【完】俺の嫁はどうも悪役令息にしては優し過ぎる。

福の島

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婚約者

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伯爵家…すなわち実家の…俺に与えられた自室で、ふつーに魔導書を見てたらいきなり母さんが凸してきた。

その内容というのも…

俺の婚約者に関することだった。

まぁ女関係失敗済みの俺からしたらまぁーじでヤなんだけど…

母さんの話は聞かないと終わらないしね…

「ぇ…俺婚約者とかいらねぇんだけど…」
「貴方はいらないかも知れないけどねぇ…レイフの事も考えて…」
「あ~…兄ちゃんもう継ぐの?」
「ニック…貴方ももう婚約者くらい作りなさい…16なのよ!?」

わぁぉ…うるさいなぁ…そんなの俺が1番わかってるよ…

「自分の息子だから私もあんまり言えないけど…貴方すごくモテモテなんだからね?」
「えぇ…俺結構ヤバい奴の自覚あるよ?」
「貴方ねぇ?なんて言われてるか知ってる?漆黒の天才魔道士よ?」
「え…クッソ厨二…」

それは普通に嫌だなぁ…特に漆黒辺り…

「…あー…まぁ大丈夫…兄ちゃんが継ぐ辺りで俺家出るよ」
「それは無理よ…」
「なんで…?」
「当たり前じゃない…貴方凄いのよ?もう魔道局からも魔法騎士団からも推薦が来てるの…!卒業前だから早いって言ってもよ…?」

……魔法は好きだし…好きでやった事が実を結ぶのは嬉しいけど…そこまで期待されてもなぁ…生きて行ければなんだって良いのに…

「私も貴方に厳しくこんな風に言いたく無いわ…できる限り頑張るから…ニック…貴方も少しずつ考えてちょうだい…」

青い光…母さん…めちゃくちゃ心配してんだなぁ…

「……うん、俺も頑張るよ。」
「ありがとう…ニック、人と違うのはいい事よ、貴方がエバンズ伯爵家の子なら貴方なりの力で上手くやりなさい。」

ふは…こんな良い家の恥にはなれないな…




エバンズ伯爵家…黒の獅子…

代々魔導師を輩出してきた名門家。
黒の髪に黒の目、まさに名の通りの黒い家で、闇魔法と水魔法を得意とする者が多い。

現当主のポール伯爵は水魔法の師とも言われる水魔法の大名手である。

次期当主レイフ・エバンズも父ポールの跡を継ぐにふさわしい魔力と才能を持ち合わせている。

そしてエバンズ伯爵家第2子に当たるニック・エバンズは幼少に炎魔法上級をマスターした天才魔導師…現在は魔法科に通われていて今後の成長に期待…
                 』

「…だからって期待されてもなぁ…新聞読んだ事ねぇから知らなかったけど…こんなの書かれてんの?」

自分の将来探しに、俺が初めに見たのは地元新聞。
エバンズ伯爵家には領地があるからね、そこの新聞だよ。

「……それに兄ちゃんは俺みたいな堕落した人間じゃない…ちゃんとした努力型だし…」
「へぇ…それが弟様の本音かぁ…嬉しいこと言うじゃん。」
「に…兄ちゃん…!?」

俺の後ろでニンマリ頬を上げながら腕を組んで立っていたのは俺の兄、レイフ・エバンズ…長い黒髪を後ろで縛ってて…175の俺よりちょっと高い兄貴…あとはさっきの紹介通り…

「……母さんから色々聞いたよ、大変だなぁお前も…」
「…本当に…兄ちゃんみたいに上手くやれれば良いんだけどね…」
「俺は選ばれた立場だからなぁ…」
「へぇ~」

兄ちゃんと話すのも久しぶりな感じ…そういえば兄ちゃんは魔道騎士団に入ったんだっけ…?

「…試しに学校ちゃんと行ってみたら?」
「…………分かった。」
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