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その後2日位は店を見て回ったり、日用品買い足したりしてのんびり過ごしてたが、3日目には気が付いてしまった王都の闇に俺はちょっとだけ嫌気がさしていた。

「おら、働け!」
「…っ!」

ドカドカと殴る蹴るで命令をする主人とその奴隷…。
中には奴隷をある程度大切にしている主人も見かけたが大半はこんな人だ…。
スペジでは奴隷商売が当たり前だとは聞いていたけどこれはほんとに酷すぎる…。

「このっ!ゴミ!!アンタのせいで大事な商談失敗したじゃない!!」
「…」

裏路地で行われている説教が表の通りまで響いている。
俺的にはめちゃくちゃに腹が立つ…。
だってこの女主人の説教、だいたい聞いてたけど半分八つ当たりだろ…

「何とか言ったらどうなの!?!!?」

うるさいなぁ!!もう!!
裏路地に入って見ると、興奮した様子の女主人と地面に座り込むボロボロの人間に近い方の獣人
奴隷は人間に近い方の獣人が多い気がする…。なんでだ…?

「誰よアンタ!取り込み中よ!見て分からない?!」
「いや、表までアンタの声が響いてんだよ、それにそこの獣人に八つ当たりするのはやめろ見てて痛々しいぞ。」
「はぁ?!誰に対して口聞いてんのよ!こいつは私の所有物なんだから私が何したって良いでしょう!?」

いや…それはないだろ…お互い心があんだぞ…?奴隷だったって情ってもんはないのか…

「…分かった…俺がそいつを買う、いくらだ?」
「な…何言って…」
「商談で損した額は200金貨だったな?それに倍して400金貨でどうだ?」
「…800!800でどうよ?!」
「じゃあそれで良い。さっさとそこの獣人をよこせ。」
「金が先よ…!」

コイツ~…!!舐め腐ってるだろ…!!
はァァ…っと深いため息を吐きながらギルドカードから女主人のギルドカードへ800金貨を渡す。ギルドカードめちゃくちゃ便利過ぎる。

「ほら…早くよこせ」
「…貴方何者よ…」
「アンタに言う筋合いはねぇよ。」
「…」

女主人が奴隷を残して去っていくと俺と奴隷の2人だけになる。
あぁぁぁ…どーしよう…奴隷買っちゃったよ…!1度買ったら最後までってのあったよな…?ってこれじゃペットじゃねぇか…!落ち着け俺!!

ふと奴隷に顔を向けると、奴隷は目が飛び出るくらい俺を凝視していた。
ここに居てもしゃーないので俺の被ってたマントを奴隷にかけて泊まってた宿へ向かう。

宿に付いてから奴隷にアレコレ聞いてみようと思ってたけど、何聞こうか迷った俺はとりあえず名前を聞くことにした。

「お前、名前は?」
「…ルーカス」

宿に付いて座らせてからもルーカスは俺をめっちゃ見てくる、もう怖いくらいだ…
ルーカスは有り得んくらい見た目が良かった、身長は2m近くあるし、髪は銀で目は青い。まるで…なんだ?あ、狼だ。耳も犬っぽいし…。

「歳は?」
「恐らく…18」
「18でその身長?!すげぇな!ルーカスは何獣人なんだ?」
「狼」
「あー!やっぱりか…!そんな感じした!」

狼獣人のルーカスくん18歳、ちなみにめちゃくちゃに声が良い。
王子様ボイス?っての?
まぁ分からんがそんな感じの声してる。
汚いまんまは嫌だからぱぱっと浄化魔法かけるとまたルーカスは目を見開いていた。

「浄化魔法…」
「そんな珍しいか?っかその手に着いてんのなんだ…?」

ルーカスの手には禍々しい腕輪のようなものが付いてた。

「魔力を封印する腕輪です」
「は?なんだそれ…おい見せてみろって…」

俺がちょっと強引にルーカスの手を引っ張って腕輪に触れる、取れないかと俺の魔力を送ってみると割と簡単にバコッと外れた。

「おお…外れた…」
「…貴方は…」
「あ…自己紹介忘れてたな!俺はユウト!一応奴隷って事になってるけど、俺はそれを望んでない、だから敬語も要らないし呼び捨てでいいからな?一応俺の方が歳下だし…?」
「ユウト…」
「?…どーした?」

ガバっとルーカスが俺を抱きしめてくる、この世界に来て抱きしめられたのは初めてだぜ…しかもイケメンの男相手…嬉しいような恥ずかしいような…
そんなにあの女主人の所から抜け出せて嬉しかったんだろうな…
なんとも言えない気持ちになりながらとりあえずハグし返した俺だった。
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