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第五章 月曜日はロールキャベツ

5-1話 はじめて見たときからきみのことが好きでした、青っぽい後輩!

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 うまいことガラス瓶での捕獲に成功した憑依型宇宙人は、金平糖みたいな突起がある30センチほどの大きさの球形で、見ているといろいろな色に変化してぶつぶつ言っていた。田部良紅羅架(たぶらくらか)さんはそれを日本語に翻訳する。

「赤…俺をこんなところに閉じ込めやがって、今にみていろこんちくしょう、ただじゃ置かないからな。青…俺は悪くない、いったい俺が何をしたってんだ、こんなのってないよ。緑…お願いしますぅ、何でもしますから逃がしてください、願いごと3つまでなら何でも叶えます。黄色…そうかわかったよもう、誰がお前らなんかに頼むかってんだ、この血も涙もない丸太ん棒め」

「なかなか面白いが、そろそろ煮て食うか焼いて食うかしよう。腹が減ってしょうがない。もう生でもいいや」と、流奇奈紘季(るきなひろき)は言った。

 この宇宙人はおいしいらしい。

「自分もひと口ぐらいは食べてみたいところなんだけど、どうやら絶滅危惧種らしくて、発見したらすぐに届け出ないといけないとのことで…しょうがないので連絡しました」と、田部良さんは言った。

「そんなこと言わないで、どうせ不定形なんだろ。みんなの分合わせて4口分ぐらいだったら」

「そういう決まりになっているなら仕方ないね」と、おれは日本人らしくあきらめた。

「じゃあ、「珍味」っていう龍神様でも、ちょっとだけ代わりに食べてみない? 賛成の人、というか神様は?」

 挙手を求めると、おれをふくむひとりと2神がすぐに元気よく手を挙げ、龍神様はしぶしぶ手を挙げた。

「だってしょうがないだろ。わたしだって食べたことないんだから」

 すべて一段落したら、ってことでそれについては話がまとまって、田部良さんは別の星から来た専門家(ぬるぬるした感じの宇宙人と、機械人間みたいな宇宙人の二人組だった)に、悪い宇宙人を引き渡したあと、この雪の中を歩いてコンビニに行くのは無理だから、と、時空間歪曲装置(狐の抜け穴)を使ってコンビニで今日の昼食を買ってきてくれた。

 田部良さんはいなり寿司と太巻きのセット、流奇奈はあまりカフェインが強くなさそうなスポーツ飲料、三絡克真 (みつがねかつま)さんはから揚げ弁当、それにおれと時尾摩殊(ときおまこと)先輩のためにハンバーグ弁当だ。

 しばらくすると手術台っぽいベッドの上で、時尾先輩が目を覚ました。

「はっ、ここは…宇宙人の秘密基地で、きみたちは後輩じゃなくて、あたしを改造しようと思ってさらって行った悪い宇宙人だね!」

「そんなことはどうでもいいんで、少し体を動かしてみませんか?」

 時尾先輩はベッドから降りると、手足の屈伸や首をぐるぐる回したりした。

「うーん…なんか知らないけど、体が軽くなってる気がする。ていうか、軽くなってるよこれ。頭の中も、モヤモヤしていたのがさっぱりした気分になってる。きみたちはいい後輩だね!」

「残念ながら、生徒会の考え次第ではこの部の廃部を言い渡さなければならないかも…」と、流奇奈が言うと、時尾先輩の動きが止まった。

「そ、そんな…何言うんだよきさま、弱小クラブだからって舐めんじゃねえぞこら。…ふわあああん、そんなことってないよね、ひどすぎるよ。…何でもしますから廃部だけはお許しください。…はじめて見たときからきみのことが好きでした、青っぽい後輩! 見たいんだったら胸の谷間のほくろだって見せてあげる! だからねぇ、そこんとこ何とか…」

 なんであの、毒っぽい宇宙人が時尾先輩に憑依したか、だいぶわかってきた。あの宇宙人と先輩は同じタイプなんだ。先輩の場合は色気で迫るという技まで持ってる。

 しかしはっきり言って、解毒する前と後とで、性格全然変わってない。どうすんだこれ。おまけに話は全然進んでないし。
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