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第六章 火曜日はサディスト

6-6話 しょうがないな、わたしたちの負けということにしておいてやる

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「この度のお働き、上様はひどくご満悦である」と、生徒会副会長の樋裏聖(ひうらせい)先輩は言い、神様チームのリーダーである流奇奈紘季(るきなひろき)は、ははあっ、と平伏した。

 ということは全然なくて、樋裏先輩が拍手したのは一般人チームのほうだった。

「いやー、青山くんたち、よくまあ神様を相手に試合する気になったねえ。流奇奈くんたちはだめだよ、こんなところで神の力なんか使っちゃ。ここの6人は今年から新設された土木娯楽スポーツ部のメンバーで、顧問もいるし、部費もちゃんと出てる。部費というより、日当かな? OB会の会長から今さっきメールが来ていた。ほお、ふん、はあ」と、樋裏先輩は何やら納得している。

(このクラブは、妹さん関連の今回の事件とは無関係です)

 真那木沙振(まなきさぶれ)さんはおれにも心の声で教えてくれた。

「しょうがないな、わたしたちの負けということにしておいてやる。願いごとは何かな?」と、流奇奈は言った。

「とりあえず、おれたちに関わらないようにしてくれ」

 まあそうだよな。

「ふむ、承知した。それだけではつまらないので縁結びをしてやろう。この男子、青山茂(あおやましげる)は、そこの女子、山城出海(やましろいずみ)に気があって、ふたりは両思いだ」

「こ…こうなったらもうしょうがない。山城さん、ずっと前からあなたのことが気になっていました。よろしくお願いします」と、青山先輩は赤くなりながら女子チームの、どう見てもモブキャラだった子にお願いした。

 この話に伏線はない。

「えーっ、よかったじゃんやまっち、うちも応援するよ!」と、どう見てもリーダーに見えた安土知恵美(あづちちえみ)が言った。

 彼女は父親が土建業者で、山城先輩とは幼なじみで、将来はロースクールを卒業して30歳までに自分の法律事務所を持ちたいと思っているキューティ・ブロンドだ(ブロンドじゃないけど)。

「くだらん、実にくだらんぞ」と、試合を見学していた今日の妹は、手にしていた竹刀を折らんばかりの勢いで怒っていた。

 今日の妹は硬派で、ラブコメ的な話が嫌いなのだ。

 別の日の妹はゴロゴロしながら少女漫画を読んでいたりするので面倒くさい。

 神様たちの恋愛事情に関しては、明日の昼食のときにでも聞くことにしよう。その時の妹が誰になるかは不明だが、今日の妹は今日で成仏する予定なのだ。

 しかし、どうやるかに関しては流奇奈に相談だなあ。

 ちなみに妹と同じクラスでもうひとりの友だちのはずの席夜晴香(せきやはるか)さんは、一緒に昼食をすませると、ちょっと読んでおきたい本があるから、と図書室のほうに行ってしまったので、中庭で起きたことは知らない。この子は本当に友だちなのか。
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