!串焼き1本くれ」
「お~えらいべっぴんさんだなァ?…オマケしてやるよ、鉄貨2枚な!」
「べっぴんではないと思うけど…まぁさんきゅ!」

200円で串焼き2本はめちゃくちゃお得だな…しかもでけぇ…俺一人でおなかいっぱいになるやつだ…

街の人が多く集まるこの場所は情報の入り乱れる場所でもある。

「スペジで王交代だとよ…」
「は?それほんとかよ…まぁ良かったんじゃねぇか?国が混乱するんだ、それ程やばい王だったんだろ?」

スペジの話…どうやらルーカス達は上手くやれているみたいだ…

「第1王子が王座を受けて、ここの姫様を貰うんだとよ、あれだよあの可愛らしい…」
「あぁ…花の精霊様なぁ…あぁ羨ましいぜ…」

…第1王子が王様になって、可愛い姫を貰う…?

第1王子ってルーカスか…?
そんな…嘘だろ…アイツが?俺の事大好きなアイツが??
散々運命だのなんだの言ってたアイツがか?

じゃあ…ルーカスはもう帰ってこないのか…?

「…はは…ガチかよ…」

そっからはもー覚えてない…歩いて宿行って寝た。
1日経ったら隣にルーカスがいるかもなんて思って寝てみても隣には誰も居なかったし、俺は人生で初めて恋をしたのに、すぐ、呆気なく終わった初恋をじゃあ次の恋見つけようか~なんてスルーできる人間じゃなかった。

「また…旅でもしようかな…」

次は絶対ルーカスに出会わない南の方に。
何も持たずに外へ出る。
夕暮れが眩しくて、目が熱い…俺泣いてるんだ…

「ほんと…乙女かよ…」

乾いた笑いしか出ないけど、ふらっと歩いて見ると伊達に冒険者やってるだけはあって割と足は動く。

「……ユウト!!!!!」
「…ルーカス……?」

今1番会いたくない奴に会ってしまった。
いや、逆かも、会いたすぎて出てきた幻覚?

「ユウト…泣いてるのか…?…宿に荷物はあるけどユウトはいないし…なぜこんな所に…しかもそんな薄着で…」

今はいわゆる冬だ、雪が降らないだけで割と寒かったりする。あぁ今は寒かったのか…ルーカスが居ないとそれすら分からないんだなぁ…俺…

「ルーカス…」
「ユウト…?」

俺からルーカスを抱きしめるのは初めてだ、腕を回しても背中が広いからルーカスが俺にやってたようにはできない…

「俺…もう遅い?お前…俺の事もう好きじゃない…?」
「…何を言って…」

やっぱりもう遅いんだ…ルーカスはもう…可愛い姫の方が…

「俺…女の子じゃないし、体…柔らかくもないし…可愛くもない…けど…俺…おれさ…お前が好き。好きだよルーカス。」
「ユウト…!」
「お前がもう俺の事好きじゃなくても…俺がお前を思う事は許して欲しい…」
「待ってくれ…話が読めない…俺はユウトを愛してると言っただろう?」

まだ俺のことが好きなの…?じゃあなんだよ…俺は浮気相手か…?

「だって…お前結婚するんだろ…?」
「誰と誰がだ…?」
「第1王子と姫様が…」
「…ユウト…第1王子は俺じゃない…俺は前王の第1王子出会って、現王の第1王子ではない…」

え、じゃあ…第1王子って…

「俺の従兄弟、セザリオだ。」
「じゃあ…ルーカスは…俺の事ずっと好きなのか…?」
「…生涯ユウトだけだと言っただろう?ユウトが嫌がっても離さないと…」
「な…なんだよ…俺てっきり…」

「…ユウト…君を誰よりも幸せにすると誓う…俺と結婚してくれ。」
「……んなもんイエスに決まってんだろ…バカルーカス…」

その日俺らは初めてのキスをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった

無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。 そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。 チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

処理中です...