リブート・ミー?

るみえーる

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15・ヨリミチ

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 ナツミがゴミと一緒に拾っていたのは小さくてキラキラする、さまざまな色の大きさの結晶だった。

 濃い赤から濃い黒までさまざまなその結晶は、宝石のようにも、またただのプラスチックのようにも見えたりした。

 ナツミが太陽で光るそれらの結晶を最初に見つけると、3人は手分けをしてその周辺を探した。

 そうすると、結晶は何箇所かで、集中して散らばっているのがわかる。

 これは魔石だとナツミは言うけれど、実際にはなんなのかはよくわからない。

 とりあえずみんなは、拾った結晶のかけらをすべてナツミに渡した。

 と言っても見つかったのはせいぜい20個から30個の間くらいなので、たいして多い量ではない。
 がんばってさがせば100個くらいにはなったかもしれないけど。

 コハルたちの自転車につけておいた、小型クーラーのバッテリーを充電してくれているコンビニの店長にナツミは、こういうのってこの店で引き取ってくれたりしないの、と聞いてみた。


 だけど、うちは買い取り屋じゃないからな、というのがその答えだった。

 買い取り屋ってあるんですか、とミユキは驚いたように聞いた。

 そうね、この近くだとこの辺りかな、と言って店主が地図を見せて教えてくれたのは、コハルたちが目指している
方向とはまったく反対側の、しかし自宅から自転車で行こうと思えば行けなくはない距離のところだった。

 ただ今でも商売やってるかどうかわかんないのよね。

 ずいぶん昔に辞めちゃったかもしれないけれど、ここら辺の地図はだいたい店舗も含めて昔のものしか使われていないんだ、と店長は説明した。

 えっと、この結晶みたいなものは何なんですか、とアキラは聞いた。

 それは今は言えない、というのが店長の答えだった。

 キカイはたいていのことには答えてくれないし、答えるときには、今は言えない、というのが多かった。

 それはたぶん4人がまだ小さすぎるせいだろうし、あるいは情報をヒトに流すときには慎重になっているのかもしれない。

 つまりコハルたちが大きくなればそれらは言えることになるかもしれないし、俺たちが自分で発見できるようなことかもしれない、と、ナツミは言った。

 しばらく走って汗びっしょりになったコハルたちは、空調が効きすぎのようにも思えたコンビニの、すみにある4人掛けのテーブルで、これからの道を確認してみた。

 この、新道が続いている草原を抜けて、まっすぐ行くと橋があってそれを渡れば別の町の市街地に簡単につくはずだ、とあきらは説明した。

     *

 新道をしばらく進んでいくと、道から300mくらい離れたところに、四角いコンクリート製の長方形の建物があった。

 1階の窓ガラスはほぼ割れていた。

 でも2階や3階の窓ガラスは汚れていたけど、たいして割れているようには見えなかった。

 あそこに行ってみようか、と、ナツミは指差ししながらみんなに言った。

 キカイが入れてくれるかどうかわからないし、あのような建物はだいたい危険なんじゃないかな、と、アキラは言った。

 危険というのはお化けや幽霊が出たりいたりするというわけではおそらくなくて、キカイの判断として、ヒトが怪我をする可能性のあるものが置いてある可能性がある、ということである。

 でもまあ、通り道からちょっと外れるだけだから行ってみようよ、と、ミユキは言った。

 ミユキの特徴は臆病だったり怖がりだったりする割に好奇心が強いことである。

 それとは逆にアキラは恐れるものがすくない代わりに慎重だった。

 コハルはふたりのバランスがよく取れていると思った。

 つまりどうもコハルとナツミの関係は親分と子分の関係で、あまり対等ではないような気がしてしまうのである。

 ただナツミがやろうと言いはじめると、今回のこれも含めて3人は反対することはめったにない。

 コハルがなにかをやろうということはさらにめったにないので、そういう意味ではバランスが取れているのかもしれない。
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