魂を殺された女

早坂 悠

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認識を変えるために

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 ソウタはシーナに飛びつかれたことで顔が真っ赤になった。女の子に抱きつかれたことなど生まれて初めてで背中に手を回すかを悩んでいたソウタをソフィアがケラケラと笑う。

「やるじゃないかソウタ、あのカウンターは見事だったよ」

「え、あ、いや、うん」

「どうした? シーナに抱きつかれて反応に困るか?」

「バカ! そんなんじゃねぇし!」

 神さまに冷やかされソウタは咄嗟にごまかした。しばらくするとシーナがソウタに満面の笑みを浮かべた。

「ありがとうソウタ! これで私達に平和が戻ったよ!」

「俺だけの力じゃないさ、みんなが力を合わせたから倒せたんだよ」

 全員で勝ち取った勝利、その場にいた全員が戦いを忘れ笑顔を取り戻す。リュシオンがソウタに駆け寄る。

「ソウタ殿、あなたのおかげで平穏を取り戻すことができました。アリア様も無事で、なんと感謝を申したらよいか……」

「あぁ、いいってそんなかしこまらなくても、それより、竜人族達の手当てをしてあげてくれ」

 ソウタの言葉にリュシオンは驚いた。

「まさか、彼らを助けるつもりでは?」

「うん、別に戦いは終わったわけだし、これからのことも話しておきたいとおもったからね、エンシェントドラゴンの手当てもね」

 周りを見渡すと凄惨な現状が広がっていた。このまま放置でもすれば竜人族も天使も大損害を生むことは間違いないだろう、リュシオンはソウタの言葉を信じ、静かに頷いて、天使に指示を出し始めた。

「ソウタ、この後のことはどうするつもりだい?」

 ソフィアが駈け寄り、ソウタに尋ねた。

「うん、とりあえず……寝る!」

 そういうとソウタはその場にバタッと倒れた。

「ソウタ! しっかりしてソウタ!」

 ソウタはまるで気を失うように深い眠りに落ちた―――

 ―――誰かに肩をトントンとされてる感じがする。

「ん?」

 ソウタはふと目をさますと、目の前にはシーナが心配そうな目でソウタを見つめていた。

「シーナ……」

 ソウタは周りを見渡す、どうやら天空の城のベッドの上のようだ。シーナだけでなくソフィアとハウルがソウタの目覚めを待っていた。

「やっと起きたかい、随分と寝込んだようだね」

「ソフィアさん、俺はどのくらい寝てたの?」

「1週間ほどかな」

「1週間!? 神さまは!?」

「ここにいるよ~、前と違って俺は今みんなに視認されてるからな、少なくとも話し相手にはなってもらったから退屈はしなかったよ」

 神さまはソウタの肩に乗って、のほほんとした表情を浮かべていた。

 ソウタ達が騒いでいるのを聞きつけたのか、扉が勢いよく開き、そこにはリュシオンの姿があった。

「お目覚めですか、ソウタ殿!」

「おっ、リュシオンか。うん、大丈夫だよありがとう」

「それは良かったです、しかしソウタ殿にお伝えしたいことがございまして、体が動けばで大丈夫ですので、後で王の間へお越しください、では」

 そういってリュシオンは扉をゆっくりと閉めた。

「伝えたいことか……なんだろう」

「すくなくとも悪い話ではないだろうね」

「そういえば竜人族は?」

「それが、ガルアたち暴れる素振りとかを一切見せずにただ黙ってるみたいよ?」

「ふ~ん、まぁ、体も動くし待たせるのもなんだから行くか」

 そういってソウタはソフィア達と共に王の間へ向かった。王の間にはアリアだけでなく、竜人族達とガルア、そしてリュシオンが待っていた。

「おぉ、ソウタさん。お身体はもう大丈夫ですか?」

「アリアさん、もう大丈夫ですよ、それで……話って?」

「それは俺から話そう……」

 そう切り出したのはガルアだった。ガルアがソウタに向かって歩き出し、ソウタの前に立つと、しばらくソウタを見つめた。ソウタは何が言いたいのかわからず少し困っていると、ガルアはソウタの前で膝をついた。

「お、おい、急にどうした?」

「これより! 我ら竜人族はソウタ様の手となり足となり、ソウタ様と共に運命を共にさせていただきます! 我が名は竜人族の王、ガルア! 以後存分にこの力をお使いください」

 ガルアは大きな声と共に高らかに宣言した。他の竜人族達もガルアと共に膝をつきソウタに忠誠を誓ったのだ。

「ん、何? どういうこと?」

「我ら天使も同様ですよ」

 そういってリュシオンはガルアの横に来て同じように膝をつく。

「我ら天使はソウタ様に忠誠をつくし、共に魔王討伐をさせていただく為、この熾天使リュシオン! ついてまいります!」

「えぇ!」

 ソウタの前にはガルアとリュシオン、竜人族と天使が膝をつき、ソウタに忠誠を誓っていた。

「ソウタ、どうすんだ?」

「う~ん……」

 しばらくソウタは考えた。竜人族と天使が一緒に戦ってくれるのはありがたい……しかし、魔王討伐をするとなると大人数で行けば犠牲も多い。

「よし、わかった。でも俺からも提案させてほしんだけど……」
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作者の早坂悠です。よろしくお願いします。すでにこの作品は完結まで書き終わってます。
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