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第十二章 木曜日はわがまま
12-4話 悪役部って、どんな活動をするんですか?
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「クロ姉ちゃん、つまり三隅矩子(みすみのりこ)さんは私の姉弟子なのだ」と、三絡克真 (みつがねかつま)さんは説明した。
「じゃあ、三絡さんは妹弟子?」
「そういう言葉はない。でもそうすると、藤堂明音(とうどうあかね)さんは大姉さんだな」
「…何を言っているのかよくわからないのだが」と、藤堂さんは言った。
「三絡を含むぼくたちは、神なのです」と、同じことを何度も説明するのが面倒くさくなったおれに代わって、流奇奈紘季(るきなひろき)が言った。
「神になるためには修行をしなければいけないんで…」
「何言ってるんだお前は」と、今日の妹は言った。
「では、神っぽいことをしてあげましょう。冴野美登里(さやみどり)さん、日曜日の夜は引っ掻いたりして申し訳ありません」
「え、あなたはあの時の黒猫だったの?」と、美登里は驚いて言った。
「私がつけたその手の傷を見せて」
ほとんど治りかけている美登里の左腕の傷を、三隅さんは舌先で舐めると、そこから白光が放たれ、「うぎゃぎゃぎゃ!」と美登里は叫んで倒れ、なんかドライアイスみたいな霧に包まれた。
大丈夫か、と駆け寄ろうとした我々を三隅さんは止め、霧が晴れると、美登里は猫耳になっていた。
「…うにゃ? 一体何が起こったのかにゃ。…はっ、これは猫の耳と猫のしっぽ!」
おまけに八重歯で金色の瞳になっている。
「さあ、これであなたも悪役部のメンバー、ただし下っぱのひとりよ」
「にゃに…何を言っているんだ。あたしはもともと奉仕部、つまりヒーロー部のメンバーにゃんだから、そんな神にょ力は効かにゃ…効かないのだ」
少しは効いてるようである。しかし奉仕部ってヒーロー部だったのか。
「悪役部って、どんな活動をするんですか?」と、おれは聞いた。
「奉仕部が奉仕する材料を作ることです。花見でゴミを撒き散らしたり、信号機をいじっておばあさんがなかなか横断歩道を渡れないようにしたり、スマホやパソコンを買うときにはオプションで一年間は無料だが二年目からは有料になるサービスをつけたり、地元の書店が潰れるまで本や雑誌の通販の送料を無料にしたり…」
「それは確かにひどいですね」
「あとは外国人の観光客にわさびが多めの寿司を出したり、ウィキペディアの作品紹介でネタバラ・ネタバレを書いたり」
「許せん!」と妹は怒った。
「まあ、ウィキペディアは映画やアニメ見たあとから読むようにすればいいから」と、おれはなだめた。
「で、こにょ…こにょにょ…猫効果はどのくらい続くのよ」
「ヒトによって個人差があるけど、私の神の力では5分から1時間ぐらいかなあ」
5分ぐらいで美登里は元に戻り、おれたちは三隅さんをとりあえず猫神様として扱うことにした。
「じゃあ、三絡さんは妹弟子?」
「そういう言葉はない。でもそうすると、藤堂明音(とうどうあかね)さんは大姉さんだな」
「…何を言っているのかよくわからないのだが」と、藤堂さんは言った。
「三絡を含むぼくたちは、神なのです」と、同じことを何度も説明するのが面倒くさくなったおれに代わって、流奇奈紘季(るきなひろき)が言った。
「神になるためには修行をしなければいけないんで…」
「何言ってるんだお前は」と、今日の妹は言った。
「では、神っぽいことをしてあげましょう。冴野美登里(さやみどり)さん、日曜日の夜は引っ掻いたりして申し訳ありません」
「え、あなたはあの時の黒猫だったの?」と、美登里は驚いて言った。
「私がつけたその手の傷を見せて」
ほとんど治りかけている美登里の左腕の傷を、三隅さんは舌先で舐めると、そこから白光が放たれ、「うぎゃぎゃぎゃ!」と美登里は叫んで倒れ、なんかドライアイスみたいな霧に包まれた。
大丈夫か、と駆け寄ろうとした我々を三隅さんは止め、霧が晴れると、美登里は猫耳になっていた。
「…うにゃ? 一体何が起こったのかにゃ。…はっ、これは猫の耳と猫のしっぽ!」
おまけに八重歯で金色の瞳になっている。
「さあ、これであなたも悪役部のメンバー、ただし下っぱのひとりよ」
「にゃに…何を言っているんだ。あたしはもともと奉仕部、つまりヒーロー部のメンバーにゃんだから、そんな神にょ力は効かにゃ…効かないのだ」
少しは効いてるようである。しかし奉仕部ってヒーロー部だったのか。
「悪役部って、どんな活動をするんですか?」と、おれは聞いた。
「奉仕部が奉仕する材料を作ることです。花見でゴミを撒き散らしたり、信号機をいじっておばあさんがなかなか横断歩道を渡れないようにしたり、スマホやパソコンを買うときにはオプションで一年間は無料だが二年目からは有料になるサービスをつけたり、地元の書店が潰れるまで本や雑誌の通販の送料を無料にしたり…」
「それは確かにひどいですね」
「あとは外国人の観光客にわさびが多めの寿司を出したり、ウィキペディアの作品紹介でネタバラ・ネタバレを書いたり」
「許せん!」と妹は怒った。
「まあ、ウィキペディアは映画やアニメ見たあとから読むようにすればいいから」と、おれはなだめた。
「で、こにょ…こにょにょ…猫効果はどのくらい続くのよ」
「ヒトによって個人差があるけど、私の神の力では5分から1時間ぐらいかなあ」
5分ぐらいで美登里は元に戻り、おれたちは三隅さんをとりあえず猫神様として扱うことにした。
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