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16・コウジ
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かつで学校だったと思える建物に続く道路脇は、ほかの道路よりもはるかに雑草が生い茂っていて道幅が狭かった。
そして両側には桜の木が植えられていた。
初夏には濃緑だったと思える葉の色は、夏の盛りだというのにもう茶色に変わりつつあった。
木のそばに立ってアキラはこう言った。
ここまで波が来たあとがある。
波というか洪水かな、とアキラは手を上に伸ばした。
アキラの手のさらに1メートルほど上で、桜の幹の色が違っていた。
泥色と泥茶色。
それは学校の建物の1階を十分破壊しつくすくらいの波が、ここら辺を襲った、ということになるだろうか。
学校の校門の前はやはり立ち入り禁止ということになっていて、しばらくお待ちください、と書かれた案内板は出ていたけれど、いつまで待てばいいものなのかわからなかった。
コハルたちが、この学校に通えるようになる年まで、だとしたら、今まで生きてきたのと同じぐらいの長さの年月、になりそうだ。
*
コハルたちは校舎・校庭をぐるっと回って、別の道から元の丘の上へ続く新道に出ようとした。
あー、あれあれあれ、っとナツミは指さしながら言った。
ナツミの指先には巨大なカバのようなキカイが道路の上をゆっくりと進んでいた。
そしてその両側には見慣れたカマキリ型のキカイが、やや遅れながらもそれなりの速度を保ちながら続いており、道路沿いの草を刈っていた。
道路沿いに刈られた草は、コハルは写真でしか見たこともない、小さなコビトカバのような形と大きさのキカイが、ガバガバと口? の中に入れて回収していた。
ある程度回収が進むと小さなカバたちは専用の小型トラックに乗って、別の小さなカバと入れ替わるらしい。
つまり小さなカバのお腹の中に草がいっぱいに溜まると、それをまたどこかの焼却炉のようなところに持って行くんだろう。
大きなカバは灰色の平べったい形をしていて、よく見ると前後・両側に顔のようなものがあった。
前方に進んでいる顔のカバは、下顎に生えたギザギザで器用に道路を削っていて、後ろ向きのカバは道路にアスファルトを口の中から垂れ流していた。
その口の幅は2車線道路の1車線いっぱいにちょうどサイズが整えられていた。
工事中の看板と赤い旗を持ち、お腹のあたりに矢印がついている、オトナぐらいの大きさのヒト型キカイが、4人に反対車線を行くよう案内をして頭を下げた。
たしかにコハルたちの自転車は、そのそばを反対車線から、通り抜けようと思えば簡単に通り抜けられそうだった。
だけどミユキは立ち止まって、その舗装はりかえの様子をしばらく見ていて、さらに大きなカバ型キカイの、ヒトが歩くくらいの速度に合わせて移動しながら、写真や動画を撮っていたから、ほかの3人もそれに速度を合わすことになった。
*
しばらくすると、どうやら人の言葉がわかる別のキカイが小型トラックに乗ってやってきた。
ヒトと対話できる機械は、いつでもどこでも、作業をするキカイと比べるとあまり多くはないのだった。
君たちどこへ行くんだいと、対話はできるけどあまりヒトには似ていない、妖怪図鑑にある一つ目小僧のような形のキカイは、4人にフレンドリーに話しかけた。
アキラかテキパキと行き先を言うと、キカイはちょっと困ったような顔をしたように、コハルには思えた。
そして両側には桜の木が植えられていた。
初夏には濃緑だったと思える葉の色は、夏の盛りだというのにもう茶色に変わりつつあった。
木のそばに立ってアキラはこう言った。
ここまで波が来たあとがある。
波というか洪水かな、とアキラは手を上に伸ばした。
アキラの手のさらに1メートルほど上で、桜の幹の色が違っていた。
泥色と泥茶色。
それは学校の建物の1階を十分破壊しつくすくらいの波が、ここら辺を襲った、ということになるだろうか。
学校の校門の前はやはり立ち入り禁止ということになっていて、しばらくお待ちください、と書かれた案内板は出ていたけれど、いつまで待てばいいものなのかわからなかった。
コハルたちが、この学校に通えるようになる年まで、だとしたら、今まで生きてきたのと同じぐらいの長さの年月、になりそうだ。
*
コハルたちは校舎・校庭をぐるっと回って、別の道から元の丘の上へ続く新道に出ようとした。
あー、あれあれあれ、っとナツミは指さしながら言った。
ナツミの指先には巨大なカバのようなキカイが道路の上をゆっくりと進んでいた。
そしてその両側には見慣れたカマキリ型のキカイが、やや遅れながらもそれなりの速度を保ちながら続いており、道路沿いの草を刈っていた。
道路沿いに刈られた草は、コハルは写真でしか見たこともない、小さなコビトカバのような形と大きさのキカイが、ガバガバと口? の中に入れて回収していた。
ある程度回収が進むと小さなカバたちは専用の小型トラックに乗って、別の小さなカバと入れ替わるらしい。
つまり小さなカバのお腹の中に草がいっぱいに溜まると、それをまたどこかの焼却炉のようなところに持って行くんだろう。
大きなカバは灰色の平べったい形をしていて、よく見ると前後・両側に顔のようなものがあった。
前方に進んでいる顔のカバは、下顎に生えたギザギザで器用に道路を削っていて、後ろ向きのカバは道路にアスファルトを口の中から垂れ流していた。
その口の幅は2車線道路の1車線いっぱいにちょうどサイズが整えられていた。
工事中の看板と赤い旗を持ち、お腹のあたりに矢印がついている、オトナぐらいの大きさのヒト型キカイが、4人に反対車線を行くよう案内をして頭を下げた。
たしかにコハルたちの自転車は、そのそばを反対車線から、通り抜けようと思えば簡単に通り抜けられそうだった。
だけどミユキは立ち止まって、その舗装はりかえの様子をしばらく見ていて、さらに大きなカバ型キカイの、ヒトが歩くくらいの速度に合わせて移動しながら、写真や動画を撮っていたから、ほかの3人もそれに速度を合わすことになった。
*
しばらくすると、どうやら人の言葉がわかる別のキカイが小型トラックに乗ってやってきた。
ヒトと対話できる機械は、いつでもどこでも、作業をするキカイと比べるとあまり多くはないのだった。
君たちどこへ行くんだいと、対話はできるけどあまりヒトには似ていない、妖怪図鑑にある一つ目小僧のような形のキカイは、4人にフレンドリーに話しかけた。
アキラかテキパキと行き先を言うと、キカイはちょっと困ったような顔をしたように、コハルには思えた。
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