魂を殺された女

早坂 悠

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勇太の決意(番外編完)

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 ハルカの身に何が起きたのか、その地獄のような悲痛な体験の告白を勇太はじっと聞いていた。

 聞きながらハルカがとても辛い経験をしたこと、ハルカがたまに死にたくなる気持ちがあることを知った。

 勇太に出来ることは1つしかなかった。

 今のハルカを愛すること。

 今のハルカが好きだと言うこと。何があったかは関係なく今でも魅力的な女性であること。その上でハルカに死んで欲しくないこと、ハルカとずっとずっといたいこと……

 勇太はそれらのことを全部、全部、伝えたかった。ハルカとのランチをどれだけ楽しみにしてるか知らないだろう?って伝えたかった。逃げるように田舎と親を捨てたのに、嫁に逃げられ、おずおずと帰郷した俺をバカにしなかった、興味本位であれこれ聞かなかったのがどれだけ救われたかハルカ、知らないだろう?って

 ハルカにどれだけ届くか分からないが、
 勇太は伝える。

「俺はハルカが好きだ」

 幼なじみではなく、ひとりの女性としてハルカが好きだ。ずっと幼なじみの関係ではいたくはない。俺はハルカとセックスしたい。キスしたいし、抱き合いたいし、お互いが気持ち良くなるようなセックスをたくさんしたい。

 好きになってもらえたら嬉しい。でもどこまで望んでいいか分からなかったが、ハルカに誰かを好きになる練習をして欲しかった。俺で試していい。俺で練習してハルカにまた誰かを好きになってもらいたかった。体と体で確かめ合う愛の温もりを知って欲しかった。

 そういうことをざっくりハルカに伝えると練習は何するのか?聞いてきたので、勇太はゆっくりとハルカに近づいて、
ハルカのおでこに優しくキスをした。

 緊張で唇が震える。おでこのキスではフラッシュバックが起きないようで、勇太はホッと胸を撫で下ろした。どうやら怖くもなかったようだ。しかし、ハルカが

「キスもしてくれる?」

 と甘えた声で言われた時、勇太は本当にヤバかった。

 抱きつきてぇっ!なんでそんなに可愛いだぁぁぁ!今、このタイミングで言うかぁぁーーーっ!

 と下心をぐっと堪えて、今して欲しいというのでハルカと顔を近づけて、優しいキスをした。学生みたいなキスなのに、心臓の音がうるさい。

 「勇太のことを好きになってもいいの?」

 とハルカに聞かれた時、勇太の心臓がトクントクンと熱くなるのを感じた。もしかしてハルカは俺とのこと、まんざらでもないって話?と勇太は期待する。

 ハルカが俺を好きになってくれたなら、勇太はその期待に応えるだけだなと思った。俺を好きになれば……

「俺が幸せにしてやる」

 と勇太はまっすぐな目でハルカを見てそう言った。言い切った。ハルカの目から大粒の涙がこぼれていた。

ーーーーーーーー

 睡眠薬を飲んで眠ったハルカの顔を見て勇太は、たくさん一緒にいてたくさん練習して、愛を深めていこうと思った。

 女性をレイプするような男どもが絶対に手にすることがない、人と人の温もりのような愛を勇太はハルカと作っていこうと、打ち上げ花火が終わった夏の夜空に向かって誓うのだった。

(番外編終わり)
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作者の早坂悠です。よろしくお願いします。すでにこの作品は完結まで書き終わってます。
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