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第三章 月曜日は普通じゃない
3-2話 そうなんですか。帰り道で遭難ですか
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冴野美登里(さやみどり)が生徒会委員になって、わたしの兄の友だち(本当は何なんだろうな。仲間?)である流奇奈紘季(るきなひろき)、ヒロくんが生徒会に呼ばれたというので、わたしたちは一年生(新一年生)が通ることになるだろう旧校舎1階の廊下を歩いて中央階段まで行き、3階西隅の生徒会室を目指した。
先頭はヒロくんと三絡克真(みつがねかつま、みーちゃん)で、その後ろを美登里と兄、私と真部岡恵留(まぶおかえる、エリー)、最後尾が席夜晴香(せきやはるか、席夜さん)と田部良紅羅架(たぶらくらか、くらさん)だ。
先頭のふたりはどんどん先へ進み、後ろのふたりは図書分類法に関する技術的な話をしていてどんどん遅くなり、エリーは降ってきた雪を見てて少し足が遅くなったので、わたしもそれに合わせた。
「灰色の空から降る白っぽい牡丹雪、綺麗ですね。咲いた桜の花に舞う雪を見ていると、恰(あたか)も誰かの夢の中にでもいるような風情になります」と、エリーは言った。
「見ている分にはきれいなんだけど、駅までの帰り道が大変だよ。この調子で積もってたら、電車止まっちゃうかも知れないし。それにこんな景色、わたしもはじめてかも」
「そうなんですか。帰り道で遭難ですか。それ、超受ける、みたいな」
エリーが日本に来たのはつい最近で、ティーンズ・ガーリーっぽいアッシュブロンドのちょっと縮れた髪、それに同系色の瞳はミックスだかららしい。そのこともいずれ話すことになるだろう。
わたしの前を歩く美登里と、その横を歩く兄はふたりで楽しそうに話していた。
実は、美登里と仲がよかったのはわたしではなく兄のほうで、ふたりが同じクラスになったのは1回だけだったんだけど、それは友だち同士の仲良し具合で、恋人同士の仲良しではなかった気がする。
兄はバカじゃないけど変人で、昔の映画とか昔の本とか、今の人が知らないようなことで時間を潰している。
先頭はヒロくんと三絡克真(みつがねかつま、みーちゃん)で、その後ろを美登里と兄、私と真部岡恵留(まぶおかえる、エリー)、最後尾が席夜晴香(せきやはるか、席夜さん)と田部良紅羅架(たぶらくらか、くらさん)だ。
先頭のふたりはどんどん先へ進み、後ろのふたりは図書分類法に関する技術的な話をしていてどんどん遅くなり、エリーは降ってきた雪を見てて少し足が遅くなったので、わたしもそれに合わせた。
「灰色の空から降る白っぽい牡丹雪、綺麗ですね。咲いた桜の花に舞う雪を見ていると、恰(あたか)も誰かの夢の中にでもいるような風情になります」と、エリーは言った。
「見ている分にはきれいなんだけど、駅までの帰り道が大変だよ。この調子で積もってたら、電車止まっちゃうかも知れないし。それにこんな景色、わたしもはじめてかも」
「そうなんですか。帰り道で遭難ですか。それ、超受ける、みたいな」
エリーが日本に来たのはつい最近で、ティーンズ・ガーリーっぽいアッシュブロンドのちょっと縮れた髪、それに同系色の瞳はミックスだかららしい。そのこともいずれ話すことになるだろう。
わたしの前を歩く美登里と、その横を歩く兄はふたりで楽しそうに話していた。
実は、美登里と仲がよかったのはわたしではなく兄のほうで、ふたりが同じクラスになったのは1回だけだったんだけど、それは友だち同士の仲良し具合で、恋人同士の仲良しではなかった気がする。
兄はバカじゃないけど変人で、昔の映画とか昔の本とか、今の人が知らないようなことで時間を潰している。
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