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世界を呪う。
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気づいたら知らないベッドの上に寝かされていた。
なんだろう?デジャブかな?前にもこんな光景を見たような気がするとハルカは思った。
ぼんやりとする意識の中で自分はどうしてここにいるのか、そもそもここはどこだろうか?頭の角度を少し変え周囲を見ようとした時、ハルカの視界に入ってきたのは悲しそうな顔をしている勇太だった。
勇太?どうしたの?そんな顔して?……と声を出そうにも、どうにも億劫に感じてしまいハルカは勇太に声をかけるのをやめる。ハルカは虚な瞳でぼんやりと勇太を見ていると、段々と勇太の瞳から涙が滲んでくるのが分かった。
「ハルカ……帰ろうな。俺たちのうちに。帰ろうな。」
俺たちのうちに……?あぁそうだ。幼なじみの勇太とは付き合うことになって今は同棲中だった。そうだ……私は……私は……すごく幸せな生活を送っていたはずだ。勇太を好きになり勇太に抱かれ、毎日、幸せだった。
……じゃあその前は???
どうして私はここで寝てるのか。よく見ると点滴の器具が見え自分の腕にその液体が注入されている。だとするとここは病院?あれ?勇太と付き合うことになったその前は?私は何をしていたのか?どうして田舎にいるのか?あれだけ馬鹿にしていた田舎に戻ってきたのは??
なんで私はここにっ?!
段々と意識が戻っていく中で、思い出したくない過去の記憶の蓋が勝手に開いてしまった時。ハルカは自分の置かれている状況をはっきりと理解した。
自分が何をしてしまったのかも。
みずきの発言を聞いて頭が真っ白になり、ハルカは急激に思考力が低下した。何も考えられず何も考えたくなくなって、ハルカはあれだけ恐怖だったはずの夜を1人で彷徨さまよい、勇太と同棲してるアパートに飲まなかった睡眠薬のストックがあることを思い出した。
死にたい。もう死にたかった。
ハルカは好きでレイプされたんじゃないのに。
6人の男たちからの圧倒的な暴力の前に屈するしか術はなく、それでも殺されてしまうかもしれないという死と隣り合わせの中、代わる代わる男たちの性欲を満たすためだけの道具にされたハルカ。
今の幸せがあるのは、あの集団レイプされた悍ましい運命の先にあるものだとみずきに突きつけられて、それを羨ましがられて、今のハルカのような生活が出来るなら、同じ目にあいたいなどとみずきは言っていた。
なんて残酷な発言なのかとハルカは思った。
神様はどうして私を集団レイプの被害者にしたんだろう。望んで酷い目にあいたいという人がいるではないか。みんなから優しくされたい、それだけのために不幸な目にあいたいという人に試練を与えてくれればいいのに、どうして酷い目にあうのが私なのか……
勇太と再会したのも交際できたのも同棲して、パートで生活できているのも、レイプされたから?そんな運命だったのか。あの集団レイプは今の幸せを手に入れるために必然だったのか。勇太に愛される未来のために私はレイプされたのか。ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ……ッ!!
