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第十二章 木曜日はわがまま
12-3話 いやあ、久しぶりだねえ。オリンピックの時以来だ
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「クロ姉ちゃん!」と猫神様の三絡克真 (みつがねかつま)さんはそう言って、お嬢様高校の制服を着ている三隅矩子(みすみのりこ)さんに抱きついた。
「そういうあなたは…ミケちゃん! いやあ、久しぶりだねえ。オリンピックの時以来だ」
「あ、これ、東京オリンピックじゃなくて長野オリンピックのことだから」と、三絡さんは補足したが、それにしても十分に古い。おれたちはみんな、神様を除いては生まれていない。
「じゃ、再会の記念に、いつものあれ、やろうか」と、三隅さんは言った。
ちゃらららら、らーら、と、イントロはタンゴっぽい曲で、三隅さんと三絡さんは踊った。
あ、この曲は、テトリスの曲で世界中に有名な「コロブチカ」だ。もともとはロシア民謡でニコライ・ネクラーソフが発表した長編詩「行商人(コロベイニキ)」の一節に由来している。
ねぇこの気持ち 伝えたいよ
ねぇこのコロブチカ
好き大好き 好き好き大好き
ねぇこのコロブチカ
まず、「ねぇこの気持ち」の「こ」で、お互いが右手でハイタッチして、右回りに一回転。
次に、「伝えたいよ」の「た」でお互いが左手でハイタッチして、左回りに一回転。
それでもって「ねぇこのコロブチカ」でお互い一礼する。
なるほど、「ねこ(猫)のコロブチカ」か。
「はいそれでは、みなさんも一緒にやってみましょう。フォークダンスって、傍で見ていると恥ずかしく見えるんだけど、みんなでやると楽しいんですよ!」と、三隅さんは言った。
おれと妹。
三絡さんと三隅さん。
田部良紅羅架(たぶらくらか)さんと真部岡恵留(まぶおかえる)さん。
流奇奈紘季(るきなひろき)と冴野美登里(さやみどり)。
最後に、樋裏聖(ひうらせい)先輩と藤堂明音(とうどうあかね)さん。
おれたちが男性(歩幅の大きい)チームで外側になって、妹は内側のチームになる。
メンバー交替は、山手線と同じく、外側が時計回り(右回り)、内側が反時計回り(左回り)でおこなう。
…いやこれ、確かに見られているとバカっぽいんだが、踊ってると楽しい。
曲はだんだん早くなり、美登里が、少し水たまりがあったらしく、足を滑らしてころんだ。
「はい、それではこれまで」と、三絡さんは言った。
「死刑囚が入れられているロシアの刑務所で踊られる場合は、最初にころんだ人が次の日の死刑になります。で、この踊りは誰かがころぶまで、どんどん早くなって踊られるのです」と、三隅さんは言った。
「で、何なんですか、三隅さん、おれたちの誰かを殺しにきたわけ?」
「そういうあなたは…ミケちゃん! いやあ、久しぶりだねえ。オリンピックの時以来だ」
「あ、これ、東京オリンピックじゃなくて長野オリンピックのことだから」と、三絡さんは補足したが、それにしても十分に古い。おれたちはみんな、神様を除いては生まれていない。
「じゃ、再会の記念に、いつものあれ、やろうか」と、三隅さんは言った。
ちゃらららら、らーら、と、イントロはタンゴっぽい曲で、三隅さんと三絡さんは踊った。
あ、この曲は、テトリスの曲で世界中に有名な「コロブチカ」だ。もともとはロシア民謡でニコライ・ネクラーソフが発表した長編詩「行商人(コロベイニキ)」の一節に由来している。
ねぇこの気持ち 伝えたいよ
ねぇこのコロブチカ
好き大好き 好き好き大好き
ねぇこのコロブチカ
まず、「ねぇこの気持ち」の「こ」で、お互いが右手でハイタッチして、右回りに一回転。
次に、「伝えたいよ」の「た」でお互いが左手でハイタッチして、左回りに一回転。
それでもって「ねぇこのコロブチカ」でお互い一礼する。
なるほど、「ねこ(猫)のコロブチカ」か。
「はいそれでは、みなさんも一緒にやってみましょう。フォークダンスって、傍で見ていると恥ずかしく見えるんだけど、みんなでやると楽しいんですよ!」と、三隅さんは言った。
おれと妹。
三絡さんと三隅さん。
田部良紅羅架(たぶらくらか)さんと真部岡恵留(まぶおかえる)さん。
流奇奈紘季(るきなひろき)と冴野美登里(さやみどり)。
最後に、樋裏聖(ひうらせい)先輩と藤堂明音(とうどうあかね)さん。
おれたちが男性(歩幅の大きい)チームで外側になって、妹は内側のチームになる。
メンバー交替は、山手線と同じく、外側が時計回り(右回り)、内側が反時計回り(左回り)でおこなう。
…いやこれ、確かに見られているとバカっぽいんだが、踊ってると楽しい。
曲はだんだん早くなり、美登里が、少し水たまりがあったらしく、足を滑らしてころんだ。
「はい、それではこれまで」と、三絡さんは言った。
「死刑囚が入れられているロシアの刑務所で踊られる場合は、最初にころんだ人が次の日の死刑になります。で、この踊りは誰かがころぶまで、どんどん早くなって踊られるのです」と、三隅さんは言った。
「で、何なんですか、三隅さん、おれたちの誰かを殺しにきたわけ?」
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