おれのふたごの妹はひとりだが6人いる

るみえーる

文字の大きさ
上 下
76 / 95
第十二章 木曜日はわがまま

12-4話 悪役部って、どんな活動をするんですか?

しおりを挟む
「クロ姉ちゃん、つまり三隅矩子(みすみのりこ)さんは私の姉弟子なのだ」と、三絡克真 (みつがねかつま)さんは説明した。

「じゃあ、三絡さんは妹弟子?」

「そういう言葉はない。でもそうすると、藤堂明音(とうどうあかね)さんは大姉さんだな」

「…何を言っているのかよくわからないのだが」と、藤堂さんは言った。

「三絡を含むぼくたちは、神なのです」と、同じことを何度も説明するのが面倒くさくなったおれに代わって、流奇奈紘季(るきなひろき)が言った。

「神になるためには修行をしなければいけないんで…」

「何言ってるんだお前は」と、今日の妹は言った。

「では、神っぽいことをしてあげましょう。冴野美登里(さやみどり)さん、日曜日の夜は引っ掻いたりして申し訳ありません」

「え、あなたはあの時の黒猫だったの?」と、美登里は驚いて言った。

「私がつけたその手の傷を見せて」

 ほとんど治りかけている美登里の左腕の傷を、三隅さんは舌先で舐めると、そこから白光が放たれ、「うぎゃぎゃぎゃ!」と美登里は叫んで倒れ、なんかドライアイスみたいな霧に包まれた。

 大丈夫か、と駆け寄ろうとした我々を三隅さんは止め、霧が晴れると、美登里は猫耳になっていた。

「…うにゃ? 一体何が起こったのかにゃ。…はっ、これは猫の耳と猫のしっぽ!」

 おまけに八重歯で金色の瞳になっている。

「さあ、これであなたも悪役部のメンバー、ただし下っぱのひとりよ」

「にゃに…何を言っているんだ。あたしはもともと奉仕部、つまりヒーロー部のメンバーにゃんだから、そんな神にょ力は効かにゃ…効かないのだ」

 少しは効いてるようである。しかし奉仕部ってヒーロー部だったのか。

「悪役部って、どんな活動をするんですか?」と、おれは聞いた。

「奉仕部が奉仕する材料を作ることです。花見でゴミを撒き散らしたり、信号機をいじっておばあさんがなかなか横断歩道を渡れないようにしたり、スマホやパソコンを買うときにはオプションで一年間は無料だが二年目からは有料になるサービスをつけたり、地元の書店が潰れるまで本や雑誌の通販の送料を無料にしたり…」

「それは確かにひどいですね」

「あとは外国人の観光客にわさびが多めの寿司を出したり、ウィキペディアの作品紹介でネタバラ・ネタバレを書いたり」

「許せん!」と妹は怒った。

「まあ、ウィキペディアは映画やアニメ見たあとから読むようにすればいいから」と、おれはなだめた。

「で、こにょ…こにょにょ…猫効果はどのくらい続くのよ」

「ヒトによって個人差があるけど、私の神の力では5分から1時間ぐらいかなあ」

 5分ぐらいで美登里は元に戻り、おれたちは三隅さんをとりあえず猫神様として扱うことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本入れ替えグルメ旅・られた肥後褐牛死体一頭食べ尽し

蓮實長治
ミステリー
「あれ? この死体の様子、遺族が言ってた事と食い違いが有りますよ?」 変死体の検死を行なっていた監察医は不審な点に気付くが……? 「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...