ハルカはそんな風には思いたくなかった。
勇太との出会いと優しさと温もりと愛と快感を。
集団レイプされたら手に入れたものだとは思いたくなかった。
神様はどうして集団レイプされたあとに勇太と再会させたのか。身も知らない男たちの男性器を無理やり何度も入れられる前に、その前の記憶と体で勇太と会いたかった。そうすれば勇太とたくさんもっと色々なことが出来たかもしれない。正常位だけじゃなくバックも騎乗位も電気を消して、ベッドが激しく軋むようなセックスが出来たかもしれない。
ハルカは混乱し世界を呪った。
戻りたかった。
レイプされる前の体に。
レイプされる前の記憶に。
レイプされる前の自分に。
そしてレイプされる前の運命に。
あの運命さえなければハルカはずっと都会で働いていて、自分が思い描く都会での生活を満喫できていた。もしかしたら今頃は勇太ではない別の彼氏がいたかもしれない。その人と同棲していたかもしれない。愛を確かめ結婚を誓い合ったかも未来。そんな未来。
そんな未来はこの世界にはないという絶望感がハルカを襲う。
それにハルカは勇太を愛してしまったのだ。レイプされても人を愛してしまった。愛せてしまった。体を重ねてしまった。セックスしてしまった。温もりを感じ、幸せになってしまった。
レイプされたあとの今の幸せを手放すことが出来ないというもの、ハルカに一種の絶望を感じさせた。
過去も現在も未来も希望を見いだせず。
ハルカは睡眠薬に手を伸ばしたのだった。
死にたかった。死を明確に選んだ。
勇太をこの世界に置き去りにすると分かっていたのに、ハルカは止められなかった。勇太は許してくれるだろうか?自分の辛さばかりで死を選び、好きな人をこの世に残そうとしたことを。
勇太は前のお嫁さんに逃げられたと言っていた。他に男を作って逃げたお嫁さん。でもハルカも逃げたのだ。
レイプされたという過去は絶対に変えられないという現実から逃げたのだ。勇太はきっとショックを受けているはず。可哀想なことをしてしまった。
ハルカは勇太が好きだ。それでも勇太がいることがハルカにとって死なない理由にはならなかった。ハルカは好きな人がいても今回、死を選んだ。その揺るぎない事実にハルカは決断する。
勇太と別れよう。
初めから勇太を巻き込んではいけなかったのかもしれない。勇太の優しさに甘え、ひとときの安らぎと幸せを得たのに、それを裏切るような形でひとりで死のうとした。
勇太にはもっとふさわしい女性がはずだ。ハルカのように心に傷がついてない、メンタルが安定してる女性が勇太にはふさわしいと感じた。
ハルカは勇太に別れを告げようとゆっくりベッドから起き上がった。
なんだろう?デジャブかな?前にもこんな光景を見たような気がするとハルカは思った。
ぼんやりとする意識の中で自分はどうしてここにいるのか、そもそもここはどこだろうか?頭の角度を少し変え周囲を見ようとした時、ハルカの視界に入ってきたのは悲しそうな顔をしている勇太だった。
勇太?どうしたの?そんな顔して?……と声を出そうにも、どうにも億劫に感じてしまいハルカは勇太に声をかけるのをやめる。ハルカは虚な瞳でぼんやりと勇太を見ていると、段々と勇太の瞳から涙が滲んでくるのが分かった。
「ハルカ……帰ろうな。俺たちのうちに。帰ろうな。」
俺たちのうちに……?あぁそうだ。幼なじみの勇太とは付き合うことになって今は同棲中だった。そうだ……私は……私は……すごく幸せな生活を送っていたはずだ。勇太を好きになり勇太に抱かれ、毎日、幸せだった。
……じゃあその前は???
どうして私はここで寝てるのか。よく見ると点滴の器具が見え自分の腕にその液体が注入されている。だとするとここは病院?あれ?勇太と付き合うことになったその前は?私は何をしていたのか?どうして田舎にいるのか?あれだけ馬鹿にしていた田舎に戻ってきたのは??
なんで私はここにっ?!
