リブート・ミー?

るみえーる

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27・カベ

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 キカイはヒトにゆるく立ち入らせない場所がある。

 ヒトに許される部分とそうでない部分の違いは、だいたいキカイがなにをやっているか隠しておきたいかどうか、というところ、キカイにとっては迷惑なところか。

 ほんの軽い気持ちで始めた自由研究だったんだけれども、コハルはかなり疲れていた。

 コハルの体はたしかに、ほかの三人と比べるとやや、というかかなり疲れやすい。

 そのためナツミが普通のではない電動アシストつき自転車を手配してくれたした。

 今の状況は、みんな雨に打たれて、自転車は一部ボロボロだし、思っていた時間よりもはるかにかかっているけれども、お風呂にはちゃんと入ったし、食事も水分補給も足りているし、昼間に自転車を走り回していたときとくらべられても、体力的に特別へばっているというわけではない。

 つまりナツミのやる気はともかく、コハルを除くほかのふたりも多分冷静に自分たちを考えている。

 ただミユキは、このようなリアルな世界をここはまるまる嘘みたいに思いながら進んでいるかもしれない。

 この先に待っているのは採集ダンジョンで、奥にはもう魔王がちゃんが住んでいて、最終決戦に臨むみたいな感じである。

 ここは私にまかせて先に行って、と、コハルは心の中でつぶやいてみた。

 坂道をえんえんと登ったり下っ下ったりするし、景色はあんまり面白くないしで4人ともう1人っていうかもう一つの知性体は飽きていた。

     *

 そして太陽光パネルの間をかいくぐって抜けると、庁舎を出るときに検討していた、遠いほうの道につながっているはずだった。

 だけど、その間には、大きくて半透明の、ドーム型の壁が通り道をふさいでいた。

 壁はガラスかプラスチックのようなものでできていて、手でさわると表面はかなりつるつるしていた。

 ナツミが持っていたバットで、思い切り叩いてもびくともしない。

 作戦を考える前に、せっかくだから、というミユキの提案で、記念画像をみんなは撮ることにした。

 戦隊もののポーズ、イケメンアイドルのポーズ、魔法少女、勇者パーティ、サミットで集まった各国首脳。

 みんなは携帯端末の画像・動画で知っているさまざまなポーズをして、ドラゴン一族の姫で、幼稚園年長組ぐらいの大きさのドラコが撮ってくれた。

 お前も入れよー、と、ナツミが誘ってオートで撮った集合写真の画像は、なぜかドラコだけがブレていて、顔も全身もはっきりしなかった。

 どうして、と、ミユキは不思議に思った。

 おそらく、体の振動の速さ・強さがヒトとは違う、のです。

 ヒトって、振動してるの、と、コハルは聞いた。

 生きてるときは、です、じゃないと死んでしまいます、からね。

 キカイの場合はどうなんだろう、ヒトよりももっと振動が少ないだろうけど、動いているときにはキカイの中でなにかが動いている。

 でもそれは、生きている、とか、死んでいる、といった問題とは違うと思う。

     *

 この壁のどこにも、抜けられるところがないとか、こわせないとかだったら、町の市街地に戻って、別の遠回りしている道を行くしかないかな、と、アキラは言った。

 げぇ、と、ナツミは言ったので、アキラは苦笑した。

 しんどくなってきたのか。

 そうじゃなくて、つまらないの。
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