おれのふたごの妹はひとりだが６人いる

第十章 水曜日は乙女脳でチョロい（裏）

10-6話 物語部が存在しないなどとは、とんだ寝言だな

　その凶暴そうな先輩の女子は太刀花蘇苗（たちばなそなえ）と名乗り、その友だちの、優しそうな先輩の女子は依知川大悟（いちかわだいご）と名乗った。

「ちゃんとお前らふたりにも、物語部への招待状を渡しただろ」

「入学式のとき、靴箱の中に小さい紙とメモが入ってませんでしたか。あれがないと普通は入れないことになってるんです」と、依知川先輩は言った。

「ごめんなさい、多分捨てました」と、おれは正直に答えた。

「わたくしは…覚えてません」と、妹は、卑怯な答えかたをした。

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　あまり図書室でうるさくするのも何だから、ということで、ふたりは物語部の部室におれたち３人と席夜晴香（せきやはるか）さんを案内した。

　部室の中はだいたい、さっき映像音響部の小林美咲先輩が見せてくれたビデオ映像、つまり図書準備室として使われていて、普段は誰も入った形跡がない部屋と同じで、違うのは古くさくてがっちりしていて高そうなソファと、お茶とお菓子の用意があるのと、しょっちゅう使われている形跡があるところだ。

「物語部が存在しないなどとは、とんだ寝言だな」と、太刀花先輩は言った。

「うん…多分そんな世界、というか宇宙もあると思うんだよ、太刀花くん」と、依知川先輩は言った。