段々と意識が戻っていく中で、思い出したくない過去の記憶の蓋が勝手に開いてしまった時。ハルカは自分の置かれている状況をはっきりと理解した。
自分が何をしてしまったのかも。
みずきの発言を聞いて頭が真っ白になり、ハルカは急激に思考力が低下した。何も考えられず何も考えたくなくなって、ハルカはあれだけ恐怖だったはずの夜を1人で彷徨さまよい、勇太と同棲してるアパートに飲まなかった睡眠薬のストックがあることを思い出した。
死にたい。もう死にたかった。
ハルカは好きでレイプされたんじゃないのに。
6人の男たちからの圧倒的な暴力の前に屈するしか術はなく、それでも殺されてしまうかもしれないという死と隣り合わせの中、代わる代わる男たちの性欲を満たすためだけの道具にされたハルカ。
今の幸せがあるのは、あの集団レイプされた悍ましい運命の先にあるものだとみずきに突きつけられて、それを羨ましがられて、今のハルカのような生活が出来るなら、同じ目にあいたいなどとみずきは言っていた。
なんて残酷な発言なのかとハルカは思った。
神様はどうして私を集団レイプの被害者にしたんだろう。望んで酷い目にあいたいという人がいるではないか。みんなから優しくされたい、それだけのために不幸な目にあいたいという人に試練を与えてくれればいいのに、どうして酷い目にあうのが私なのか……
勇太と再会したのも交際できたのも同棲して、パートで生活できているのも、レイプされたから?そんな運命だったのか。あの集団レイプは今の幸せを手に入れるために必然だったのか。勇太に愛される未来のために私はレイプされたのか。ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ……ッ!!
ハルカはそんな風には思いたくなかった。
勇太との出会いと優しさと温もりと愛と快感を。
集団レイプされたら手に入れたものだとは思いたくなかった。
神様はどうして集団レイプされたあとに勇太と再会させたのか。身も知らない男たちの男性器を無理やり何度も入れられる前に、その前の記憶と体で勇太と会いたかった。そうすれば勇太とたくさんもっと色々なことが出来たかもしれない。正常位だけじゃなくバックも騎乗位も電気を消して、ベッドが激しく軋むようなセックスが出来たかもしれない。
ハルカは混乱し世界を呪った。
戻りたかった。
レイプされる前の体に。
レイプされる前の記憶に。
レイプされる前の自分に。
そしてレイプされる前の運命に。
あの運命さえなければハルカはずっと都会で働いていて、自分が思い描く都会での生活を満喫できていた。もしかしたら今頃は勇太ではない別の彼氏がいたかもしれない。その人と同棲していたかもしれない。愛を確かめ結婚を誓い合ったかも未来。そんな未来。
そんな未来はこの世界にはないという絶望感がハルカを襲う。
それにハルカは勇太を愛してしまったのだ。レイプされても人を愛してしまった。愛せてしまった。体を重ねてしまった。セックスしてしまった。温もりを感じ、幸せになってしまった。
レイプされたあとの今の幸せを手放すことが出来ないというもの、ハルカに一種の絶望を感じさせた。
過去も現在も未来も希望を見いだせず。
ハルカは睡眠薬に手を伸ばしたのだった。
死にたかった。死を明確に選んだ。
勇太をこの世界に置き去りにすると分かっていたのに、ハルカは止められなかった。勇太は許してくれるだろうか?自分の辛さばかりで死を選び、好きな人をこの世に残そうとしたことを。
勇太は前のお嫁さんに逃げられたと言っていた。他に男を作って逃げたお嫁さん。でもハルカも逃げたのだ。
レイプされたという過去は絶対に変えられないという現実から逃げたのだ。勇太はきっとショックを受けているはず。可哀想なことをしてしまった。
ハルカは勇太が好きだ。それでも勇太がいることがハルカにとって死なない理由にはならなかった。ハルカは好きな人がいても今回、死を選んだ。その揺るぎない事実にハルカは決断する。
勇太と別れよう。
初めから勇太を巻き込んではいけなかったのかもしれない。勇太の優しさに甘え、ひとときの安らぎと幸せを得たのに、それを裏切るような形でひとりで死のうとした。
勇太にはもっとふさわしい女性がはずだ。ハルカのように心に傷がついてない、メンタルが安定してる女性が勇太にはふさわしいと感じた。
ハルカは勇太に別れを告げようとゆっくりベッドから起き上がった。
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作者の早坂悠です。よろしくお願いします。すでにこの作品は完結まで書き終わってます。
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