【完】俺の嫁はどうも悪役令息にしては優し過ぎる。

オマケ

ヒロインの行方

《sideキャロル》




おかしい…おかしいおかしい…！！やっぱりおかしいよね…！？
こんな筈じゃなかった…ニックのルートを攻略する為にいらない他3人も手を付けたのに！！

なんで悪役令息なんかに…あんな顔…！！
ゲームでも見なかったあんな顔！！

「じゃあ俺行くから、まじ…もう顔も見たくねぇ…」
「まっ…！！」

悪役令息を抱えて…貴重な転移魔法まで使っちゃうとか…
本当なら僕がそこに居るはずだったのに…なんで…なんでこうなったの…？

「キャロル…」
「……僕もう帰る…」
「キャロル待ってくれ！送る…」
「いいってば…放っておいて…！！」

僕の何がいけなかったんだろう…ちゃんとゲーム通り動いて…セリフも合わせて…頑張ったのに…

特にニックは…追加キャラだったから。



僕の初恋…大好きな…大好きな闇の王子様

暗くて…ひねくれた僕を優しく包んでくれる…情に優しい黒薔薇の騎士…

……この世界に来てニックに会えた時の感動は計り知れない…大好きなニックが同じ空間にいるんだもの。

ニックが行きそうな場所も、好きな物も…身長も、足のサイズまでも僕は知ってる…
ニックに恋する僕の心が全部おぼえてる…

「なんで…なんでなんでなんで！」

なんで選ばれたのは僕じゃないの…なんで…なんで僕が彼の体温を感じれないの…？なんで…なんでよりによって悪役令息なの……！！

「おかしいよね…？バグ…？リセットボタンは？？？！」

なんで…なんで無いの！！

僕は…僕はニックを！ニックを攻略したかっただけなのに！！

………悪役令息セシルのせいだ…全部！全部！！アイツの！！アイツが悪い！！

「キャロル！！！」

「……僕…僕……うっ…」
「キャロル…」
「…お兄ちゃん…僕…僕なに…なんてことを…！！」
「落ち着けキャロル…俺の部屋に行こう。」

ここは僕部屋…僕の部屋のはず…じゃあなんで…なんで血だらけなの…？？
僕…本当にセシルを…？

「いたい…いたいよぉ…おにいちゃん…」
「……ゆき…幸ゆき安心しろ…お前の隣には誰がいる…？俺が居るだろ？」
「うん…うん……助けて…お兄ちゃん…」

お兄ちゃんが…お兄ちゃんが僕には…お兄ちゃんが…

「幸…俺はお前の傍から離れない…お前が望む分だけ愛してやる…だから…忘れるんだ、ほら…行こう」
「……うん…」

明あきらが居るなら…お兄ちゃんが居るなら…





「…………ごめんな…幸」







翌日、フローレンス学園の名簿からキャロル･エークシの名前が消えた。







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姫男ことキャロルの結末(？)です。

殆ど分からないので、少し解説を挟むと…キャロルも日本からの転生者で、元の名前を幸と言います。

幸が典型的な陰湿根暗だったので、自業自得で虐められていました。
その時に救われていたのが、ニックの存在です。
乙女ゲームならぬBLゲームですね。

幸は愛されたい願望の塊なので、愛したら愛した分だけ重い愛が帰ってくるニックにリア恋…ガチ恋…を募らせ、結果としてヤバヤバ激ヤバメンヘラに変貌しました。

明…お兄ちゃんは幸と一緒に転生した日本からの転生者です。
そして本当の兄弟…双子です。

幸と正反対の兄は正…善の化身のように優しく、明るく、誰とでも仲良くなれるタイプで、幸の自慢の兄でした。

それと同時に妬ましい兄でもあり、こちらの世界に来た時大きな喧嘩をして、幸はそれ以来兄に会っていませんでした。

なので、明…兄からしたら大喧嘩をした弟が急に帰ってきたと思ったら自傷行為に走ったから止めた…という感じです。
セシルは死んでません…

実は兄もヤバいので、弟が自分に沼っていく感覚に無自覚に興奮しています。

また、キャロルが消えても学園に居る理由はこの兄です。変化の魔法バンザイ…


ここまで長々と御付き合いありがとうございました。
終わり！！！