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20・ショウボウ
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4人が選んだ作業服は、ツナギの色違いで、たしかに子ども用ではあるけど、ナツミとミユキにはすこし大きく、アキラにはすこし小さく、コハルにはちょうどいいサイズだった。
色は、コハルは白、ナツミは青、アキラは緑、ミユキはオレンジ、と、だいたい似たような各人のカラーと同じようなものが見つかった。
ただよく見ると細部は微妙に違っていて、ミユキは電気工事の作業をするような格好に見えて、アキラは造園の作業をするような格好に見えた。
コハルとナツミは、キカイの手入れができそうな格好。
どうも、黒と黄色はないみたいなんだよなー、と、ナツミは言った。
店内で着替えるというわけにもいかず、4人は自転車屋の店主が教えて、手配もしてくれた、この町の庁舎に向かった。
雨はまだ止む気配はなかった。
*
コハルの自転車をナツミが押して、ミユキの自転車をアキラが押して、コハルとミユキはあまり早足にならないように気をつけながらふたりの前を歩いた。
ナツミの自転車は修理中、アキラの自転車は改造中なのだ。
歩いて5分ぐらいのところに、今はもうヒトには使われていない庁舎は5階建てで、出入り口には警備用の、かなり重装備に見えるキカイが2体並んでいたけれども、4人がペコっと挨拶をすると片手を上げて挨拶を仕返し、自動ドアを開けて建物全体の照明をつけてくれた。
庁舎の2階は渡り廊下で、隣にある消防署に続いていて、消防署の2階には大きな浴場があって、浴槽にはお湯が入れられている最中だった。
まだ1/3ほどしか入っていない浴槽に、4人は濡れた服を脱いで入った。
着替えの下着も寝間着も、センセイのところで一泊する予定だったので持ってきてはいたけど、まだ冒険の途中だから、とナツミは言って、使われていない薄い布地用の乾燥機を、普通の布地用の乾燥機といっしょに動かした。
浴場の脇には洗濯機と乾燥機(普通の布・薄い布・靴用の3種類)があって、ヒトが働いていたときがもしあったとしたら、24時間待機できるだろうと思えるような宿泊の装備もあった。
消防署や病院などは、いつ火事や事故があるかわからないので、ここのキカイも常に、充電しながらだと思うけれど、待機し続けているんだろう。
浴槽の中でナツミは、ぷはーっ、ゴクラクゴクラク、と言った。
たしかに、コハルが見た、大きな浴槽の出てくるアニメでも、登場人物はそう言うことになっていた。
意味は今ひとつよくわからない。
*
これはぜひ記録に残しておきたいところだな、とアキラは言い、ミユキは室内のあちこちの小物を、コハルたちが写りこまないように注意しながら携帯端末で撮っていた。
おとな向きのバスタオルは大きくて、そのままだとすそを引きずるような形になるため、服が乾くまで4人は脱衣スペースで今後の予定について話し合った。
この雨が止んだら出発してもいいけどだいぶ遅くなっちゃったな、とりあえずセンセイには自分のほうから連絡しておくよ、と、アキラは言った。
へたすると真夜中になっちゃうかもしれないね、さらに1時間ぐらいはかかるから夜中に行っても大丈夫そうなの、と、コハルは聞いた。
夜間照明に関してはどの道路もけっこう街灯がついてるから心配ないし、キカイ達はどこかで我々が本当の、大きな事故には会わないように見張っているはずなんだ、というのがアキラの説明だった。
飲み物と非常食は、消防署の中に常備されていて、座り心地のいい椅子で、軽食後に軽くウトウトとしていたコハルは、ナツミに、ぽんぽん、と肩を叩かれ起こされた。
この建物の探検しようぜ、と、ナツミは言った。
コハルを除く3人は、すでに店で買ったばかりの戦闘服、じゃなくて作業服に着替えていて、なんかお宝が見つかるといいな、と、ミユキもはりきっていた。
色は、コハルは白、ナツミは青、アキラは緑、ミユキはオレンジ、と、だいたい似たような各人のカラーと同じようなものが見つかった。
ただよく見ると細部は微妙に違っていて、ミユキは電気工事の作業をするような格好に見えて、アキラは造園の作業をするような格好に見えた。
コハルとナツミは、キカイの手入れができそうな格好。
どうも、黒と黄色はないみたいなんだよなー、と、ナツミは言った。
店内で着替えるというわけにもいかず、4人は自転車屋の店主が教えて、手配もしてくれた、この町の庁舎に向かった。
雨はまだ止む気配はなかった。
*
コハルの自転車をナツミが押して、ミユキの自転車をアキラが押して、コハルとミユキはあまり早足にならないように気をつけながらふたりの前を歩いた。
ナツミの自転車は修理中、アキラの自転車は改造中なのだ。
歩いて5分ぐらいのところに、今はもうヒトには使われていない庁舎は5階建てで、出入り口には警備用の、かなり重装備に見えるキカイが2体並んでいたけれども、4人がペコっと挨拶をすると片手を上げて挨拶を仕返し、自動ドアを開けて建物全体の照明をつけてくれた。
庁舎の2階は渡り廊下で、隣にある消防署に続いていて、消防署の2階には大きな浴場があって、浴槽にはお湯が入れられている最中だった。
まだ1/3ほどしか入っていない浴槽に、4人は濡れた服を脱いで入った。
着替えの下着も寝間着も、センセイのところで一泊する予定だったので持ってきてはいたけど、まだ冒険の途中だから、とナツミは言って、使われていない薄い布地用の乾燥機を、普通の布地用の乾燥機といっしょに動かした。
浴場の脇には洗濯機と乾燥機(普通の布・薄い布・靴用の3種類)があって、ヒトが働いていたときがもしあったとしたら、24時間待機できるだろうと思えるような宿泊の装備もあった。
消防署や病院などは、いつ火事や事故があるかわからないので、ここのキカイも常に、充電しながらだと思うけれど、待機し続けているんだろう。
浴槽の中でナツミは、ぷはーっ、ゴクラクゴクラク、と言った。
たしかに、コハルが見た、大きな浴槽の出てくるアニメでも、登場人物はそう言うことになっていた。
意味は今ひとつよくわからない。
*
これはぜひ記録に残しておきたいところだな、とアキラは言い、ミユキは室内のあちこちの小物を、コハルたちが写りこまないように注意しながら携帯端末で撮っていた。
おとな向きのバスタオルは大きくて、そのままだとすそを引きずるような形になるため、服が乾くまで4人は脱衣スペースで今後の予定について話し合った。
この雨が止んだら出発してもいいけどだいぶ遅くなっちゃったな、とりあえずセンセイには自分のほうから連絡しておくよ、と、アキラは言った。
へたすると真夜中になっちゃうかもしれないね、さらに1時間ぐらいはかかるから夜中に行っても大丈夫そうなの、と、コハルは聞いた。
夜間照明に関してはどの道路もけっこう街灯がついてるから心配ないし、キカイ達はどこかで我々が本当の、大きな事故には会わないように見張っているはずなんだ、というのがアキラの説明だった。
飲み物と非常食は、消防署の中に常備されていて、座り心地のいい椅子で、軽食後に軽くウトウトとしていたコハルは、ナツミに、ぽんぽん、と肩を叩かれ起こされた。
この建物の探検しようぜ、と、ナツミは言った。
コハルを除く3人は、すでに店で買ったばかりの戦闘服、じゃなくて作業服に着替えていて、なんかお宝が見つかるといいな、と、ミユキもはりきっていた。
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