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馬車に乗って、家からお城まで行く。
物珍しいやつとか、色々面白い物を見てたかったんだけど、家が出来た場所は、かなりお城から近かったみたいで割とあっさり着いた。

「おぉ…でかい……」

目の前に広がるのは、おっきい城と沢山の人人人…ねぇさんが泡吹いて倒れそう…

…?

ゆうまから不意に繋がれた手をじっと見てみる。手汗すごいな…緊張してるのか…ゆうまが……珍しい…

「兄ちゃん…」
「大丈夫大丈夫、悪い様にはならないよ」
「…兄ちゃんってたまにカッコイイよね…ムカつく。」
「なんだ~?反抗期かー?」

2人でケラケラ笑っていると、馬車の扉がゆっくり開いた。

「ようこそいらっしゃいました。お手をどうぞレディ。」

金髪碧眼…背も高くてスラっとしてる…
わぁお…めちゃくちゃ絵に描いたような王子様…でも…

「私にエスコートは不要よ。」

その態度だと…ねぇさんのプライドが傷ついちゃうよ…

「そうですか、それは失礼を。どうぞこちらへ。」

お…やるなぁこの王子様…一見か弱いねぇさんにそう言われたら言葉につまる人が多いのに…

「だんちょーさん来ないの?」
「なんだ、タスクは俺にいて欲しいのか?」
「うん、知ってる人いないし…」
「残念、俺は待機だ、またな。」

馬車に乗ってる最中、馬で隣を並走していただんちょーさんとは、ここでお別れらしい。頭を2回ポンポンとされた。

「またね」

この世界でちゃんと知り合いな人はだんちょーさんしか居ないから、ちょっと心もとないけど、呼ばれたんだ、王様に会わなくちゃね。

「ゆうま…大丈夫?」
「うん。」

お城の中をゆっくりゆっくり歩いていく、赤い絨毯とか、めちゃくちゃよね。俺そういうのすきだよ。

「ねぇ王子様、名前聞いても良いですか?」
「あぁ…僕とした事が…名乗るのを忘れていた。」

先頭を歩いていた王子様がピタっと立ち止まりクルっとこっちを見て礼をする。

「僕はロマーム国第1王子のフェルディナンド・ロマーム。以後お見知りおきを。」
「丁寧にどうも、俺はたすくで、姉がなぎさ、弟のゆうま、よろしくお願いします。」

姉が拗ねてる今、俺が先陣切っていかないと中々話が進まない、これも1種の助け合いだよね。

「ここから先が王の間だ。」

第1王子ふぇるでぃ…の合図で大きい扉がゆっくりと開く。王様の城…基本的にゆっくりだな…

「よく来たな巡り人。3人も居るとは…これはこれは嬉しいな。」

おー!!王様だー!!RPGとかで見た…まんまだ…でも…なんというか…第1王子の面影はある…気がする…

「私がこの国の王、オズボーン・ロマームだ。」

おずぼーん…おずぼん…ふふ…

「お前らも挨拶を」

「はい。」

王様が座る椅子の隣に待機していた青年と少年が一言いうと、前に出てくる。

「私、ロマーム国第2王子のジェフ・ロマームと申します。」
「同じくロマーム国第3王子のエルドレッド・ロマームです。」

じぇふ…は俺と同じくらいか…金髪赤目…おぉ良いじゃん…日本だとモテそう…
えるどれっと?…は多分ゆうまより小さい…10位かな…可愛いね

「俺はたすく、姉がなぎさ、弟がゆうま、よろしくお願いします」

さっきの短縮版をサラッというと、王様が爆笑しながら。

「面白いやつだなぁ!!」

と言ってきた。
あなたの方が多分面白いと思うよ。

一通り笑い終わった王様がゴホンと息を整えて、俺でもねぇさんでもなくゆうまに向き合った。

「さてユウマと言ったか?君はいくつになったんだ?」
「…今年で13です」

ほう…と一瞬考えた王様が口にしたのは思いもよらない事だった。

「ユウマには王都の貴族学校に通ってもらおう。」
「貴族学校…?ゆうちゃ…優馬がですか?」
「安心しろ、貴族学校とは名ばかりで平民も多く在籍している。」
「ですが急に!」
「ねぇさん、ゆうまの意見第一だよ。」
「…たっちゃん…」

ゆうまにも選択権はある、王様もウンウン頷いてるし…
…でもそっか…こっちの世界にも学校位あるもんね。

「俺は…学校に行きたいです。」
「そうかそうか、ならばこちらで手配をしよう。」
「ありがとうございます。」

ゆうまは立派だ、俺とねぇさんが思ってる5倍はね。

「ナギサと言ったな、そなたはどうする?」
「どうする…とは?」
「ナギサにも道は沢山ある、そうだな…ジェフはまだ婚約者が居らぬ。他の貴族もそなたを欲しがろう。」

そうだねぇ…弟フィルター外してもねぇさんは美人だし、でもねぇさんが素直に嫁ぐかな…

「婚約…ねぇ…まぁ良いわ、私ジェフ様の婚約者になります。」
「ねぇさん…?」「姉ちゃん!?」

嘘じゃん…こんなにあっさり…あのねぇさんが…

「はっはっは!良かったなぁジェフ?」
「…光栄です。」

ジェフくん…本当にいいの?この女の人で…まぁいいひとだけど…

「所でタスク、そなたも嫁ぎ先を決めなくてはな。」
「嫁ぎ先…?俺が…?」
「兄ちゃんが嫁!?」「たっちゃんが!?」

びっくり顔の姉弟をよそに、王様が何を言ってるんだと言わんばかりにこちらの様子を伺う。

「俺がお嫁さんになれるの…?」
「…なれるぞ?」

なれるんだ…普通に…

「じゃあなる。」

「「え!?」」

ごめんね2人とも…俺普通に男の人が好きだから。お嫁さんになるわ…。





==============

フェルディナンド・ロマーム (24)

身長183cm
金髪碧眼の王子さま、なんでもこなすスーパマンで、1番以外とった事がない。
裏がありそうで無さそうである。実はネガティブで身内の間では弱音を吐く。
平民の中での通り名は『ボス』
弟が好き。

オズボーン・ロマーム  (57)

身長179cm
金髪碧眼の王様、元々第3王子だったが産まれ持った天性の才能で王になった。
その反面現役の頃は無類の男好きとして知られていた。

ジェフ・ロマーム  (16)

身長177cm
金髪赤目、フェルディナンドとは母親が違う。現在王都にある騎士学校へと通っていて将来は第1王子の補佐になるべく勉強中。

エルドレッド・ロマーム (11)

身長145cm
金髪赤目、ジェフと同じ母親で、兄達をめちゃくちゃ尊敬している。
魔法の才能もあり、将来は魔法関係の職を目指し勉強中。
兄ジェフと同じ学校へかよっている。
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