魂を殺された女

早坂 悠

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記憶に上書きを

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 ベッドに備え付けられたオレンジの電球が灯る中、パジャマ姿のハルカは仰向けで横になり、同じくパジャマ姿の勇太はベッドの上に上がってきて、優しくハルカの右足を持ち上げてきて「俺にハルカを味合わせてくれ」と言いながら、右足の親指をカプッと咥え始め、ハルカは

「キャーキャー!ちょっと待って!それ足の指!足の指だよ!勇太!足の指舐めるって?!ちょっと!ちょっと!な、なななんで?!ええっ!?!?」

 といきなり足の指を舐めるとは思ってなかったハルカは、恥ずかしさでパニックになってしまった。思わず上半身を起こしてハルカの足を咥えている勇太を、まじまじと見てしまう。

 勇太は何も反応せずにハルカの足の親指をちゅぶちゅぶしゃぶり始め、ハルカの足の指を唾液で包みこむとはぁはぁ……呼吸をしながらハルカを見つめてきて、

「ハルカの全部を俺に頂戴」

 と言われてしまいハルカの鼓動は、どんどんおかしくなっていくーーーー

 あげるけどさ!私の全部を勇太にあげるけどさ!なんで足の親指からなのよ!そこなら舐める理由になってないよ!勇太のバカッ!!と思いながら……胸の高鳴りを通り越して早鐘の如くドキドキうるさい。ハルカは真っ赤な顔を両手で覆いポスッと、再びベッドに倒れて仰向けになった。

 その間、勇太はハルカの足の親指を舐めつくし、他の足の指もくちゃくちゃと舐め回す。勇太が足の指をしゃぶる度にジュルジュル音を立て勇太がはぁはぁ……はぁはぁ……と呼吸を荒くする音がこだまして、ハルカはこの雰囲気に気がおかしくなりそうだった。

 足の指を舐められるのもくすぐったかった。足の指なんて舐められたことがなかったハルカにとって初めての感触だった。しゃぶられてヨダレでべちょべちょと濡れていく足の指からくすぐったさと程よい快感を感じてしまう。

 勇太は体勢を変えてハルカの顔に近づいてきて「次は手を舐めさせて」と言ってハルカの手にキスをたくさんしてから、次に人差し指指をペロペロと舐め始めた。

 足の時とは違い手を取られ指を舐めている勇太がハルカの至近距離にいて何度も目が合う。勇太はじゅるじゅるとハルカの手を舐め回す。ハルカの指を舐め回してる勇太はとても色っぽくハルカは自分の陰部が疼きだすのを感じていた。

「やっと唇」と言いながら勇太はハルカの唇を舐めた。ペロペロ舐めて勇太は

「ハルカ、ベロ出して。ハルカのベロをしゃぶらせて」と言うのでハルカは口からめいいっぱい舌を出した。その舌に勇太はしゃぶりつき、またジュビジュビ音を立てながらハルカの舌と自分の舌を絡ませていく。

「ハルカ、俺のベロもしゃぶってくれる?」

「うん」

 と言い終わると勇太はハルカの唇の中に舌を捻じ込ませて、その舌を上下に動かし始める。ハルカの口の中で勇太は自分の舌をピストンしはじめて、ハルカは前にした勇太のフェラを連想していた。

 次に勇太は「ハルカの乳首に吸い付きたい。オッパイも揉みたいんだけど、大丈夫か?自分でパジャマ脱ぐか?俺が脱がせるの怖くないか?」と言ってくれて、ハルカは嬉しくなった。レイプされた時、無理やり服を脱がされたことに勇太は配慮してくれてるのだ。そう思うとこの人を好きになってよかった、性被害者であることを打ち明けてよかったなと思った。

「今日は自分で脱ぐ」とハルカは上半身を起こして、上のパジャマを脱ぎ、背中に手を回してブラジャーのホックを外しポロンとブラジャーからハルカのオッパイが出てきた。そのままスルスルとブラジャーを取り外してハルカは上半身、裸になった。

「あのさ」

「何?あまり恥ずかしいからそんなに見ちゃダメ」

「それは無理。ハルカのおっぱい見たいし。
ハルカ……そのまま……下も脱げる?」

「脱いでもいいけど今、恥ずかしい。ズボンは布団の中であとで脱いでいい?」

「分かった。でも俺はハルカの全部を見るつもりだから。あんまり恥ずかしがっても可愛いだけだぞ?」

「……またそんなこと言って……」

「この間の仕返しだから。俺を手コキして射精させたんだから、今日はハルカの体を俺がサポートしたい」

「うん。分かった」

 上半身が裸になったハルカは、勇太にゆっくり布団に寝かせられると、勇太はハルカの上に覆いかぶさって、さらにその上に掛け布団を羽織った。スッポリと掛け布団に包まれながらベッドの中で2人で抱き合った。

 ハルカが布団に身を沈め、上から勇太が覆いかぶさってきた時、一瞬だけハルカの身がすくんだ。

 勇太が覆いかぶさってくる影に重なるようにして、ハルカをレイプした男たちの影と重なる。

 男たちは何度も何度もハルカに覆いかぶさってきては、ハルカの胸や陰部を激しくこねくり回し、嘲笑いながら狂ったようにハルカの陰部に男性器をガツガツ押し付けて、やがてその動きをピタッと止めてハルカの中を精液で汚していった。あの行為をハルカは思い出してしまい、軽くフラッシュバックしてしまった。恐怖のあまり目をぎゅっと閉じていると

「ハルカ?大丈夫か?」と心配そうな勇太の声が耳に届いた。ハルカは勇太の胸の下にいる。温かい布団に包まれて、好きな人の腕の中にいるのだ。それでもハルカの体は少しだけ震えていた。

「今日はこの辺で終わりにしよう」の勇太が自愛に満ちた声でハルカのおでこにチュッと口づけする。勇太がハルカの体から離そうになるのを、ハルカは両手を伸ばして、勇太を抱きしめるようにそれを阻止した。

「ハルカ?無理しなくていいだ。これからはずっと一緒だ。この家でずっと一緒に俺と過ごしていく。焦らなくていいんだ。俺はどこにもいない。ハルカのずっとそばにいるから」

「……おねがい……だ……いて……」

「ハルカ?」

「お願い勇太、抱いて……
私とセックスして。怖い記憶を勇太で上書きして」 

 とハルカは震えながら勇太に言うと、
勇太は凄い力でハルカを抱きしめハルカの唇を奪った。唇に吸い付くようなキスをして舌を入れてハルカの口の中を舐め回していく。はぁはぁ……はぁはぁ……と呼吸を激しくして勇太は、

「そんなこと言われたら
 俺とめられねぇーよ。いいんだな?」

「うん。もう全部、勇太の記憶にしたいの」

 とハルカはそう覚悟を決めるのだった。
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