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生きてる実感。
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次の日も勇太は夜に来ると言っていたが、昨日の今日でかなり気まずいとハルカは思っていた。勇太はハルカのことを想像してオナニーすると発言していて、ハルカも想像の中で練習するようにと勇太から言われていた。
そして実際に昨日の夜、ハルカは勇太のことを考えながら自慰行為に及んだ。勇太の発言を間に受けて……真面目か?!と朝起きた時に少し湿った自分のショーツを見てハルカは顔を真っ赤にして自分でツッコミを入れてしまった。
私は……私は一体何をしてしまったのか……と冷静に思ってしまうところがある。昨日の夜のテンションでそのまま……あんなことや……そんなことを……っ!!!?!?
!!!!あああっーーーーー!!!!
と恥ずかしさのあまり朝から布団の上で心の中で叫んでしまうハルカだった。
それでも、それでもだ。
ハルカは性被害にあった自分の体を少しだけ、ほんの少しだけ大切にしていこうという風に思えた。自分の意志で、きちんとこの体を大切にしていくーーーー
そういうことがとても大切な気がした。
そんなことを考えながら、朝から勇太のことと自分の体のことを考えると、心臓がドキドキしてしまって、落ち着かなくなりそうだった。顔を洗って身支度を整え、お化粧して朝ごはんを作り、食器を洗って、日焼け止めを塗って日傘をさして、日課の散歩に出かける。
汗拭きタオルと麦茶を入れた小さめの水筒を持った。きちんと鍵を閉めくるりと回って外へ歩く。
自殺未遂をしてしまったあの花火大会の日も確か外へ出かけた気がした。両親が車に乗って出発してしまってからのハルカの記憶は曖昧だった。確か外に散歩に出た気がする。
その時の身なりはどうだっただろうか?顔を洗った記憶はない。化粧をした記憶もない。夏の日差しはかなりキツかったはずなのに、その痛いくらいの暑さの中で、日傘をささずにフラフラと歩いていたはずなのに、夏の暑さも垂らした汗もハルカはどうやってあの日を歩いていたのか、分からない。
あの日は地に足をつけて歩いてなかった。性被害にあったあの日に引きずりこまれそうで……実際に打ち上げ花火の音を聞いて死にたくなったのだが。あの日はまるで幽霊のようにふらふらと歩いていた気がする。
今、ハルカの足はしっかりと夏の暑さが照り返した熱い地面に、足をつけて歩いている。汗を拭けば汗拭きタオルで汗を拭う。汗拭きタオルにリキッドファンデーションが少しずつついてしまった。少し落ちにくいリキッドファンデを今度、彩乃に教えてもらおうと思った。
髪も少し伸びてきた。勇太はショートも可愛いと言ってくれた。またひなたの美容院に予約を入れて髪を切りに行こう。みずきは元気だろうか?あの少しうるさすぎるおしゃべりが聴きたくなった。みずきにいや、みんなに会いに行きたい。
ハルカは死ぬような目にあったし、実際、死んでしまいたいぐらいの辱めを受けた。そして毎日、死と隣り合わせだった。今でも完全に乗り越えたかどうかは分からない。
分からないけど、みんながハルカを好きでいてくれるように、ハルカもみんなを大事にしようと思った。
今のハルカを愛してくれる人のために、
ハルカは生きようとあらためて思った。
朝から蝉の大合唱でうるさい中、木の日陰で立ち止まり、持ってきた水筒に口をつけて一口飲んだ。とても冷たくて、ハルカの喉を潤し、とても美味しかった。
ハルカは生きてる。
生きてることを実感した暑い夏の日だった。
ーーーーーー
その日の夜。勇太が訪れて昨日と同じようにハルカの手料理を食べた。2人でどことなくぎこちなかったが、たわいもない話をしてご飯を食べ終わると2人で食器を洗い、また昨日と同じように食後のコーヒーをリビングのテーブルを囲んで飲んでいた。
勇太が少し聞きにくそうに、でも聞き出そうにしているのをなんとなくハルカは察し、ハルカの方から
「き、昨日の話なんだけど。あの………」と話題を振ってみるものの、ハルカも恥ずかしくってはっきりとは言えなかった。勇太も察してくれて……
「昨日は突然、悪かったな。でも俺はやっぱり正直に生きたいんだよね。ハルカのことは。俺はハルカが好き。それでハルカを抱きたい。何度も言うけど、その俺の幸福の先にハルカの恐怖があっちゃダメだと思うんだ。」
「うん……。それは……あ、ありがとう………」
「それで俺のこと少しは想像できた?怖かった?」
「うん……少し……やっぱり力を入れて体を触られるのは、ちょっと怖いみたい……」
「そっか。じゃあハルカの体に触る時は優しくだな。」
「ゆ、勇太は?……。その……。したの?オナニー?」
「したよ。」
「!!!」
「お願いだから、そんなに可愛いリアクションしないでくれ。可愛すぎだから。」
ハルカは顔が真っ赤になってどうしていいか分からなかった。性的な対象として見られることは、ハルカにとっては恐怖そのものだったのに……勇太だと許せてしまうのか……。
なんなのか自分でも分からない。少し単純すぎるのでは?とハルカは自問自答してしまう。異性に傷つけられ魂を抉られたはずなのに、ハルカの心を救うのもまた異性なのだろうか。いや、異性とか関係なく人は人によって地獄に落とされたり、天国に連れてかれたりするのかもしれない。
それに単純で何が悪い。何度か助けてくれた相手から好きだと言われたら、誰だって自分の存在意義を強く感じてしまうに違いない。
ハルカは意を決して「今日はどんな練習する?」と勇太の目をじっと見つめてきいてみた。
そして実際に昨日の夜、ハルカは勇太のことを考えながら自慰行為に及んだ。勇太の発言を間に受けて……真面目か?!と朝起きた時に少し湿った自分のショーツを見てハルカは顔を真っ赤にして自分でツッコミを入れてしまった。
私は……私は一体何をしてしまったのか……と冷静に思ってしまうところがある。昨日の夜のテンションでそのまま……あんなことや……そんなことを……っ!!!?!?
!!!!あああっーーーーー!!!!
と恥ずかしさのあまり朝から布団の上で心の中で叫んでしまうハルカだった。
それでも、それでもだ。
ハルカは性被害にあった自分の体を少しだけ、ほんの少しだけ大切にしていこうという風に思えた。自分の意志で、きちんとこの体を大切にしていくーーーー
そういうことがとても大切な気がした。
そんなことを考えながら、朝から勇太のことと自分の体のことを考えると、心臓がドキドキしてしまって、落ち着かなくなりそうだった。顔を洗って身支度を整え、お化粧して朝ごはんを作り、食器を洗って、日焼け止めを塗って日傘をさして、日課の散歩に出かける。
汗拭きタオルと麦茶を入れた小さめの水筒を持った。きちんと鍵を閉めくるりと回って外へ歩く。
自殺未遂をしてしまったあの花火大会の日も確か外へ出かけた気がした。両親が車に乗って出発してしまってからのハルカの記憶は曖昧だった。確か外に散歩に出た気がする。
その時の身なりはどうだっただろうか?顔を洗った記憶はない。化粧をした記憶もない。夏の日差しはかなりキツかったはずなのに、その痛いくらいの暑さの中で、日傘をささずにフラフラと歩いていたはずなのに、夏の暑さも垂らした汗もハルカはどうやってあの日を歩いていたのか、分からない。
あの日は地に足をつけて歩いてなかった。性被害にあったあの日に引きずりこまれそうで……実際に打ち上げ花火の音を聞いて死にたくなったのだが。あの日はまるで幽霊のようにふらふらと歩いていた気がする。
今、ハルカの足はしっかりと夏の暑さが照り返した熱い地面に、足をつけて歩いている。汗を拭けば汗拭きタオルで汗を拭う。汗拭きタオルにリキッドファンデーションが少しずつついてしまった。少し落ちにくいリキッドファンデを今度、彩乃に教えてもらおうと思った。
髪も少し伸びてきた。勇太はショートも可愛いと言ってくれた。またひなたの美容院に予約を入れて髪を切りに行こう。みずきは元気だろうか?あの少しうるさすぎるおしゃべりが聴きたくなった。みずきにいや、みんなに会いに行きたい。
ハルカは死ぬような目にあったし、実際、死んでしまいたいぐらいの辱めを受けた。そして毎日、死と隣り合わせだった。今でも完全に乗り越えたかどうかは分からない。
分からないけど、みんながハルカを好きでいてくれるように、ハルカもみんなを大事にしようと思った。
今のハルカを愛してくれる人のために、
ハルカは生きようとあらためて思った。
朝から蝉の大合唱でうるさい中、木の日陰で立ち止まり、持ってきた水筒に口をつけて一口飲んだ。とても冷たくて、ハルカの喉を潤し、とても美味しかった。
ハルカは生きてる。
生きてることを実感した暑い夏の日だった。
ーーーーーー
その日の夜。勇太が訪れて昨日と同じようにハルカの手料理を食べた。2人でどことなくぎこちなかったが、たわいもない話をしてご飯を食べ終わると2人で食器を洗い、また昨日と同じように食後のコーヒーをリビングのテーブルを囲んで飲んでいた。
勇太が少し聞きにくそうに、でも聞き出そうにしているのをなんとなくハルカは察し、ハルカの方から
「き、昨日の話なんだけど。あの………」と話題を振ってみるものの、ハルカも恥ずかしくってはっきりとは言えなかった。勇太も察してくれて……
「昨日は突然、悪かったな。でも俺はやっぱり正直に生きたいんだよね。ハルカのことは。俺はハルカが好き。それでハルカを抱きたい。何度も言うけど、その俺の幸福の先にハルカの恐怖があっちゃダメだと思うんだ。」
「うん……。それは……あ、ありがとう………」
「それで俺のこと少しは想像できた?怖かった?」
「うん……少し……やっぱり力を入れて体を触られるのは、ちょっと怖いみたい……」
「そっか。じゃあハルカの体に触る時は優しくだな。」
「ゆ、勇太は?……。その……。したの?オナニー?」
「したよ。」
「!!!」
「お願いだから、そんなに可愛いリアクションしないでくれ。可愛すぎだから。」
ハルカは顔が真っ赤になってどうしていいか分からなかった。性的な対象として見られることは、ハルカにとっては恐怖そのものだったのに……勇太だと許せてしまうのか……。
なんなのか自分でも分からない。少し単純すぎるのでは?とハルカは自問自答してしまう。異性に傷つけられ魂を抉られたはずなのに、ハルカの心を救うのもまた異性なのだろうか。いや、異性とか関係なく人は人によって地獄に落とされたり、天国に連れてかれたりするのかもしれない。
それに単純で何が悪い。何度か助けてくれた相手から好きだと言われたら、誰だって自分の存在意義を強く感じてしまうに違いない。
ハルカは意を決して「今日はどんな練習する?」と勇太の目をじっと見つめてきいてみた。
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